最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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1440 真実は闇の中へ……

公開日時: 2025年1月13日(月) 00:21
文字数:2,173

●前回のおさらい●


 手打ちにして貰った眞子だったが。

それでも尚、倉津君には『奈緒さんの浮気が誤解であった』と認識して欲しいと願う眞子は、覚悟を決めて真実を語ろうとするのだが……

「そっか。でもな」

「でっ、でも???」

「その話をしたら、オマエが納得出来る様な結末になるかも知れないけどな。逆に俺は、納得出来なくなる内容かも知れないぞ」

「えっ?あっ……あぁ……」

「だから出来るならな。このまま黙って、オマエが、その業を背負い続けろ。黙っている事は辛い事なのかも知れないがな。それが上手く行く秘訣な場合も有るんだからよ」


……そうかぁ。

確かに言われてみれば、そうなのかもしれない。

私は、なにもかもを正直に話す事が正しいと思い込んでいたんだけど、それが必ずしも良い展開に成るとは限らないんだね。

特に、この話した場合、ある意味、私はスッキリ出来るかも知れないけど、話を聞かされた真琴ちゃんは堪ったもんじゃないもんね。


いや寧ろ、これは『堪ったもんじゃない』なんて軽いレベルの話ではなく。

今の真琴ちゃんの存在を否定する様なレベルの話になんだから。

冷静に考えたら、今回の一件では被害者でしかない真琴ちゃんが、私の辻褄合わせをする為だけに軽々しくして良い様な話じゃない。


話してしまったら最後。

今以上に4人の関係が壊れて、それこそ完全に修復不可能な状態になってしまい。

どこをどうやってフォローしようと厳しい現実だけが残って、奈緒ネェと真琴ちゃんの関係すら完全崩壊してしまう。


これが、奈緒ネェが『どんな状況化であっても、絶対にあの話だけはしてはいけない』と言った理由であり。

崇秀さんの言っていた『覚悟が有っても、良い方向に行くとは限らない』って意味でもあったんだね。


なら、真琴ちゃんの言う通り、自分で仕出かしたミスは、自分で背負うのが筋ってもの。


それなのに私……なにを勘違いして、自分勝手な言い分で真琴ちゃんに甘え様としてたんだろ。


これじゃあ、自分が楽に成りたかっただけだよ。


そんな事にも気付かずに、真実を話そうとしてたなんて……ほとほと、そんな傲慢で、考えなしな自分に嫌気がさすしかなかった。



「ごめん。だったら、ヤッパリ話せない」

「だろうな。そんな軽々しく言える様な柔な内容じゃないんだろ」

「そうだね。……でも、なんで解ったの?」

「昼間に一悶着あった際、あの状況下でも尚、奈緒さんが、オマエを引き止めてまで『それだけは言っちゃダメ』って言ったからだよ」

「あぁ……」

「まぁ、あの時点じゃ、流石に何も気付いてやれなかったんだけどよ。後のオマエ等の行動を考えりゃあ、自ずとそれは聞いちゃイケナイ話だって事ぐらいは俺にも解る。だから、本音を言えば、もぉそんな話は微塵も聞きたいとは思わないんだよな」


そこまで考えてくれての意見だったんだ。


それにしても、あの酷い状況下で、良くそんな話まで聞いてくれてたね。

それに、良く思い出してくれたね。


私、今の真琴ちゃんのありがたい一言が無かったら。

きっと馬鹿みたいに、言わなくて良い様な真実を、自分勝手にベラベラと話していたかも知れない。


ホント、今回は色々勉強させて貰ってる。


そうやって、何度も真琴ちゃんのセリフで危機を脱しただけに、本当に感謝の念が絶えないや。



「ごめんね。本当に、考え無しでゴメンね」

「いやいや、良いんだよ、眞子。オマエは、俺にとっては、真菜同様に大切な姉弟なんだからよ。それぐらいのミスは問題じゃねぇよ」

「あぁ……」

「それによ。オマエには、普段から散々勉強で世話になってるんだから。こんな事ぐらいで、変に、そこまで思い込まなくても良いつぅの。気にすんな、気にすんな」

「あぁ……うん」

「本当の姉弟なんだからよ。これからもGIVE&TAKEで仲良く行こうぜ。なっ」

「……うん」


……本気で格好良い。

真琴ちゃんが元自分だとか、そう言う云々かんぬんの話は抜きにして。

1人の女性として見ても、この現状で、これを笑顔で言い切れる真琴ちゃんが、不覚にも本気で格好良いと思ってしまった。


これは、ほんとヤバいよ。

無意識の内に、一瞬で『ビクッ』って体が反応しちゃう位ヤバいセリフだったしね。


これが、みんなを惹き付けて止まない真琴ちゃんが持つ本質ってものなんだろうけど。

実際、私の顔は、極自然に赤くなってるのが解るだけじゃなく。

それどころか、自分でも情けなくなるぐらい下着の中が濡れてるのが解るほど真琴ちゃんの言葉に反応しちゃってるし……


そりゃあ、こんな風に優しくされたら、誰だって真琴ちゃんの事が好きになっちゃうのも頷ける。


けどまさか、それを私自身が実体験する羽目に成ろうとは……思いも寄らなかったけど。



「さて、んじゃま、これで本当に、この糞長かった話も終わりな。もぉ金輪際。お互い、この話を口にするのは無しな。それでいいな?」

「うん。ありがとう。本当に真琴ちゃんが姉弟で在ってくれた事を誇りに思うよ。最高の姉弟だよ」


それにしても、此処まで真琴ちゃんが親身に成ってくれてるとは思っても見なかったなぁ。

此処までキッチリと私を見続けてくれて、試行錯誤してくれてるとは思いも寄らなかったよ。


それだけに私……これに報いる為にも、もっと、なにか真琴ちゃんに出来る事がないもんなのかな?


このままじゃあ、人としての差が出過ぎだよ。


いや寧ろ、それ以前の問題として。

今の真琴ちゃんが昏睡してた時期に、私は色々と行動させて貰ってただけに、これではあまりにも人として恥ずかし過ぎる。


私は、本当に何も解っていないダメな人間でしかなかったんだね……


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


普段はポンコツだの産業廃棄物だと言われる倉津君ですが。

こう言った大切な場面では、キッチリと倉津君が持つ本来の優しさが滲み出るからこそ、人惹き付けるんでしょうね。


まぁこれ自体、本人は無自覚で言ってるだけに天然なのは否めないのですが。

正直言えば、これを天然で言えるからこそ、本当の優しさなのではないかと私は思っております。


それこそ自覚して言ってたら、そこには「打算」も含まれている訳ですからね(笑)


さてさて、そんな中。

それを実体験させられた眞子の方はと言えば。

そんな倉津君との人間性の差に、完全に落ち込んでしまい。

このままでは駄目だと判断して、なんらかの動きを見せる様なのですが。


一体、この状況下で、どの様な動きを見せようとするのか?

そして、その行動が、今後、どの様な影響を与える事になるのか?


次回は、その辺を書いていこうと思いますので。

良かったら、また遊びに来てくださいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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