●前回のおさらい●
数式を憶えられなかった倉津君。
それで馬鹿にされるのが嫌で見栄を張り。
『ヒナちゃんの知ってる数式を見れば思い出すかも』っと言ってしまい、書きだして貰うのだが。
何故か、その数式が崇秀の物よりも長く……
「……って感じなんだけど」
そう言ってヒナは、計算式を書き終えたんだが……
これ、50行ぐらいあるんだけど。
「いや、ヒナよ」
「なに?どうしたのよ?」
「コレは、流石に長過ぎるだろ。崇秀の計算式は、確実にもっと短かったぞ」
「えっ?嘘。コレでも、真琴の為に、大分簡略したつもりなんだけど」
マジか……
「いやいやいやいや、そうは言ってもだな。アイツの計算式は18行位しかなくて、明らかに、こんなに長くなかったぞ」
「えっ?でも、これ以上、短くしたら、短くした分、座標がズレちゃう事だって有るんだよ。正確に算出しないと、何所に飛ばされるか解らないよ」
そうなんか?
良く解らんが、本人がそう言うなら、そうなんだろうな……多分。
「あぁでもよぉ。Y軸の計算は、正確にしなきゃイケネェかも知れねぇけど。X軸って時間な訳だろ。だったら、もぉちょっとアバウトに計算しても良いんじゃねぇの?」
「アンタ、怖い事を言うわねぇ。そこを、少しでも間違えたら、全然知らない時間とかに飛ばされちゃうかも知れないんだよ。なのに、そんなお気楽な事を良く言えるわね」
「でも、崇秀は、そんなに難しく考えてなかったぞ。アイツは、そこから簡単な方法を見い出してる感じだったしな」
まぁ、真実は知らんがな。
アイツも『簡略したものを書いた』って言ってたから。
実際の計算式は、ヒナが書いた数式なんかよりも、アホみたいに長いのかも知れないけどな。
それは俺が知る由もない。
そして、短い方でも憶えられなかった俺は、ヤッパ、アホなんですな。
「そうなんだ。でも、そのヒントが『球体』ってキーワードだけじゃあねぇ。流石に解析のしようがないね」
「だよなぁ」
ふむ、これは困った事に成ったな。
まぁ、俺が数式を見ても解らないのは解り切った事だったんだが。
ヒナをもってしても、此処まで崇秀の意図を汲めないとなると、もう俺が崇秀の書いた数式を憶えてくるしかないんだよなぁ。
かと言ってなぁ。
まずにして、あれを憶えてくる自信がないし。
なにより、少しでも間違ったら、トンデモナイ事に成っちまうらしいから。
その危険性を孕んでるだけに、いい加減な事も出来ない。
むむむむむ……マジで困ったな。
まぁ勿論、ヒナの手伝いをする上で、これを無理してまで憶えて貰う必要性はないんだが。
本人が知りたがってるのは勿論の事。
なにより、ヒナがX軸の計算が出来てくれた方が、何かと都合は良いんだよなぁ。
さて、そうなったら、どうしたもんかな?
・・・・・・
……っと成るとだ。
無理を承知で、あれを提案してみるしかなさそうだな。
「……あぁだったらよぉ。一層の事、オマエの体をアイツに貸して、直接指導を受けてみるか?それだったら、全部解決するぞ」
「えぇ~~~っ、それは、ちょっとねぇ。……幾ら何でも嫌かな」
「そうだよな。普通に考えても嫌だわな。オマエだって、一応は女子だしな。確かアイツも、そう言ってたしな」
「ちょっと、なにそれ?その人、私じゃ不満だって言うの?信じられない!!」
えっ?
なんで、急に怒っとるんだオマエさんは?
・・・・・・
あっ!!そう言う事か。
「あぁ違う、違う。アイツはな。女子が、男に侵入されるのは、心を犯されてるのと一緒だから、ダメだって言ってただけだぞ。オマエ云々の問題じゃねぇよ」
「あっ、あぁ、そう言う事かぁ。なら、良いんだけど。……一瞬、嫌がられてるのかと思った」
女子ですな。
こう言う所は、ホント女子っぽいんだよなぁ。
「まぁ、それも然りじゃねぇか。女が、男に入られるのが嫌なのと同様に。男が、女の体に入るなんて、実際は嫌なもんなのかも知れないしな。世の中、そんな変態ばっかりじゃねぇと思うぞ」
「あぁそうかぁ。一方的に被害者思考に成ってたけど。そういうのって、男の人も嫌だったりするんだね」
「まぁなぁ。世間一般では『女は気楽だなぁ』とか言ってる馬鹿も居るが。実際は、男なんかより、女の方が苦労が多いからな。その苦労は知りたくねぇってのも、理由の1つなのかも知れないしな」
いや、ホントそうッスよ。
疑似体験とは言え、オィちゃんも、散々眞子の体では苦労させられたからな。
そう言うのを知らずに『女の子は綺麗なだけなものだ』って幻想を抱いていたいって、気持ちも有るんじゃねぇかな。
知ってしまったら、女の体が良いなんて思えないからな。
生理痛いし……
あの体の内側から、瘡蓋でも剥がされる様な感覚は、地獄としか言いようがないしな。
「へぇ~~~、真琴って、良く女子の体の事を理解してるじゃない。ホント大変なんだよ」
「だろうな。ウチのお袋の友美さんなんかも、女の体で、結構、苦労してるみたいだしな。それを見てりゃあ、嫌でも、多少は解るわな」
「でもさぁ、今の言い様だったら、その崇秀って人も、真琴と同じ考えって事?」
「あぁ、アイツは、そんな上辺だけの浅い所だけを見てる訳じゃねぇよ。女の偉大さを、よく理解してるし。その助けになる事なんかも色々考えてる。レベルが違ぇよ」
「下衆な事は考えてないって事?」
いや、根本的な話をしたら、アイツは下衆だぞ。
けど、勿論、そんな事は、口が裂けても言わねぇけどな。
あぁでも、こういう体を貸す貸さないの話をしてる以上。
そういう部分も、キッチリと伝えといた方が良いのかもしれないなぁ。
仮に体を貸す事に成った時。
それを後で知ったら、ヒナが嫌な気分に成るだけだろうしな。
後悔させたくないしな。
「まぁまぁ、正直言えばな。昔のアイツは下衆の極みだったな。でも、今は違う。女を大切にする気持ちも有るし。誰も彼もを成功させてやろうとする様な優しい奴だからな。そう考えれば、基本的に、男女は関係ないかも知れないな」
褒めてる訳じゃねぇんだけどな。
まぁ、事実的にも貶しようがないんだから、しょうがねぇわな。
「そうなんだ。じゃあ、男の人と、女の人の区別をしてないって事?」
「まぁなぁ。アイツにとっちゃあ、性別なんざ『魂の器に過ぎない』って認識なんじゃねぇか」
「魂の器かぁ。……けど、それだと矛盾しちゃわない?男でも、女でも関係ないんだったら、女の子の体でも良い訳なんじゃないの?」
「そうなんだけどな。そうやって自分は割り切れても、他人の認識では、男だの、女だのって成る訳だろ。だから、そこは世間体の問題だろ。女を演じきれないって部分なんかも考慮してると思うしな」
知らんけど。
「……じゃあ、それ、試してみよっか?私、なんか興味湧いてきちゃった」
「はい?」
「いや、そりゃあね。この体を男の人に使われるのには、未だに嫌悪感があるんだけど。直接、その人の魂に触れてみたい気もするのよね。……次元の違う自分自身が、どんな人か、知りたくなっちゃったのかなぁ」
おやおや。
知的好奇心を抑えきれずに、そう言う提案を頂けちゃいますか。
それはそれで有り難いですな。
これが成立すれば、例の『指導』の件も達成出来そうだしな。
まさに一挙両得ですな。
「あぁそぉ。オマエが、それで良いんだったら、それで良いんじゃね。それに、アイツは良い奴だから、今後の為にも知って置いて損はないと思うぞ」
「そうだね。聞いてる範囲じゃ、悪い人じゃなさそうだしね」
「だよな、だよな。じゃあ、心の準備が出来たら言ってくれよ。戻って、アイツに頼んでみるからよ」
「心の準備はいらない。下手に準備しようとすると心がブレちゃいそうだから、そのまま行ってくれて良いわよ。私は、いつでも受け入れOKだから」
あぁ……此処に来て、ヒナの心の強さの片鱗が見え始めたな。
こんな事、普通の女の子じゃ、飲み込める様な話じゃないからな。
良い度胸してやがるよ。
そんな訳で、再びワープを敢行する。
それはそうと、俺のMPは大丈夫か?
クトゥルフでは、移動するたびにMPが減った様な気がするんだが……
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
普通の女子なら、男性を自身の体に憑依させる事なんて。
『絶対に変な事をされるんじゃないか?』っと言う部分を懸念して受け入れないものだとは思うのですが。
知的好奇心に負けてヒナちゃんは、これを受け入れてしまいましたね。
イカれてますね(笑)
まぁ言うてヒナちゃんは、この世界に於ける崇秀の役割を持ってる訳ですから。
少々普通の女の子とは違う感覚を持っていても、そこまで不思議な話でもないんですけどね。
さてさて、そんな中。
数式を憶えるのが嫌だった倉津君の提案によって、ヒナちゃんの体に崇秀を向かい入れる事に成ったのですが。
これ……倉津君が、崇秀を説得しなきゃいけないんですが、納得させられるんですかね?
次回は、その辺を書いていこうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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