●前回のおさらい●
倉津君をキッチリと眞子扱いしながらも、普段通りの会話もしてくれる崇秀。
そんな崇秀の気持ちを汲み取った倉津君は、いつの間にか自然と『女言葉』で会話が出来る様に成っていた。
それに感謝をしていたら、とある美人な看護師さんが現れて……
「あぁ~~~!!何処かで見た事ある子だと思ったら、ヤッパリ、崇秀君じゃない。お久しぶり♪」
「おぉ、そっちこそ誰かと思ったらホッシーじゃんか。……ってか、まだ結婚もせずに病院に勤務してんだな」
「うぐっ!!久しぶりに逢ったって言うのに、イキナリそれ?……相も変わらず、口が悪いんだから」
「いやいや、そこは捉え様、捉え様。ホッシー程の綺麗な人が、なんで、いつまでも『行き遅れてんのかな?』って取ってくれた方が、俺の意思が綺麗に伝わった事になるし。……それにホッシーも、そっちの方が、自尊心に傷が付かないで済むだろ」
酷ぇ……
コイツって生き物は、本当に『容赦』って言葉を知らない奴だな。
このホッシーって看護師さんには久しぶりに会ったみたいなのに、出会って直ぐに、いきなりボロカスだよ。
よくもまぁ、年頃の女性に、そんなヌケヌケとタブーな言葉を連発出来たもんだな。
流石、人の皮と、鬼の皮を被った、生粋の魔王だな。
「最悪。……そして、相も変わらず、果てしなく生意気」
「まぁまぁ、人間、そんなそんな変わんないって……その辺は、長い眼で見てやって頂戴な」
「まぁ、そうね。……あぁ、それはそうと崇秀君」
「ん?」
「最近めっきりライブやらなくなったね。ひょっとして、もぉギター辞めちゃったの?」
「いんにゃ、辞めてねぇよ。それどころか俺、去年の年末に、新曲64曲程CDで出してるんだけどな」
「嘘?……けど、それ、どこのマイナー・レーベルから出したの?言ってくれれば、ご祝儀で1枚ぐらい買ってあげるのに」
「そりゃあ、どうも、ご丁寧に。……まぁけど、ホッシーの心配には及ばねぇよ。多分、そのCD、世界中でミリオンを飛ばし捲くってる筈だからさ」
「えっ?それって、どういう事?……崇秀君のバンド名なんて、CD屋でも、レンタル屋でも1度も見かけた事ないけど」
「おぉ、そいつはまた、相変わらずの見事な節穴さんだな。ホッシーさぁ。俺の音楽が、ギター弾くだけだとか思ってるんじゃないの」
「違うんだ」
そう言って、今までズッと立っていたホッシーと言われてる看護師は、崇秀の横に座る。
いやまぁ、そりゃあ本人が、それで良いのなら俺は構いはしないんだが……この人、勤務中なのに仕事しなくて良いのか?
俗に言う、ダメ人間って奴なんですかね?
「馬鹿じゃねぇんだから、そんな事だけしてる訳ないっしょ」
「じゃあ、なにしてるのよ?」
「楽曲提供」
「楽曲提携?……って事は、なに?自分が作った曲を人に弾かせて、お金を儲けしてるって事?」
「そう言う事。……まぁ疑うんなら、海外のメジャーバンドの作詞・作曲とこ見てみ。何気に、俺の名前が、結構、入ってるからさ」
「ふ~~~ん、そうなんだぁ。本人は、こんな嫌な子なのに、そんな凄い才能を無駄に持ってるんだぁ」
「まぁねぇ。つぅか、天才って奴は、いつの時代にも、そう言う嫌な奴がなるもんさ。これが世の常って奴だ」
「まぁ、そうなんだろうけどさぁ。その言い方、なんかムカツクね。……君」
ホッシーとか言う女は、なぁ~~んか知らんけど。
崇秀と楽しそうに話し込んだまま、その場を動こうともしないんだけど?
マジで仕事しやがらねぇな、この女。
……ってか、この女、いつまで此処に居座って、ベラベラとくっちゃべってるつもりなんだ?
しかも、妙に崇秀にベタベタくっ付いてるしよ。
いい年扱いて、中学生相手に盛ってんじゃねぇぞ。
ホストクラブに遊びに来てるんじゃねぇんだから、看護師は、看護師の仕事をサッサとしに戻れっての!!
それに、化粧の匂いが、なんか妙に鼻に付くし、無駄にイラつく女だな。
……ってかもぉ、耐え切れん。
「ねぇ、崇秀」
「んあ?」
「ずいぶん待たされてるけど、検査の準備って、まだ時間が掛かるのかな?ちょっと時間が掛かり過ぎてない?」
「あぁ、そう言ゃあ、そうだな。そう言われて見れば、確かに、ちょっと遅いよな」
「だよね」
「だな。……だったら眞子。オマエ、ちょっと此処で待ってろな。受付で状況を確認して来るからよ」
「あっ、うん。お願い」
はぁ~~~。
崇秀が受付に準備状況を聞きに行って居なくなりゃ、このホスト好きそうな女も、仕事に戻らざるを得ないだろ。
……つぅか、この化粧独特の臭いって、俺、嫌いなんだよなぁ。
正直言っちまえば、化粧の臭いが服に移るのが嫌だから、あんま、この女に近くに居て欲しくねぇ。
ホントうざい。
「んじゃあ、そういうこって、またなホッシー」
「あぁ、ちょっと待って、ちょっと待って。私も、そろそろ仕事に戻らなきゃイケナイから、そこまで一緒に行こっか。眞子ちゃんもバイバイ♪」
「えっ?あっ、あぁはい、さようなら」
ババァ……てめぇ。
今までベラベラ喋って、一切、此処から動こうとしなかったくせに。
崇秀が立ちあがって、受付に行こうとしただけで、直ぐにホイホイ付いて行く気なのかよ。
なんなんだコイツ?
性欲が溜ままり捲ってるが、捌け口のない『淫乱女』なのか?
それとも、チンコなら、なんでも挿入したくなる様な『男根主義者』か?
どちらにしても、絶対に関わりたくない系のイケスカネェ女だな。
失・せ・ろ。
……ってな感じなんだが。
俺は表情には出さずに、心の中だけでイライラしながら、崇秀と、盛ったババァを、その場で見送った。
そんでババァと言えば、崇秀と受付まで『ワザワザ』一緒に行ってから、テメェの仕事に戻って行きやがったみたいなんだが。
結局、なんだったんだよアイツは?
そんな不愉快な思いをしながら、崇秀を見てみると……今度は、受付の女に捕まってやがるし。
もぉ、ほんと、アイツって奴だけは……どんだけ女誑しなんだよ!!
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
倉津君、崇秀のお陰で、変に意識せずに『女性言葉』で話せるようになったのは良いのですが。
ホッシーさんと楽しく会話をする崇秀を見て、なにやら少しおかしな心境に成っている様ですね。
普通に崇秀と話しているだけのホッシーさんに対して、罵詈雑言が酷い事に成っていますです(笑)
まぁ、これ自体は、女性としては特に珍しい感覚ではなく。
所謂、よくある心理状況で『仲の良い友達を取られる』っと言う感覚ではあるのですが。
ぶっちゃけ言えば。
今の倉津君にとって崇秀は、奈緒さん同様『TS化した自分を受け入れてくれている貴重な存在』
だからこそ、こう言う風に『崇秀に固執した意見を持ち』『些細な事でも、自身から崇秀が離れて行く事に恐怖を感じ』
ホッシーさんに対して、こんな酷い罵詈雑言を心の中で思っているのかもしれませんね。
そぉ……倉津君は『こんな風に成ってしまっている自分が、崇秀に見捨てられるのが怖い』からこそ、女性心理に飲み込まれている感じなんですよ。
まぁそうは言っても、恐らく、本人は無自覚。
基本的に天然な性格をしてますので、寧ろ、そんな事すら気付いていないのかもしれませんがね(笑)
さてさて、そんな風に、自身が眞子と言う事を意識し過ぎて、女性感覚に囚われ始めてる倉津君なのですが。
次回は、そう成っている倉津君の心理を、崇秀が分析し説明していく回と成りますので。
良かったら、是非、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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