最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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203 不良さん、ゼンちゃんとの壮絶な戦い(笑)

公開日時: 2021年8月28日(土) 00:21
更新日時: 2022年12月5日(月) 19:27
文字数:2,449

●前回のおさらい●


 喧嘩には、問題なく勝った。


だが本当に問題なのは、その場に戦利品として残された女の子達。

そして、彼女達を嬉しそうに見ている性欲の権化であるゼン。


倉津君は、一体、どうするのか?

「あのよぉゼン。なんかさぁ、そう言うの辞めねぇ?」

「へぇ?はぁ?えぇ~~~~っ、なんで、そんな発想になるんだよ?戦利品じゃんかよ戦利品。だから、そんな事を言わずに、2人で全員、美味しく頂こうぜ、マコッちゃん」

「いや、まぁそうなんだろうけどよぉ。なんかよぉ『男のしでかした不始末を、女が補う』ってのは、どうにも、おかしくねぇか?それ、完全に『女衒』の発想だぞ」

「まぁ、そうかもしれねぇけどよぉ。こんなチャンスは滅多に無い訳だし。俺は、ミスミス、それを逃すなんて真似は出来ねぇぞ」

「じゃあよぉ。1人だけ連れて行けよ。但し、相手が同意したらな」

「じゃあ、後の3人は、どうすんだよ?マコッちゃん4Pする気か?」

「するか!!……あのなぁ、第一なぁ、俺にゃあ、ちゃんとした彼女が居るんだ。他所の女とHする気なんぞ、更々ねぇんだよ」

「はぁ?マコッちゃんに彼女?なんだよ、それ?それ、どんな物好きだよ?」


オマエさぁ、ヤッパリ、一回記憶無くしてみるか?


良かったらよぉ。

顔面が完全に陥没するぐらい、殴り続けてやっても良いぞ。



「んだよ?信用出来ねぇってのかよ?」

「いや、そう言う訳じゃねぇけどよぉ……マコッちゃんだろ~~~」

「んだかなぁ。まぁ良いや、そこまで言うんなら、写真ぐらい見せてやっても良いぞ」

「いや、別に良いって。そんなの、全然興味ねぇし」


コッ、コイツ……人の彼女を、なんだと思ってやがるんだ?

オマエ、ひょっとして、俺の彼女が『凄いブス』だとか思ってんじゃねぇだろうな?


もしそうなら、流石にムカツクな。



「あぁそうかよ。じゃあよぉ、その写真の女性を見て、一瞬でも『美人』だと思ったら、この女の子達は開放してやれ。もし『ブス』だと思ったら、全員好きにしろ」

「マジで!!じゃあ、そうしよう、そうしよう。早速見せてくれよ、マコッちゃんの彼女。俺、滅茶苦茶興味あるなぁ」


コイツだけは……


それになんだよ。

その勝利を確信した様なものの言い方。


ほんと、ムカツク野郎だ!!


まぁその分、奈緒さんの写真を見たら、後悔する事になるだろうけどな。


馬鹿メ!!



「ほらよ。これが俺の彼女の写真だ」

「どれどれ……なんだよ、全然ブ……」


ゼンは、それを受け取ると同時に、写真をロクに見ようともせず、速攻で『ブス』と言い掛けた。

……だが、チラッと奈緒さんの姿が視界に入ってしまったのが原因で、写真を凝視する羽目になる。


それ以降、ゼンの動きは、完全に止まった。


ヤッパ、止まったか……予想以上の反応だが、ゼンの奴、ピクリとも動かねぇぞ。

いや、よく見ると、写真を持ったままプルプル小刻みに震えている。


少しの間、そんな感じで、奈緒さんの写真を見ていたゼンだが、ゆっくりとギコチナイ動きで、コチラに顔だけ向ける。


その姿は、まるで『壊れて錆びきった機械』だ。


そんで、写真を1度指差して、俺を指差す。

俺は、それに答える様にコクッと頷くと、ゼンは、それを拒絶する様に何度も首を横に振った。


まぁ順当な反応だな。

自分で言うのもなんだが、奈緒さんは、俺には過ぎたる存在だからな。


そう思っていると、ゼンは、突然笑い出した。



「はは……マコッちゃ~~ん。妄想は良くないぞ。こんな綺麗な人が、俺等、中坊なんぞを相手にする訳ないじゃん」

「いや、マジで、俺の彼女だし」

「いやいやいやいや、じゃあ、名前なんて言うんだよ?幾つだよ?どこの学校だよ?」


疑うなぁ、コイツ。


そこまで否定したいのか?



「向井奈緒、16歳、蓮田高校1年、趣味は楽器演奏と、俺をからかう事……あぁ因みにだが、素直も知り合いだぞ」

「素直って、誰だよ」

「シラネェか?有野素直……俺のクラスメイトだよ」

「有野素直って……おいおいおいおいマコッちゃん。頭おかしくなったのか?有野素直って言やぁ。あの勉強が出来て、真面目で、可愛い子だろ。不良のマコッちゃんが連れな訳ないじゃん」

「いや、連れだぞ。この間も、アイツに頼まれて、アイツの買い物付き合ってやったし」

「嘘だぁ~」


ゼンよぉ。

いい加減認めたら、どうだ?


現実から眼を背けても、結果は同じだぞ。



「まぁ、信用しないんじゃ話にならねぇな」

「いや、信用しろって方が、どうかしてるぞ」

「まぁなぁ。オマエの言い分も解らなくはないな」

「だろ……普通なら、誰も信用しないって」

「チッ、まいったなぁ……あぁそうだ、そうだ。だったらよぉ、崇秀の馬鹿か、山中のアホに聞いてみろよ。アイツ等2人共、奈緒さんの事を良く知ってるからよぉ」


崇秀も山中も、必要の無い嘘は、絶対につかない。


ゼンの馬鹿も、その辺を良く理解している。



「えっ?……マジかよ?マコッちゃん、マジで、そんな事を言ってんのか?」

「だ・か・ら、最初からマジだって言ってんだろ……っで、どうなんだよ?奈緒さんブスか?」

「・・・・・・」

「黙ってちゃ、わかんねぇだろ」

「……くそぉ~~~!!オマエのカァチャン出臍!!死んじまえ!!くそぉ、くそぉ!!家に帰ってオナニーしまくってやる!!」


あっ……ゼンの奴、思いっきり泣いてる。


泣いて、全力疾走で走り去りやがった。


―――哀れな男だ。


にしてもよぉ。

捨て台詞が『オマエのカァチャン出臍』と『家に帰ってオナニーしまくってやる』って、どうよ?


別に、ウチの母親である友美さんは出臍じゃねぇし……


それによぉ『家に帰ってオナニーしまくる』のは、結構なんだがな。

一体、なにをネタに、オナニーするって言うんだよ?


馬鹿かアイツは……


・・・・・・


……って、ちょっと待てぇい!!

アイツ、なにドサクサ紛れに奈緒さんの写真持って行ってやがんだ!!


オイオイオイオイ……まさかとは思うが、その勢いのまま奈緒さんで抜く気じゃねぇだろうな!!


オマエ、連れの彼女で抜くとか、正気を失ってるにも程が有るぞ。



まぁ……今回に限っては良いか。

奈緒さんの写真と言う尊い犠牲のお陰で、戦利品扱いされた可哀想な女の子達4人が、ゼンの毒牙に掛かる事無く、無事に救出された訳だしな。


納得出来ねぇけど、これはある意味仕方がないさ……


全然、納得出来ねぇけど……


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>


ゼンちゃん、中々の最低っぷりを発揮して、この場を後にしましたね。


まぁこれ以上、ゴチャゴチャ言ったら。

倉津君がシバイて来るのが解っていたから、諦めたのでしょうね(笑)


だが、冷静に考えると、これは大変な事に成っている。


その大変さは、次回の講釈。


また良かったら、遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ

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