●前回のおさらい●
喧嘩には、問題なく勝った。
だが本当に問題なのは、その場に戦利品として残された女の子達。
そして、彼女達を嬉しそうに見ている性欲の権化であるゼン。
倉津君は、一体、どうするのか?
「あのよぉゼン。なんかさぁ、そう言うの辞めねぇ?」
「へぇ?はぁ?えぇ~~~~っ、なんで、そんな発想になるんだよ?戦利品じゃんかよ戦利品。だから、そんな事を言わずに、2人で全員、美味しく頂こうぜ、マコッちゃん」
「いや、まぁそうなんだろうけどよぉ。なんかよぉ『男のしでかした不始末を、女が補う』ってのは、どうにも、おかしくねぇか?それ、完全に『女衒』の発想だぞ」
「まぁ、そうかもしれねぇけどよぉ。こんなチャンスは滅多に無い訳だし。俺は、ミスミス、それを逃すなんて真似は出来ねぇぞ」
「じゃあよぉ。1人だけ連れて行けよ。但し、相手が同意したらな」
「じゃあ、後の3人は、どうすんだよ?マコッちゃん4Pする気か?」
「するか!!……あのなぁ、第一なぁ、俺にゃあ、ちゃんとした彼女が居るんだ。他所の女とHする気なんぞ、更々ねぇんだよ」
「はぁ?マコッちゃんに彼女?なんだよ、それ?それ、どんな物好きだよ?」
オマエさぁ、ヤッパリ、一回記憶無くしてみるか?
良かったらよぉ。
顔面が完全に陥没するぐらい、殴り続けてやっても良いぞ。
「んだよ?信用出来ねぇってのかよ?」
「いや、そう言う訳じゃねぇけどよぉ……マコッちゃんだろ~~~」
「んだかなぁ。まぁ良いや、そこまで言うんなら、写真ぐらい見せてやっても良いぞ」
「いや、別に良いって。そんなの、全然興味ねぇし」
コッ、コイツ……人の彼女を、なんだと思ってやがるんだ?
オマエ、ひょっとして、俺の彼女が『凄いブス』だとか思ってんじゃねぇだろうな?
もしそうなら、流石にムカツクな。
「あぁそうかよ。じゃあよぉ、その写真の女性を見て、一瞬でも『美人』だと思ったら、この女の子達は開放してやれ。もし『ブス』だと思ったら、全員好きにしろ」
「マジで!!じゃあ、そうしよう、そうしよう。早速見せてくれよ、マコッちゃんの彼女。俺、滅茶苦茶興味あるなぁ」
コイツだけは……
それになんだよ。
その勝利を確信した様なものの言い方。
ほんと、ムカツク野郎だ!!
まぁその分、奈緒さんの写真を見たら、後悔する事になるだろうけどな。
馬鹿メ!!
「ほらよ。これが俺の彼女の写真だ」
「どれどれ……なんだよ、全然ブ……」
ゼンは、それを受け取ると同時に、写真をロクに見ようともせず、速攻で『ブス』と言い掛けた。
……だが、チラッと奈緒さんの姿が視界に入ってしまったのが原因で、写真を凝視する羽目になる。
それ以降、ゼンの動きは、完全に止まった。
ヤッパ、止まったか……予想以上の反応だが、ゼンの奴、ピクリとも動かねぇぞ。
いや、よく見ると、写真を持ったままプルプル小刻みに震えている。
少しの間、そんな感じで、奈緒さんの写真を見ていたゼンだが、ゆっくりとギコチナイ動きで、コチラに顔だけ向ける。
その姿は、まるで『壊れて錆びきった機械』だ。
そんで、写真を1度指差して、俺を指差す。
俺は、それに答える様にコクッと頷くと、ゼンは、それを拒絶する様に何度も首を横に振った。
まぁ順当な反応だな。
自分で言うのもなんだが、奈緒さんは、俺には過ぎたる存在だからな。
そう思っていると、ゼンは、突然笑い出した。
「はは……マコッちゃ~~ん。妄想は良くないぞ。こんな綺麗な人が、俺等、中坊なんぞを相手にする訳ないじゃん」
「いや、マジで、俺の彼女だし」
「いやいやいやいや、じゃあ、名前なんて言うんだよ?幾つだよ?どこの学校だよ?」
疑うなぁ、コイツ。
そこまで否定したいのか?
「向井奈緒、16歳、蓮田高校1年、趣味は楽器演奏と、俺をからかう事……あぁ因みにだが、素直も知り合いだぞ」
「素直って、誰だよ」
「シラネェか?有野素直……俺のクラスメイトだよ」
「有野素直って……おいおいおいおいマコッちゃん。頭おかしくなったのか?有野素直って言やぁ。あの勉強が出来て、真面目で、可愛い子だろ。不良のマコッちゃんが連れな訳ないじゃん」
「いや、連れだぞ。この間も、アイツに頼まれて、アイツの買い物付き合ってやったし」
「嘘だぁ~」
ゼンよぉ。
いい加減認めたら、どうだ?
現実から眼を背けても、結果は同じだぞ。
「まぁ、信用しないんじゃ話にならねぇな」
「いや、信用しろって方が、どうかしてるぞ」
「まぁなぁ。オマエの言い分も解らなくはないな」
「だろ……普通なら、誰も信用しないって」
「チッ、まいったなぁ……あぁそうだ、そうだ。だったらよぉ、崇秀の馬鹿か、山中のアホに聞いてみろよ。アイツ等2人共、奈緒さんの事を良く知ってるからよぉ」
崇秀も山中も、必要の無い嘘は、絶対につかない。
ゼンの馬鹿も、その辺を良く理解している。
「えっ?……マジかよ?マコッちゃん、マジで、そんな事を言ってんのか?」
「だ・か・ら、最初からマジだって言ってんだろ……っで、どうなんだよ?奈緒さんブスか?」
「・・・・・・」
「黙ってちゃ、わかんねぇだろ」
「……くそぉ~~~!!オマエのカァチャン出臍!!死んじまえ!!くそぉ、くそぉ!!家に帰ってオナニーしまくってやる!!」
あっ……ゼンの奴、思いっきり泣いてる。
泣いて、全力疾走で走り去りやがった。
―――哀れな男だ。
にしてもよぉ。
捨て台詞が『オマエのカァチャン出臍』と『家に帰ってオナニーしまくってやる』って、どうよ?
別に、ウチの母親である友美さんは出臍じゃねぇし……
それによぉ『家に帰ってオナニーしまくる』のは、結構なんだがな。
一体、なにをネタに、オナニーするって言うんだよ?
馬鹿かアイツは……
・・・・・・
……って、ちょっと待てぇい!!
アイツ、なにドサクサ紛れに奈緒さんの写真持って行ってやがんだ!!
オイオイオイオイ……まさかとは思うが、その勢いのまま奈緒さんで抜く気じゃねぇだろうな!!
オマエ、連れの彼女で抜くとか、正気を失ってるにも程が有るぞ。
まぁ……今回に限っては良いか。
奈緒さんの写真と言う尊い犠牲のお陰で、戦利品扱いされた可哀想な女の子達4人が、ゼンの毒牙に掛かる事無く、無事に救出された訳だしな。
納得出来ねぇけど、これはある意味仕方がないさ……
全然、納得出来ねぇけど……
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>
ゼンちゃん、中々の最低っぷりを発揮して、この場を後にしましたね。
まぁこれ以上、ゴチャゴチャ言ったら。
倉津君がシバイて来るのが解っていたから、諦めたのでしょうね(笑)
だが、冷静に考えると、これは大変な事に成っている。
その大変さは、次回の講釈。
また良かったら、遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ
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