最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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595 片倉さんのバンド仲間の実力

公開日時: 2022年9月24日(土) 00:21
更新日時: 2023年1月14日(土) 16:11
文字数:3,046

●前回のおさらい●


 片倉さんの手伝いをする為に、渋谷のライブハウスに着いた迄は良かったが。

まだバンドのメンバーは来ていなかったので、片倉さんと自身の恋愛観について語り。


眞子の事が好きな様な仕草を見せる彼を、精神的に撃退する。

 ……さてさて、そんな訳で見事に撃沈を果たした量カジを尻目に。

あれから10分ほど経過したぐらいに、漸く、時間も守れない糞ッタレ・バンドメンバー共がダラダラと現れやがった。


まぁ本来なら此処で、奴等が『生きてるのが嫌になるぐらい悪口を言いたかった』んだが、そこは眞子なので我慢。


取り敢えず、糞ッタレ共のリハーサル的な練習演奏を聴いてみる事にはしたんだが。


・・・・・・


オイオイ……なんだ、こりゃあ?

コイツ等の演奏って、上手いとか、下手とか、そう言うレベルの問題じゃないぞ!!

ハッキリ言っちまえば、ウチのバンドの最低レベルのグチはおろか、こんなの、楽器を無理矢理弾いてるだけの、聞くに堪えない様な雑音レベルでしかねぇじゃねぇかよ!!


なのにも拘らず、本人達は『シタリ顔』

それ処か『今日は、いつもより上手く演奏出来たよな』とか言い出す始末。


……こりゃあまた、酷い地獄に連れて来られたもんだ。


付け加えて言えばな。

量カジの糞ッタレまでもが、バンドのメンバーとしてベースを弾いてるんだよな。


しかしまぁ、良くもこんな低レベルで、人前でライブしようと思ったもんだよ。


厚顔無恥も甚だしいぞ……



「どうだった倉津さん?俺等、イケてた?」

「えっ?あっ……あの、此処は正直に言って良いですか?」

「倉津さんに評価されんの?うわっ、緊張するなぁ。だったらもぉ正直に言っちゃって正直に」


ふざけんなぁ!!

テメェ等の演奏なんざ、緊張するとか、しねぇとかのレベルじゃねぇんだよ!!


ぶっちゃけ言えば、評価にも値しねぇわ!!


あんま音楽舐めてたら、全員殺すぞゴラァ~~!!


大体、オマエ等なぁ。

まず俺の評価を気にする前に、真剣にバンドやってる人達全員に土下座して謝って来い!!

要は、それほど酷い演奏だってこったよ!!


あぁ~~~イカン。

このままじゃ、マジで普通に全員殴っちまいそうだ……だからせめて、心に眞子モードを混ぜよ。



「あぁ、じゃあ、遠慮なくハッキリ言わせて頂きますけど。……中学校の文化祭レベルにも達してないですよ」

「はぁ~~~~?なんだとぉ~~~」


あぁ、はい。

間違いなく、アナタが一番下手なんですよ。

先程の演奏を聞いて、一瞬『もぉぶっ殺してやろうか』って位の殺意が芽生えましたから……


あぁ今、私に話し掛けた人が、ドラムを叩いてる兼次敏郎って人なんですけどね。

ドラマーのクセに……

筋肉は無いわ。

ヒョロヒョロだわ。

体は堅いわ。

腕は撓らないわの。

地獄の4拍子が揃ってる様な酷いドラマーさんなんですよ。


しかも、リズム感も音感すらも0と来たもんだ。


更に言えば、ステージ衣装なのか、なにかは知らないけど……なんですか、その北斗の拳の雑魚みたいな格好は?

やってる音楽がアニソンだからって、意味不明なんですけど?



「あの『正直に言っても良い』って言われたもので」

「オマエ、全然わかってないなぁ。俺等の音楽ってもんを」


えぇっと……知りたくもないですよ。

ガチャガチャ、ギターリストの武田猛さん。


……って言いますかね。

アナタの音楽は、音を楽しむと言うコンセプトから外れて、音を楽しめないから音楽じゃなくて『音獄』ですよ。


音の地獄と書いて、音獄と読むのです。


……って、それ以前にですね。

ギターを触った事のない私でも、その程度の演奏なら余裕で弾けますよ。

コードぐらい、ちゃんと押さえれる様になってから、人前で演奏した方が良いんじゃないですかね?


って言うか……もぉ~~死~~ねッ♪ってレベルですね。



「音楽……って」

「わかんねぇんだよ、素人には。……無茶言ってやんなよ」


あぁっと……それは、どこの国のお話ですか?

おとぎの国の話ですか?ヴォーカルの篠田雅夫さん。


多分、アナタの声が聞こえたら、観客の皆さんが気分が悪くなるし、病院に運ばれるので、早急に辞めてあげて下さいね。


大体にして、どこから出したら、そんな薄気味の悪い声が出るんですか?

アナタも武田猛さん同様、地獄から来た地獄の使者なんですか?


だったら……2人で仲良く地獄に帰って下さいね♪


って言うか……現世に2度と来んな♪


全員灰になれ♪



「待て待て……この子は、GUILDランカーの魔虎兄貴の親戚だぞ。ちゃんと意見を聞こうぜ」

「なんだとぉ~~~?我等が尊敬する狂獣・魔虎兄貴の親戚だとぉ~~~!!」

「あぁ、そうなんだよ」

「マジかよぉ~~~」

「証拠あんのかよぉ~~~」

「だから、待てって……なぁ、倉津さん、マジで、どこが良くなかったんだ?」


全部じゃああぁぁぁぁ~~~!!


オドレ等なぁ、マジで、あんま音楽をなめとったらアカンど!!

くだんねぇ事ばっかり言ってっと、仕舞いにはいてコマスぞゴラァ~~!!



「……全部です」

「いや、全部って言われてもなぁ。もぉちょっと具体的に、なにかないかなぁ?」

「だったら片倉さん、ちょっとベースを貸して下さい。何が悪いかを、行動で示しますから……」


アカン。

下手に眞子モード混ぜとったら、コイツ等、いつまで経っても解らんわ。


だからオンドレもゴチャゴチャ言うとらんで、はよ儂にベースを貸したらんかい!!


俺は心の眞子モードを解除して、究極の奈緒暴走モードに変換した。


女の子は器用に出来てるんだよ♪


……って言ってもな。

この形になってからベ-スを一回も弾いてないから……不安がない訳でもないんだけどな。


まぁそうは言っても、この雑魚共よりは、確実に良い音を出す自信位なら持ち合わせているから大丈夫だろ。


多分。


知らんけど。



「あっ、あぁ」


前髪からチラッとだけ見せる俺の睨みが効いたのか、片倉のボンクラは、大人しく俺にベースを手渡した。


おや?コイツは……【Music-man 1979 Sting -ray bass】じゃないですかい。


ふむふむ、不安は残るものの、これなら、なんとかなるかもしれないな。


……って言うのもな。

俺に使っていた【Fender USA American Deluxe Jazz Bass Fletless】は書いて字の如く『Fletless』


でも、このベースは『フレット付き』


此処は楽器を使った事がある奴なら解る事なんだが。

これなら、かなり演奏が楽だから、慣れない女の身でも、正に、なんとかなるんじゃないかなぁって思う訳だな。


……にしてもよぉ。

オドレ如きド素人が、こんな良いベースを持つな!!

宝の持ち腐れにも程があるんじゃボケ!!


俺は片倉から受け取ったベースを片手に持ったまま、観客の居ないステージに上がる。


そしたら……



「オイオイオイオイ、ステージに上がるんは良いけど、ベースだけで、なに弾くんですか?お嬢ちゃ~~~~ん?」

「そこをどいてください。どかないと、のど飴を口の中に突っ込んで、窒息するまで放り込みますよ」

「なんだとぉ~~~!!」

「口を開かないで、息が出来なくなるから……って言うか、臭い」

「臭くねぇよぉ~~~~~」

「さっきからうるさいなぁ……もぉ良いから黙れよ、オマエ」

「ヒッ!!」


篠田の奴は、睨んだだけで、馬鹿ッ面を晒して尻餅をついた。


この口だけのヘタレが……


つぅか、俺の怖さが身に染みたのなら、マジで、これ以上、俺をイライラさせんなよ。

次、誰かが話し掛けた時点で、全員、テメェ等の楽器をケツの穴に突っ込んで、一生、屁で音楽を奏でさせる様にするからな。


なんて心の中で忠告ををしながらも俺は、シールドを荒っぽくアンプにぶち込み。


片倉から借りたベースを構える。



「良いですか?……これが、人に聞かせれる最低レベルの音楽です。良く聞いてて下さいね」


俺は一旦、大きく右手を上げてから一気にベースを弾きだす。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


漸く、TS編初のライブに入りそうな雰囲気だったのに、そのメンバーがこの有様じゃ地獄ですね。


でも、倉津君自身は『ど素人のカジ&グチ君を育てた実績がある』ので、此処は腕の見せ所。

この経験を生かせば、案外、どうにかなる物かもしれませんね。


……って訳で次回は。

その辺りの育成方法や、ライブに対する案を倉津君が提案いたしますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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