●前回のおさらい●
片倉さんの手伝いをする為に、渋谷のライブハウスに着いた迄は良かったが。
まだバンドのメンバーは来ていなかったので、片倉さんと自身の恋愛観について語り。
眞子の事が好きな様な仕草を見せる彼を、精神的に撃退する。
……さてさて、そんな訳で見事に撃沈を果たした量カジを尻目に。
あれから10分ほど経過したぐらいに、漸く、時間も守れない糞ッタレ・バンドメンバー共がダラダラと現れやがった。
まぁ本来なら此処で、奴等が『生きてるのが嫌になるぐらい悪口を言いたかった』んだが、そこは眞子なので我慢。
取り敢えず、糞ッタレ共のリハーサル的な練習演奏を聴いてみる事にはしたんだが。
・・・・・・
オイオイ……なんだ、こりゃあ?
コイツ等の演奏って、上手いとか、下手とか、そう言うレベルの問題じゃないぞ!!
ハッキリ言っちまえば、ウチのバンドの最低レベルのグチはおろか、こんなの、楽器を無理矢理弾いてるだけの、聞くに堪えない様な雑音レベルでしかねぇじゃねぇかよ!!
なのにも拘らず、本人達は『シタリ顔』
それ処か『今日は、いつもより上手く演奏出来たよな』とか言い出す始末。
……こりゃあまた、酷い地獄に連れて来られたもんだ。
付け加えて言えばな。
量カジの糞ッタレまでもが、バンドのメンバーとしてベースを弾いてるんだよな。
しかしまぁ、良くもこんな低レベルで、人前でライブしようと思ったもんだよ。
厚顔無恥も甚だしいぞ……
「どうだった倉津さん?俺等、イケてた?」
「えっ?あっ……あの、此処は正直に言って良いですか?」
「倉津さんに評価されんの?うわっ、緊張するなぁ。だったらもぉ正直に言っちゃって正直に」
ふざけんなぁ!!
テメェ等の演奏なんざ、緊張するとか、しねぇとかのレベルじゃねぇんだよ!!
ぶっちゃけ言えば、評価にも値しねぇわ!!
あんま音楽舐めてたら、全員殺すぞゴラァ~~!!
大体、オマエ等なぁ。
まず俺の評価を気にする前に、真剣にバンドやってる人達全員に土下座して謝って来い!!
要は、それほど酷い演奏だってこったよ!!
あぁ~~~イカン。
このままじゃ、マジで普通に全員殴っちまいそうだ……だからせめて、心に眞子モードを混ぜよ。
「あぁ、じゃあ、遠慮なくハッキリ言わせて頂きますけど。……中学校の文化祭レベルにも達してないですよ」
「はぁ~~~~?なんだとぉ~~~」
あぁ、はい。
間違いなく、アナタが一番下手なんですよ。
先程の演奏を聞いて、一瞬『もぉぶっ殺してやろうか』って位の殺意が芽生えましたから……
あぁ今、私に話し掛けた人が、ドラムを叩いてる兼次敏郎って人なんですけどね。
ドラマーのクセに……
筋肉は無いわ。
ヒョロヒョロだわ。
体は堅いわ。
腕は撓らないわの。
地獄の4拍子が揃ってる様な酷いドラマーさんなんですよ。
しかも、リズム感も音感すらも0と来たもんだ。
更に言えば、ステージ衣装なのか、なにかは知らないけど……なんですか、その北斗の拳の雑魚みたいな格好は?
やってる音楽がアニソンだからって、意味不明なんですけど?
「あの『正直に言っても良い』って言われたもので」
「オマエ、全然わかってないなぁ。俺等の音楽ってもんを」
えぇっと……知りたくもないですよ。
ガチャガチャ、ギターリストの武田猛さん。
……って言いますかね。
アナタの音楽は、音を楽しむと言うコンセプトから外れて、音を楽しめないから音楽じゃなくて『音獄』ですよ。
音の地獄と書いて、音獄と読むのです。
……って、それ以前にですね。
ギターを触った事のない私でも、その程度の演奏なら余裕で弾けますよ。
コードぐらい、ちゃんと押さえれる様になってから、人前で演奏した方が良いんじゃないですかね?
って言うか……もぉ~~死~~ねッ♪ってレベルですね。
「音楽……って」
「わかんねぇんだよ、素人には。……無茶言ってやんなよ」
あぁっと……それは、どこの国のお話ですか?
おとぎの国の話ですか?ヴォーカルの篠田雅夫さん。
多分、アナタの声が聞こえたら、観客の皆さんが気分が悪くなるし、病院に運ばれるので、早急に辞めてあげて下さいね。
大体にして、どこから出したら、そんな薄気味の悪い声が出るんですか?
アナタも武田猛さん同様、地獄から来た地獄の使者なんですか?
だったら……2人で仲良く地獄に帰って下さいね♪
って言うか……現世に2度と来んな♪
全員灰になれ♪
「待て待て……この子は、GUILDランカーの魔虎兄貴の親戚だぞ。ちゃんと意見を聞こうぜ」
「なんだとぉ~~~?我等が尊敬する狂獣・魔虎兄貴の親戚だとぉ~~~!!」
「あぁ、そうなんだよ」
「マジかよぉ~~~」
「証拠あんのかよぉ~~~」
「だから、待てって……なぁ、倉津さん、マジで、どこが良くなかったんだ?」
全部じゃああぁぁぁぁ~~~!!
オドレ等なぁ、マジで、あんま音楽をなめとったらアカンど!!
くだんねぇ事ばっかり言ってっと、仕舞いにはいてコマスぞゴラァ~~!!
「……全部です」
「いや、全部って言われてもなぁ。もぉちょっと具体的に、なにかないかなぁ?」
「だったら片倉さん、ちょっとベースを貸して下さい。何が悪いかを、行動で示しますから……」
アカン。
下手に眞子モード混ぜとったら、コイツ等、いつまで経っても解らんわ。
だからオンドレもゴチャゴチャ言うとらんで、はよ儂にベースを貸したらんかい!!
俺は心の眞子モードを解除して、究極の奈緒暴走モードに変換した。
女の子は器用に出来てるんだよ♪
……って言ってもな。
この形になってからベ-スを一回も弾いてないから……不安がない訳でもないんだけどな。
まぁそうは言っても、この雑魚共よりは、確実に良い音を出す自信位なら持ち合わせているから大丈夫だろ。
多分。
知らんけど。
「あっ、あぁ」
前髪からチラッとだけ見せる俺の睨みが効いたのか、片倉のボンクラは、大人しく俺にベースを手渡した。
おや?コイツは……【Music-man 1979 Sting -ray bass】じゃないですかい。
ふむふむ、不安は残るものの、これなら、なんとかなるかもしれないな。
……って言うのもな。
俺に使っていた【Fender USA American Deluxe Jazz Bass Fletless】は書いて字の如く『Fletless』
でも、このベースは『フレット付き』
此処は楽器を使った事がある奴なら解る事なんだが。
これなら、かなり演奏が楽だから、慣れない女の身でも、正に、なんとかなるんじゃないかなぁって思う訳だな。
……にしてもよぉ。
オドレ如きド素人が、こんな良いベースを持つな!!
宝の持ち腐れにも程があるんじゃボケ!!
俺は片倉から受け取ったベースを片手に持ったまま、観客の居ないステージに上がる。
そしたら……
「オイオイオイオイ、ステージに上がるんは良いけど、ベースだけで、なに弾くんですか?お嬢ちゃ~~~~ん?」
「そこをどいてください。どかないと、のど飴を口の中に突っ込んで、窒息するまで放り込みますよ」
「なんだとぉ~~~!!」
「口を開かないで、息が出来なくなるから……って言うか、臭い」
「臭くねぇよぉ~~~~~」
「さっきからうるさいなぁ……もぉ良いから黙れよ、オマエ」
「ヒッ!!」
篠田の奴は、睨んだだけで、馬鹿ッ面を晒して尻餅をついた。
この口だけのヘタレが……
つぅか、俺の怖さが身に染みたのなら、マジで、これ以上、俺をイライラさせんなよ。
次、誰かが話し掛けた時点で、全員、テメェ等の楽器をケツの穴に突っ込んで、一生、屁で音楽を奏でさせる様にするからな。
なんて心の中で忠告ををしながらも俺は、シールドを荒っぽくアンプにぶち込み。
片倉から借りたベースを構える。
「良いですか?……これが、人に聞かせれる最低レベルの音楽です。良く聞いてて下さいね」
俺は一旦、大きく右手を上げてから一気にベースを弾きだす。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
漸く、TS編初のライブに入りそうな雰囲気だったのに、そのメンバーがこの有様じゃ地獄ですね。
でも、倉津君自身は『ど素人のカジ&グチ君を育てた実績がある』ので、此処は腕の見せ所。
この経験を生かせば、案外、どうにかなる物かもしれませんね。
……って訳で次回は。
その辺りの育成方法や、ライブに対する案を倉津君が提案いたしますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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