●前回のおさらい●
79Sting -rayに魅力と己の欲望に屈し。
コスプレをしてライブをする事にした倉津君だが……一体、どんなコスプレをさせられてるのか?
その一部始終がこれだ!!(笑)
一旦ライトが落とされ、会場内が静寂に包まれた中、ライブが始まった。
そして突然、ドラムのヘチョイ音が鳴り響き。
北斗の雑魚の格好をした兼続の奴が、あまり良いリズムを刻んでいないドラムをポコポコと叩き始めた。
そして即座に、同じリズムを奏でるベースのパートが来るんだが……
こんな音だけじゃ、流石に演奏を聞いてる者のテンションが下がるだけ。
なら、此処で会場の空気を一転させる為にも、よし!!気合い入れて一丁いったるか!!
この期に及んで、もぉコスプレしてるとか、どうとか言ってる場合じゃないしな!!
行くぜぇ~~~!!
「不知火眞子!!日本一!!いきま~~~す!!」
うわ~~~~ん!!
気合い入れてコスプレしてるのを誤魔化そうとしたけど、ヤッパ嫌だぁ~~~~!!
しかも、渡された衣装が。
『半ケツ』
『ハミ乳』
……って、なんで寄りにも拠って、布面積の一番小さい『不知火さん』の衣装しかねぇんだよ!!
その上、更になんで『決めポーズ』までとって、こんな場所でベースをベンベカ弾かにゃあならんのだ!!
いやぁぁぁぁあぁぁぁ~~~だぁ~~~!!
ってか、マジで、なに、この羞恥プレイ?
79のSting -rayの為にやってる事とは言え。
こんな俺の無様な姿を、誰も見ないでくれぇ~~~!!
「えっ?ちょ、なっ、なに?こっ、この子、メッチャ、かっ……可愛い!!コッチ向いてくれぇ眞子ちゃ~~~ん!!」
へっ?はい?
なんッスか?
あれ?あれれ?
なんだ、この異様なまでに、俺に集中してる観客の視線は?
なになに、これ?
「眞子ちゃん!!最高だぜぇ~~~!!日本一処か、世界一、いや、宇宙一似合ってるぞぉ~~!!」
嘘!!マジで!!
ほんとに本当か?
この格好は、そんなに評価して貰えるぐらい似合ってるのか?
「「「「「「きゃああぁ~~~!!眞子ちゃ~~~~ん!!」」」」」」
あれあれあれ?
ひょっとして、これって。
こんな破廉恥な格好でベースを弾いてるって言うのに、観客の皆さんに受け入れられてる?
あらまぁ。
・・・・・・
……あぁっそう。
んじゃあ、そんな親切に俺を受け入れてくれた観客の皆さんには、たっぷりと『今しがた私物に成ったSting -rayちゃん』を味あわせてあ・げ・る・ね♪
超満足の行くライブにしてあげるから。
俺の全力の演奏を、たっぷり味わってくれぇ~~~い
イッケエェェエェェ~~~♪
-♪--♪-♪-♪-------♪--♪-♪-♪--♪-♪--♪-♪-♪--♪-♪--♪-♪-♪--♪-……
この後、全員を演奏を飲み込む位の勢いで演奏し。
渇いた重低音とも言える爆音が、会場内に響き渡った。
「「「「「「わぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁ~~~~~!!」」」」」」
そして、こうやって会場の中は、異常なまでの盛り上がりを見せて行くんだが……
後の事は……記憶がねぇから知らね。
まぁ、微妙に記憶が残っているとするならば。
片倉のバンドの連中は、予定通り3曲しか演奏しなかったんだが。
俺だけはステージに残って、その後もDJの音に合わせてベースを弾き続けてたみたいだな。
ってな訳で、意外と、このコスプレライブも楽しかった様な気がする。
あぁ後……そう言えば、これは、今の話とは全然関係ない話なんだけどな。
この不知火さんの衣装って、布面積が小さく、露出が多いのは余り好ましくはないだが。
その分、体の動きが制限されないから、滅茶苦茶ベースが弾き易いんだよな、これがまた。
そんなの、どうでも良い情報ッスね……
そうッスね……
はい、すみません。
***
そんな風にライブを終了させ。
奈緒おねぇ様の家に帰って来たのはPM10:30。
奈緒おねぇ様は、先に仕事から帰っていたのか、彼女の靴が玄関口に置いてあった。
だから……
「只今、帰りました」
「あっ、お帰り眞子。コミケは楽しかった?」
「あぁ、はぁ~~~、まぁ、なんと言いますか。それなりには楽しかったですね……」
「そっ……うん?ところで眞子。なんでコミケに行った筈なのにハードケースなんか持って帰って来てるのよ?」
「はぁ、これには、海よりも深い事情がありまして」
「そうなんだ。……じゃあ、その話は、後でゆっくり聞く事にして。時間も時間だし、先に年越しそばでも食べよっか」
「奈緒さ……あぁ、いや、奈緒おねぇ様、待っててくれたんですか?」
「当然。今年は、君との初めての年越しだよ。そんなの先に食べてる訳ないじゃない」
「おねぇ様……」
わ~~~~い!!(((o(*゚▽゚*)o)))
ヤナ事があった後には、必ず良い事ってのも有るもんだな。
いやまぁ、そうは言ってもな。
別にコミケや、ライブをやった事が、ヤナ事って意味ではないんだぞ。
ライブをする事自体も久しぶりだったし、観客もメッチャ盛り上がってくれたしな。
まぁでもな。
あれだけ観客に受け入れられてはいたんだが……やっぱ、コスプレは、かなり精神的負担がデカかった。
なので、一応、そこがヤナ事に属してるって感じの話だ。
「ってかね。眞子が、いつ帰って来ても良い様に、お湯も、出汁も、ちゃ~~んと用意して有るんだよ」
「嬉しい。……おねぇ様大好き」
「ふふっ、可愛いね君は」
にゃああぁ~~~~!!
幸せですにゃあぁ~~~~!!
矢張り、神の子奈緒おねぇ様は、どこまでも優しい♪
この直ぐ後に、奈緒さんは、一旦、台所に行き。
ものの3分程で、年越し蕎麦(そば)を作って持って来て貰えた。
しかも大きな海老天や、てんぷら類も一杯入ってて、めっちゃ豪華だ!!
「じゃあ、食べようか」
「あっ、はい。いただきま~~す♪」
「はい。美味しく召し上がれ」
そんな訳で。
奈緒さんの美味しい『特製手作り年越しそば』を頂きながら、機嫌良く、さっきの話の続きが始まる。
まぁこんな無様な話をしたら、また奈緒さんには笑われるだろうけど。
これだけ優しくしてくれたんだから、奈緒さんに笑われるのぐらい有り有り♪
奈緒さんの笑顔は、なによりの宝物だしな。
「ところで眞子」
「あっ、はい」
「今日は、ホントになにがあったの?それと、そのベースどうしたの?」
「あぁ、これはですね。コミケが終わった後にですね。実は、とあるライブに参加させて頂いたら、このベースを頂いちゃったんですよ」
そうなんだよな。
伸宏の奴、なにをトチ狂ったのかは知らねぇけど。
この超ご機嫌なベースを……無料でくれたんだよな。
まぁ、勿論『暇な時にでも、また練習を見てくれ』って条件付ではあるんだがな。
それにしたって、これをタダって、あまりにも豪儀過ぎねぇか?
「へぇ~~~、そうなんだぁ。眞子は、早くも、そうやって男に貢がせたんだ。物が、なにかは知らないけど。大したもんだよ。やるぅ眞子!!」
「えっ?あの、奈緒おねぇ様、それって……褒めてくれてますか?」
「褒めてるよ」
「そうなんだぁ」
「そそ。そうやってね。相手から『自然に何かしてあげたい』って気持ちを引き出せない様な女じゃあ、女としては、なんの価値も無いからね。……そんなの、女としては、人生の墓場に入ったのも同然の女だよ」
「はぁ……そんなもんなんですかねぇ」
「そりゃあそうだよ。だって、現に眞子も、男の時そうだったじゃない」
「あぁ、そう言われれば、そうですね。……でも、奈緒おねぇ様は可愛いから、なんでもしてあげたくなっちゃうんですもん」
「コイツだけは……」
ですよ。
奈緒さんは、色んな意味で可愛いし。
魅力たっぷりの女性ですから、出来る限りの事はしてあげたくなっちゃうんですよ。
まぁ、その俺の出来る範囲が、めちゃめちゃショボイっすけどね。
「……っで、結局、なに貰ったのよ?」
「それがですね。これ、結構、凄いんですよ。……じゃじゃ~~~ん♪」
俺は、食事中だと言うのにハードケースを開けて、奈緒おねぇ様に『Music-man 1979 Sting -ray bass』を見せた。
それで、奈緒おねぇ様の手渡すと……ネックの反りのチェックと、本体を『コンコン』っと叩いて、木の乾き具合を確認する。
なんかこの光景も、既に恒例になりつつあるな。
「へぇ~、シリアルナンバーから言って79のSting -rayじゃない」
「ですです」
「これは本当に、物も良さそうだし。それにしたって眞子」
「あっ、はい」
「これをくれるって、どんな金持ちよ、その人」
「あぁ、それがですねぇ。その人、超売れっ子の同人作家さんなんですよ」
「ほぉほぉ」
「だから多分、今日のコミケの粗利だけでも、400万ぐらい儲けてる様な人なんで、金銭感覚が、私なんかとは全然違うのかもしれませんね」
「ふ~~~ん。そりゃあまた凄いパトロンを掴んだもんだね。……っで、そのベースを弾いた感想ってのは、どうなの?」
「それがもぉ、この子、マジで最高なんですよ。弾いただけで、音が体中にビリビリと響き渡りましたもん」
ホント快感ですよ……それ。
って言うか、寧ろ、ヤバイ位に良い音出しますよ。
「そうなんだ。ねぇねぇ、眞子。だったら後で、私にも弾かせてよ。弾いても良い?」
「どうぞ、どうぞ。私のものは、奈緒おねぇ様のものなんですから、変に遠慮せず、自由に弾いて下さいね」
「ありがと。でも、なんか眞子」
「はいはい、なんですか?」
「……日に日に可愛くなっていくね」
「えっ?あの……非常に申し訳ないんですけど。それだけは言わないで下さい。流石に凹みます」
本当に、そこは本人が一番気にしてる事なんで、マジで辞めて下さい。
下手したら、その言葉に多大なショックを受けて、倉津真琴が、本当に死んじゃいますよ。
「ゴメン、ゴメン。これからは、もぉそんな事は言わないから、今回は許してよ」
「良いですけど……って、うん?奈緒さん」
「うっ、うん?なに?」
「……今、奈緒さん、ひょっとして反省しませんでしたか?しましたよね?」
「えっ?なんの話?……って、あっ!!しっ、しまった!!やられた!!」
「はぁ~~~、やったぁ!!奈緒さんが反省したから、やっと女言葉から開放されたあぁ。これでやっと普通に喋れますよ、奈緒おねぇ様。やったぁ~~~!!」
解禁だ!!解禁だ!!
これで男言葉解禁だぁ~~~!!
やったぁ~~~!!
なんて喜んでたら、横で奈緒さんが……
「ぶっ!!」
……って。
話ながらも蕎麦を喰ってた奈緒さんが、思いっ切りそばを噴出してたんだが……どうしたんだろうな?
今、なんか変な事を言ったか俺?
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
まぁ、なんとかコスプレライブも上手く行ったみたいですし。
その代償として、念願だった79Sting -rayを手に入れ。
家に帰ってからも、奈緒さんが反省したので、約束通り『男言葉も解禁』した訳ですから。
倉津君にとっては良い事尽くめな話だったのですが。
冷静に考えても、ライブの件は。
眞子の容姿(美浜美波さんクラス)なら、コスプレが似合うのは当たり前ですし。
それを見たオタクな観客が盛り上がらないなんて事は有り得ませんので、これ自体は順当な話だったりするんですね。
要するに今回のお話は【ただの倉津君の取り越し苦労だった】って話ですね(笑)
そして奈緒さんの件に関しましては。
偶然、話の内容がそっちに行っただけの話なので、これに関しては、ただのラッキーです。
ただ……倉津君本人は、まだ【奈緒さんの呪い】が染み付いてる事には気付いていない様ですがね(笑)
さてさて、そんな中。
奈緒さんが蕎麦を噴き出した所で、今回のお話は終わったのですが。
何故、奈緒さんは蕎麦を噴き出してしまったのでしょうか?
次回は、その辺りから書いて行こうと思いますので。
また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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