●前回のおさらい●
例え眞子としてでも、倉津君の事を全てのみ込もうとする奈緒さん。
そんな彼女に、眞子で居たい理由を話し。
最後には『崇秀を好きに成ってしまった事』を告白したら……奈緒さんは、その理由に一番納得した模様。
一体、何故なのか?
「うん?君が、果てしなく女の思考に成ってるなら、眞子で居たいって気持ちも頷けるけど。君が先で言った『努力する』だとか『人に必要とされたい』じゃあ、実は、なんの説得力も無いの。これは、ただの言い訳でしかないからね。……でも『仲居間さんが好き』ならしょうがない。それは女でしか成就出来無い関係だからね」
「そうですけど……元を知ってたら、気持ち悪くないですか?」
此処でも思考の違いが出てる。
幾らでも表面上で『認める事』は出来ても。
私なんかじゃ、心の中で『気持ち悪い』と思ってしまう可能性がある。
なのに奈緒さんは、それすらも全く感じさせない。
……人間としての器が違いすぎる。
「なんで、自分で気持ち悪いとか言う訳?……女の身で3ヶ月近く生活していたら、必ず、そう言う思考になってくるものなんじゃないの?それにね。男性に興味がなきゃ、女で居る必要性なんてないじゃない。だから『気持ち悪い』なんて微塵も思わないよ」
「えっ?……そんな理由で、納得出来ちゃうんですか?」
「うん、出来るよ。……って言うかね。ブッチャけて言えば、いずれ、こうなる事は解ってた。君が、仲居間さんを求めるのは時間の問題だとも思ってたしね」
100%……解ってたの。
あんな状況下にあっても奈緒さんは、そうなる事を100%想定してた。
なんて人なの……
「まぁ大体にして、私は、君みたいに馬鹿じゃないの」
「酷いですよ」
「酷いのは、君でしょ。私を此処まで追い込める人間なんて、世界中何処を探しても早々いないよ。多分、私を追い込める人間は、君1人だけなんだからさ」
「あぁっと……ごめんなさい」
凄い……
私なんかを、こんなに大切に想ってくれるなんて、普通じゃないよ。
此処まで割り切ってくれるなんて、ホント想っても見なかった……
……凄いよぉ奈緒さん。
でも……ごめんね。
……でも、だからこそ、こうやって奈緒さんに甘えてばかりも居られない。
奈緒さんが、こうやってくれた事が、本当に良かったと思って貰える様にしなきゃね。
「さて眞子……此処で、この件について最後に1つ質問」
「あぁ、はい、なんですか?」
「君は、今日以降も、私との関わりを、まだ持ちたい?それとも、縁を切りたい?……どっち?」
「持ちたいです!!そんなの100%持ちたいですよ!!……って言うか!!って言うか!!なんで持ちたくないなんて選択肢が出るんですか?」
「あぁ~~あぁっ、どこまでも甘える気なんだ」
「そう言われると……でも、奈緒さんに、ちゃんと認めて貰える様に頑張りますんで。どうか、こんな私でも見捨てないで下さい」
「うん、なら、良いよ。でも、それには条件が4つ程有るけどね」
「4つですか。……たった、4つで良いんですか?」
「良いよ。君にとっては、凄くキツイ話だから」
「そうですよね。こんな馬鹿げた事を認めて、お付き合いを続けて貰えるんだから、それ相応の事は必要だと思います。……わかりました。なんでもやらせて頂きます。遠慮なく、なんでも言って下さい」
「そぉ……じゃあ、1つめね」
「あっ、はい」
どんな事をしても、最後まで必ずやり遂げてみせます。
どんなに無理難題で、劣悪な条件でも聞きます。
それで、奈緒さんが納得出来る様な回答を示してみせます!!
「じゃあまずは、さっき言った話の続きなんだけどね。1つ目は『恋人関係の終焉』……出来る?」
「あっ、あぁ、はい……そうですよね。わかりました。謹んで受け入れさせて頂きます。……でも、本当に、こんな事になってしまって申し訳ありません。私には、この言葉しか思い付きません」
「はい、OK。じゃあ2つめね」
「あぁ、はい。どうぞ、なんでも言って下さい」
「じゃあ言うね。私は、今から『君を女としてしか扱わない』。だから私の家に居る場合は、年下なんだから『後輩』として扱うし、今までの様に甘い顔は一切しない。それにドンドンと命令もする。これ……納得出来る?」
「はい。パシらされても文句も言いませんし、炊事、洗濯、掃除なんでもします。今後もお付き合いを持って頂けるなら、なんでもご命令下さい」
うん、こんなの当然の事です。
元々奈緒さんには、一杯お世話になってるんだから。
本来なら、私が、自ら進んでやるべき事だったんですよ。
なので、なんの問題無いです。
寧ろ、今まで甘えてばかりで、すみませんでした。
「OK……じゃあ3つ目。これについては、前以て、ウチの馬鹿両親と話を付けて用意してた話なんだけど。眞子……君、ウチの家の養子になりなさい。『倉津の姓』を捨てて、今日からは『向井眞子』になって貰います」
「えっ?」
「それぐらいしないと、君は、本当の意味で『倉津』の性を捨てられない。だから、今日から私の『本当の妹』になって」
「まさか、奈緒さん……ひょっとして、自分の事を『おねぇ様』って呼べって言ってたのは……最初から、その為だったんですか?」
「あらら、意外と鋭いじゃない。まぁいずれね。恋人関係には無理が生じる事は解っていたからね。でも、私は、どんな手口を使ってでも、君を手元に置いておきたかった。それに紙切れ一枚の話だけど『向井って姓』で、結構、君を縛られるしね」
「あの……本当に良いんですか?私みたいな出来の悪い馬鹿を、本当の家族として迎えてくれるんですか?妹にして下さるんですか?」
「出来が悪い?なんの出来が悪いの?君……アメリカGUILDランク7位のベーシストなんでしょ。なにも出来が悪くないじゃない。なに言ってるの君わ?私は、君の事を誇らしい妹だと思ってるよ」
「うぅ……奈緒さん……もぉ奈緒さん、ありがとう……ありがとうございます。本当に、ありがとうございます」
別れ話は辛かったけど、それ以外は、全然辛い話なんか無い。
全部が全部、どれをとっても嬉しい話ばかりを奈緒さんは用意してくれてる。
もぉ……奈緒さん……
「……っで、この条件はどうするの?」
「はい、不束者ですけど、是非お願いします。……えぇっと、あぁっと……奈緒ネェ」
「うん、それで宜しい。……でも、眞子。良い条件は此処までだよ。最後の条件は、本当にキツイよ」
「大丈夫です。奈緒ネェの望む事なら、なんでもします。なにも遠慮せずに言って下さい」
「そぉ、じゃあ言うね……」
「あっ、はい!!」
奈緒ネェは、この後、本当に、思いも拠らない事を言ってきた。
私なんかでは、全く予想もしなかった条件だった。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
実は、奈緒さんが納得した理由は、そう言う事だったんですよ。
先に言った『努力』や『人に求められる事』なんて言う物は、特別真子である必要性はないんですね。
ぶっちゃけやろうと思えば、倉津君のままでも出来なくはない所業ですからね。
ですが、崇秀に恋してしまい、それを本当の意味で成就させたいのであれば『世間的にも眞子の方が都合がいい』
どうやら奈緒さんは、そう考えていたみたいですね。
……っで、そんな眞子を認める条件として。
①『自身との恋人関係の終焉』
②『完全に女性として扱う事』
③『自身の妹に成る事』
まずは3つの条件を出してきた訳なのですが、此処にも奈緒さんの気遣いが多く含まれており。
①に関しては、これはもぉ当然の事なのですが。
アヤフヤな状態のままでは、眞子自身が倉津君を引きづって、キッチリ女性に成り切れないと言う判断の元出した条件。
まぁ奈緒さん自身も、区切りを付ける為に出した条件だと思われます。
そして②に関しても、ほぼ①と同様の理由です。
……っで、③に関しては、少々特殊な話になるのですが。
どれだけ割り切ったとしても、倉津君や眞子の人格が好きな奈緒さんは、どうしても『倉津君との深い絆』が欲しくて、この様な条件を出したものだと思われます。
なので此処だけが唯一、奈緒さんの出した『本当の条件』だったのかもしれませんね。
さてさて、そんな中。
最後の4つ目の条件を、奈緒さんの口から宣言される訳なのですが。
一体、彼女は、どの様な条件を、最後に眞子に突き付けるのか?
次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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