●前回のおさらい●
ボロボロの体調のまま挑んだライブだったが。
矢張り、そんな体の不調が影響して、最後には、まともに演奏出来る様な状態ではなくなったのだが。
ふと顔を上げた時、あんなに眞子を拒んでいたホランドさんの姿が……
そうなったら、当然眞子は!!
・・・・・・
あれ……なんで私、ライブハウスの天井なんかが見えてるんだろ?
なんでライブの途中なのに、床に寝転んでるんだろ?
あれ?
それに、なんか体がピクリとも動かないや……
あれれ?
これって、また……やっちゃったかな?
……はぁ~~~、これって、確実にやっちゃった方向だね。
ぼんやりした意識の中で、そんな事を考えてると……そこに観客サイドから、誰かがステージに駆け上がってきた。
……そして、その誰かは、私を抱き上げる。
「オイ、あれ、ホランドじゃないのか?……なんで奴が……」
「あっ、本当だ!!でも、アイツ、確かマイアミでは『もぉ2度とライブはしない』って断言してなかったか?」
「ホント、どう言う風の吹き回しだ?しかも、鞍馬姫の知り合いか?」
あぁ……あの、誰かって思った人……ホランドさんだったんだ。
なぁんだ、ナンダカンダ言ってても心配してくれてるんじゃん。
でも、ほらね、ほらね、ヤッパリ、ホランドさんも、所詮は血は通った人間だったでしょ。
どんなに相手を粗悪に扱っても、自分の音楽を聴きたいって人間を嫌う訳ないからね。
まぁ勿論……今回に関しては、ただの偶然の産物に過ぎないんだけどね。
結果オーライと言う事で……ダメですか?
「君は、本当に無茶苦茶だな。何故、倒れる様な真似をしてまで、こんな事をした」
あれ?
なんか私、怒られてるよ。
なんかホランドさんに怒られる様な事なんかしたっけ?
「えっ?だって、ホランドさんがライブに来てくれてるのを確認出来たから、出来る限りの気合入れてみたんですけど。……ダメですかね?」
「君は、本当に馬鹿なのか?そんな事の為に、倒れるまで演奏してどうするんだ」
「あぁ、いや、ホランドさん以前に、観客の皆さんが楽しそうにされてたんで、調子の乗っちゃったのかも知れませんね。……それに私は、自己表現の仕方を、これしか知りませんから」
「頭がどうかしてるんじゃないか?君は、間違いなく本当に狂ってるな。……もぉ良い。取り敢えずは、君は楽屋に下がりなさい」
「嫌ですよ。……これは、私が参加させて貰ってるライブなんですよ。倒れたぐらいじゃ引き下がりませんよ。私は、ホランドさんの言う通り『狂ってる』んで」
『狂人』と呼んで。
あっ……それ、遠藤さんだ。
じゃあ『狂娘タン』で……
「わかった。もぉわかったから。君がこうなった責任の一端は、私にもある。後の事は、私が、君の替わりにやっておいてあげるから、君は大人しく楽屋に下がりなさい」
「オイオイ、なんだなんだ?あのホランドが、鞍馬姫の代わりに楽器を弾くって言い出してるぞ。……どうなってるんだ?」
あれ?
『狂娘タン』の話は、どっかに投げ捨てるとしても。
この話の流れって……此処で、ホランドさんが演奏してくれるって事だよね?
なら……
「じゃあ、尚更引きませんよ。私だって、ホランドさんと一緒に弾きたいです」
「君は、自分の置かれてる立場がわかってるのか?」
「そんなの知りませんよ。私は、ホランドさんと弾きたいから、雨に打たれても我慢してたんですよ。……それを他の人に譲る気なんて更々ありません。だから、せめて一曲だけでもお供させて下さい」
そう言いながら、まさに動かない筈の『プッスンプ~~な体』を強引に無理矢理動かし、気合だけでゾンビの様に立ち上がる。
おりゃぁ~~~!!
「ほらね。……大丈夫でしょ」
「話にならないな」
あっ……嘘。
私の無駄な行動力に呆れて、此処に来て一緒に弾いて貰えないの?
それ……なんの虐めですか?
気合入れてまで、立ち上がった私ってなんなんですか?
「あの……どうしてもダメですかね?」
「ふぅ~~~……君は本当に呆れた子だ。そこの君。また眞子が倒れてはいけないから、君のギターを、私に早く貸しなさい」
「あっ……」
「眞子も、早く演奏の準備をしなさい。私が、ちゃんとした音楽と言うものを教えてあげましょう」
「あっ……ハイ♪」
ヤタッ!!
馬鹿の力押しの……根気勝ち!!
「オイ……マジかよ!!ホランドが、マイアミで復活したぞ!!」
「「「「「キタアァァァァ~~~!!わああぁぁあぁぁあぁぁぁ~~~~!!」」」」」
さっきまでとは全然違う、桁外れに凄い盛り上がりだ……
ヤッパリ、ナンダカンダ言っても、みんなホランドさんの音楽が聞きたかったんだね。
ははっ……じゃあ、これだけでも『雨に打たれて』『風邪引いて、肺炎に成り掛けて』『病院に縛り付けられて』『休みが無くなっても我慢した』甲斐があったよ。
でもでも……なぁ~~~んとなく、ホランドさんをステージにまで引き上げる事に成功したけど、ホランドさんの音楽って、どんな音楽を奏でるんだろうね?
ヤッパ、悪名高い『GUILDランカー』だから、どこかの誰かさんみたいに『狂気系』なんですかね?
もしそうなら……今の私には、身に堪える仕打ちですからヤメて下さい。
軽く、あの世にロケットダイブしちゃう。
「黙って聞きなさい『Silence-time』」
-♪-♪--♪-♪--♪--♪♪♪-♪♪♪--♪--♪♪♪-♪♪♪--♪--♪♪♪-♪♪♪--♪--♪……
えっ?
なにこれ?
予想に反して、会場全体を包み込む様な、どこまでも『優しい』音。
それに聞いてるだけで、体全身の疲れが消えて『身も心も休まる』し、それに伴って『体がぽかぽか』暖かくなって来た。
なにこれ?
なんて気持ちの良い音なんだろう……
あぁそうかぁ……この人の音って……身心共に癒される『癒しの音』なんだ。
これなら観客の皆さんが、ホランドさんの復活を、あんなに喜んだ理由が解った様な気がする。
理屈抜きに、凄い……
……だったら、私に出来る事は、ただ1つだけだよね。
その音楽に……『レゾナンス』で、全力で応えて『仮ブースト』で、ホランドさんに出来る限りのサポートを心掛け、会場全体に『癒しの空間』を作り上げようじゃありませんか。
観客の皆さんが満足出来るなら、もう1度ぐらいなら倒れても良いや……どうせもぉ、ボロボロなんだから。
ホントに、ホントの最後の力を絞りだして……
『私のスカ元気を分けてやるぅ~~~!!』
限界炸裂!!
全力全開!!イケエェェェェ~~~~!!
-♪-♪--♪-♪--♪--♪♪♪-♪♪♪--♪--♪♪♪-♪♪♪--♪--♪♪♪-♪♪♪--♪--♪……
***
……あぁ因みにね。
この後、いつもの恒例の如く、意識がアッと言う間に、完全に途絶えたんだけど……
何故か最後のアンコールまで、全部ちゃんと弾けてたりするから……あら、不思議。
でも、そう考えば考えるほど凄いよね。
此処までボロボロに成ってる筈なのに、アンコールの最後まで弾けるって事は、ホランドさんが奏でてる『癒し』のお陰って話だもんね。
ホント凄いね。
『癒しの効果』って……
まぁ私はただ単に、無意識まま最後までカッ飛んでベースを弾いてただけだから、実際の所は、どうだったか知らないんだけどね。
ははっ……いい加減で、ごめんね。
許してちょ♪
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
これにて第一章・第三十四話【Secret Ranker】はお仕舞に成るのですが、如何でしたでしょうか?
私個人としましては『人を動かす原動力』は、矢張り最終的には【心】しかないと思い。
この様な、ちょっと危険な文章を書かせて頂いたのですが、皆様には、どう感じて頂けましたでしょうか?
まぁまぁ、この辺については賛否両論あるとは思いますが。
物語の中で、眞子がホランドさんに気持ちを動かしたのに事実なので、皆さんもより良い関係を築ける様に成って欲しいと思いますです♪
……っとまぁ、そんな訳でして。
次回からは、第一章・第三十五話【Members gathered】が始まりますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾
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