●前回のおさらい●
奈緒さんがオカズの味付けをし、沙那ちゃんが盛り付けた究極とも言えるキャラ弁を食べていると。
なにやら沙那ちゃんが、屋根裏で見付けたハードケースを見てソワソワし始めたので……
「うん。沙那ちゃん、どうかしたか?」
「それなに?」
軽く話を振ってみたら。
実に沙那ちゃんらしい、ストレートな返答が返ってきたな。
いつも通り、なんの躊躇がないもんな。
「あぁ、これか。これはな。さっき屋根裏に上がった時に見付けたもんだ。だから、中身までは解らん」
「そうなんだ」
「でも、屋根裏に有ったと聞かされると。なんかお宝の臭いがするよね」
「するする。沙那もする。本物の年代物の匂いがする」
犬か!!
奈緒さんも沙那ちゃんも犬か!!
……ってか、これはちょっとヤベェ展開だな!!
どうやら、この奈緒さんと沙那ちゃんの様子から言っても、豪く期待させちまってるみたいな雰囲気だ。
けど、そんなに過度の期待をしてもダメっすよ。
俺と、山中の見解じゃ『TEISCOの中古』か『GUYATONEの中古』って事で、話が纏まってるんで。
(↑山中の見解を、実は一つも取り入れてない俺)
「お2人さん。なんや豪い、そのハードケースの中身に期待しとるみたいやけど。そないに期待してもアカンで。マコの話やったら、そのケースの持ち主は、楽器を使うてた形跡すら無かったらしいからな。多分、安物が入っとるだけやで」
「あぁ、そうなんだ。じゃあ、精々『ゼンオン』が良い所って感じ?」
「ゼンオンとは、これはまた渋いとこ行くなぁ。まぁ、俺の予想では精々『レジェンド』か『バークレイ』って所が、えぇとこちゃうかなぁとは思とるんやけどな。しかも、2万円位の安モン」
奈緒さんも、山中も何所のメーカーッスかね、それ?
聞いてた感じじゃ。
今で言う『PHOTO-GENIC』みたいな、初心者ご用達のメーカーの事ッスかね?
「あぁ、ヤッパリ、その辺りが順当かぁ。……って事は『PHOTO-GENIC』って可能性も高いんだ」
あっ、此処で『PHOTO-GENIC』の名が出るって事は。
どうやら、さっき言ってた『ゼンオン』『レジェンド』『バークレー』ってのは、その辺りのメーカーで間違いないみたいだな。
「そやな。その可能性もあるかもしれんな。まぁそやけど。そのハ-ドケース言うのが中々の曲者やで。確か『PHOTO-GENIC』の商品は、ハードケースの商品が無かったん筈やからな」
「あぁ、そうかぁ。だったら『PHOTO-GENIC』の線は薄いかぁ。……ねぇねぇ、クラ。クラは何所のメーカーだと思ってるの?」
「俺ッスか?俺は、ベタに『TEISCOの中古』か『GUYATONEの中古』って所じゃないッスかね。後、奈緒さんが使ってた『Fresher』とか」
「あぁ、ハードケースだけに、そう言う見解もあるかぁ」
それ、どう言う見解ッスか?
比較的中古が溢れてて、適当に安そうなメーカーを言ってるだけなんッスけど。
「そやなぁ。確かに『TEISCO』は安物のクセにハードケースに入ってるもんが多かったもんなぁ。可能性としては高いわな」
「??みんな違うよ。……それ『Burns』だよ」
「「「はい?」」」
俺達の会話を聞いて不思議そうな顔をして聞いていた沙那ちゃんが。
突然、会話の中に入って来たと思ったら……イキナリ、中身を断言してきた。
へっ?なんでそんなん解るん?
「ちょ、ちょっと沙那ちゃん。なんで解るの?」
「えっ?なんでって、なんで解らないの?そのハードケース。64年に作られたものだよ」
「えっ?えっ?」
「えぇ~~~!!いやいやいやいや、ホンマなんで解るんやな?」
「えっ?なんで?って。ハードケースにも、使ってるメーカーの癖が有るからだけど」
ハードケースのクセ?
ホントなにそれ?
そんなの、何所のメーカーでも全部一緒じゃないのか?
つぅか。
俺には、ハードケースにメーカーのロゴでも入ってなきゃ、どれを見ても区別なんかつかねぇんだけど。
「あぁっと、因みに『Burns』と言っても、そのハードケースは、多分アメリカ製だから『BALDWIN』か、年代的にハードケースと中身が一致するなら『AMPEG』だね」
……スゲェ。
もしこれが正解であるならば、二の句も出ねぇ様な推察力と洞察力だな。
しかしまぁ、ハードケース1つで、そこまで的確に解るものなんだな。
「じゃあ、沙那ちゃんの思う可能性としたら?」
「そうだねぇ。恐らくは、形から言って、バーンズ・マーヴィンか、1964年製の『AMPEG JAZZ SPIRIT SOUND EG1S』って所が入ってるんじゃないかな」
「はぁ~~~?そこまで解ってまうんか。凄いなぁ、この子」
「普通だけど」
いや、普通じゃないぞ、沙那ちゃん。
ハードケースを見たぐらいじゃ、そんな事までは絶対に解らねぇってばよ。
「なっ、なぁマコ」
「なんだよ?」
「此処まで断言されたら、流石に、今、開けたないか?」
「いや、確かにそうだな。そこまで断言されたんじゃ、興味が湧くよな」
「じゃあ、開けてみようよ。それが入ってたら凄いしさぁ。しかも、年代的にも、木の良いビンテージが使われてる筈だし」
まぁ、俺としては、これからまだ何人か人が来てくれるから、夜ご飯の時にでも、このハードケースを開封しようと思ってたんだが。
後から来る人間は、特に音楽関係に詳しい人間じゃないし。
今なら逆に、それ以外の音楽関係者が、みんな揃ってるんだから、別に今開けてもいいか。
これもまた、いい機会だしな。
「そうッスね。……じゃあ、沙那ちゃん、弁当を食べ終わったら、開けてみるか?」
「うん。開けたい、開けたい♪」
……って事なんで、みんなが食事を終えた後。
そんな風に、はしゃぐ沙那ちゃんに鍵を渡す。
当然、1人だけ的確な予想をした彼女に期待の目が集まる中。
そして……
『ガチャ』
……っと言うカギが開く音共に、今、運命の扉も開かれた。
(↑大袈裟な俺(笑))
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
あぁっと、因みになんですが。
こういうエモい(物悲しいって意味で)話を、書き手が、本当はしちゃダメなんですが。
今回、沙那ちゃんが行った『ハードケースの違い』なんてものは、相当特殊なものでない限りは、普通なら見分けなんてつかないですよ(笑)
まぁそうは言いましても。
本当に細部まで確認すれば、多少の違いはあるので、それを発見する事が出来ればメーカー位は解るかもしれませんけどね。
年代までは、流石に無理だと思われます(笑)
……っとまぁ、そんな風に言い訳をしながら。
次回は、とうとう開封の儀が行われる訳なのですが。
本当に中身は、なんなんでしょうか?
サブタイトル通り『お宝が発掘される』のか?
その謎を解明していきたいと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
あっ、これは余談なんですが。
『エモい』の語源は、音楽ジャンルの一つである「Emo(イーモウ)」っと言われております。
どうでも良いですね。
はい、すみません(´;ω;`)ブワッ
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