最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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354 ドラマーとしての奈緒さんの意見

公開日時: 2022年1月26日(水) 00:21
更新日時: 2022年12月24日(土) 15:25
文字数:2,354

●前回のおさらい●


 美味しい奈緒飯を堪能した山中君はご機嫌。

なので、これはチャンスとばかりに、歌謡コンクールに向かっての不安要素になりかねないドラマーのグチ君の鍛え方を、山中君に聞く倉津君。


だが返って来た答えは……『一心不乱にドラムを叩きまくれ』っと言う最も原始的な方法だった(笑)


そうしていると……

「お待たせ。食後のお茶が入ったよ」

「あぁ……どもッス」

「おぉ……おおきにな、奈緒ちゃん」

「うん?それはそうと、2人して、なに神妙な顔してるのよ?そんな神妙になる様な話しでもしてたの?」

「あぁ、ちょっと、そんな感じなんッスよ」

「そうなんだ。ッで、なんの話?……って、カズとの話で、そんな顔になってるって事は、山口君の話しかないよね」


ヤッパリ、綺麗に読まれたか。


いつまで経っても、彼女に隠し事をするのは難しい様だ。

それに、この言葉がサラッと出て来るって事は、奈緒さん自身も、山口の演奏には大きな問題が有ると踏んでいたんだろうな。



「そう言うこっちゃ。まぁ言うたかて、俺は、直接、山口の演奏を聞いた訳やないから、まだなんとも言えんねんけどな。奈緒ちゃん、その辺りはどないやねん?」

「そうだねぇ。私の感想から言っちゃえば、教え方次第では『可もなく、不可もなく』のレベルまでは、なんとか引き上げれるだろうけど」

「ほぉほぉ」

「だからと言って、例え上手く行ったとしても、不可の部分が多くなるのは否めないだろうね。その程度のレベルだと思うのが、彼に対する正しいと認識だと思うよ」


適切・的確・明確な意見だが、それだけに、結構きつい意見になってるな。


まぁ流石に、この場でお世辞なんぞを言っても意味が無いしな。

事実的に言えば、奈緒さんがドラマーである以上、それが今現在の山口のレベルだと判断するのが正しいんだろう。



「ふむ。奈緒ちゃんの言う事が正しいねんやったら、中々、絶望的な話やな」

「まぁ、そうは言ってもだな。ベースで音を引っ張ってやりゃあ、ギリギリではあるが、それなりにリズムは取れてるんだがな」

「ベース音が、全く無い場合は、どないやねん?」

「まだまだ良くはねぇな。リズム自体を、体が憶え切ってない感じだ」

「それやったら、結局、致命的やんけ」

「だよなぁ。リズム隊の片割れのドラムが、一方的にベースに引っ張られてる様じゃ、話になんねぇよな」

「そう言うこっちゃ。それは、かなり良ぇ見解や」


今の状態のままだったら、兎に角、バンドのバランスが悪いんだよな。


ドラムと、ベースの両者が、バンドの骨組みを作るとは言え。

片方だけの音でリズムを引っ張ると、妙に偏った音になっちまう。


まぁこれ自体も『演奏するだけ』ってカテゴリーで見れば、決して悪くは無いんだが、実際、人が聞くとなると話は別。

なんか、全体的に曲のテンポがイマイチになり、聞く側に妙な違和感を与える原因に成っちまうだろうしな。


って言うか、そんな真似をしたら、結局はドラムの音が完全に死んじゃうんだよな。


まぁ、以前にも言った様に『ドラムはバンドの要』だからな。

『ドラムの良し悪し』=『バンドの評価』にもなりえるんだよな。


それだけに、こう言う演奏の仕方は、実に難しくなる。


しかも優勝を狙うなら、尚更だ。



「あぁそや、因みに奈緒ちゃんは、どうやってドラム憶えたんや?」

「うん?私?私は……そうだねぇ。日がな一日、馬鹿みたいにズッとドラムを叩きまくってたよ。後は、その時にMDを聞きながら、曲のリズムに合わせてたかな」

「……そやわな。普通そうやって、曲とリズムを頭に叩き込んでいくわな」

「ごめんね。参考にならなくて」

「なんも謝る事あらへん。普通は、そうやるのが常識や。そやけど、それだけに、結果論から言うたら、ヤッパ叩き捲くるしかないわな。上達するには、それが一番手っ取り早い方法やもんな」

「だよなぁ。楽器の上達に近道なしだよな」

「オマエが言うな」


なんでぇ?

俺だって、ほぼ毎日練習してるし、ライブだって、結構な数をこなして来たんだぞ。


そう言う言い方はなくね?



「豪ぇ言われ様だな」

「アホか?オマエみたいな天才肌には解らん苦労が、凡人には有るんじゃ」


いや、だから、俺だってな……



「いやいや、こう見えても俺だってな……」

「だよねぇ。初めてから、たった半年で、普通、此処まで弾けないもんね」


奈緒さんまで……



「いや、あの、奈緒さん、一応、俺もですね……」

「まぁえぇわ。取り敢えず、俺、明日OFFやから、俺のこの眼で、山口のレベルを確かめたるわ。ホンで1日使って、徹底的にシゴイたるわ」


俺の意見は無視ッスか。


あぁそうッスか。


そうッスね。



「あっ、じゃあ私も、明日OFFだから手伝ってあげるよ。ど素人バンドが、コンテスト優勝とか面白そうだしね」


なんですと?


一応、確認の為に聞きますが、奈緒さんのそれは……


『悪乗りですか?』

それとも……

『親切ですか?』

若しくは、『その両方』ですか?



「あの、奈緒さん。折角の休みを、そんな事に使っちゃっても良いんッスか?」

「オイ、マコ……俺の休みは無視か?」


無視だ。


オマエの休みなんぞに、そんな多大な価値はない。



「あぁ良いの、良いの。それだとクラと一緒に居られる口実にもなるし、時間が余れば2人で演奏も出来るしね。私の休みは、それで十分満足だよ」

「奈緒さん……」

「うわっ!!腹立つわぁ。この期に及んで見せ付けよる」


矢張り、羨ましいのか性欲魔神?


だが、これが愛を確かめ合ったSEXをした、純愛カップルってもんだ。

性欲だけに身を任せてたら、こう言う良い関係にはならねぇからな。


ザマァみさらせ!!



「ふふふ、良いだろぉ~~~山中君よぉ~~~」

「うわっ、ウッザッ!!さっきまで無視しとったくせに、そこだけ喰い付きよる。オマエ等ドンだけ見せ付けたいねん」

「バカタレ、これは見せ付けたいんじゃねぇんだよ。つぅか、自然にこうなるんだから、しょうがねぇだろ」

「あっ、さよか。ほんだら悲しい男はなぁ、せめてオドレ等の邪魔したるわ。奈緒ちゃん、久しぶりに泊めて貰うで」

「はい?ちょ、オマエ!!」


が~~~ん!!その発想は無かった。


人の恋路の邪魔すなぁ~~~!!


オマエなんぞ馬に蹴られて死ね、この害虫が!!


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


誰に聞いても、矢張り答えは『正面からドラムに向き合う事』でしたね(笑)

まぁ何事も『短期間で簡単に上手くなる方法』なんてご都合主義な物はないんですね。


これは仕方がない事です。


そしてその後、山中君に、2人の仲を見せ付けていたら。

山中君が『泊って行く』っと言い出しました。


さてさて、どうなる事やら。


そんな感じのお話を次回は書きたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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