最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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453 2BーGUILD内に生まれつつある絆

公開日時: 2022年5月5日(木) 00:21
更新日時: 2023年1月3日(火) 19:05
文字数:3,248

●前回のおさらい●


 大きな盛り上がりを見せた、素直ちゃん率いる2BーGUILDのパフォーマンス。

その勢いをそのままに、どうやらMCに入る様です(笑)

「いやぁ~~~、流石に素直ちゃんの作ったユニットだね。凄かったねぇ。圧巻の可愛さだったよ」

「本当ですか?そう言って貰えて嬉しいです」

「マジもマジ、大マジだよ。俺が見てもビックリする様な出来栄えだったよ。ホントに彼女達って、みんな素人なの?」

「あっ、はい、そうですよ。みんなで、この1ヶ月間、一生懸命練習し捲くっちゃいましたからね。それでなんとか、この完成度までこじつけられたんですよ」


うむ、今の素直の言葉通り、確かに、みんな必至に良く頑張ってたな。


個人練習や、集団練習は勿論の事。

これらの合同練習が終わってからも、出来なかった奴の為に、出来てた奴等もみんなで居残り練習に付き合ってたらしいからな。


その上、由佳から聞いた話では。

芸能活動が忙し過ぎて、学校に余り来れない素直との息を合わせる為に、みんなが夜中にコソッと家を抜け出してまで、公園で全員練習をしていたらしい。


それだけでも、気合は十分だったと思われるぞ。

(↑P気取りな俺)



「けど、そんな短期間で、よくもまぁ、此処までの完成度に仕上がったもんだね。ホント、凄いねぇ」

「はい。みんなで一緒に頑張っちゃいましたよ。それにですね。1人だけ遅れている僕を、メンバーのみんなが気遣ってくれて、遅くまでダンスの練習に付き合ってくれたりしたんですよ。本当に感謝感謝です」

「へぇ~~~、じゃあ、クラス全体の仲が良いんだね。……それはそうと素直ちゃん」

「なんですか?」

「素直ちゃんのクラスメイトの子って、見事なまでに、みんな可愛いよね。俺も、今からでも2-Bに入っちゃって良いかな?」

「えぇっと、ケンさんって、お幾つですか?」

「俺?俺、今年で22だけど」

「そうなんですか。……じゃあ、来世で、クラスメイトになれると良いですね」

「ぐっ!!酷い」

「「「「「あははっはははっはっはっはははっは……」」」」」


うわっ!!素直が満面の笑みで、毒を吐いてるぞ。


崇秀→奈緒さん→素直。

意地の悪いのが、とんでもなく悪循環で感染して行ってねぇか?


ヤバイ、このままじゃ、素直な筈だった素直が……



「えっ、全然酷く無いですよ。だって、根本的に無理じゃないですか」

「……そうだね。一応、これ、ボケってもんなんだけどね」

「あぁっと、じゃあ、そんなボケをして頂いたケンさんに、僕から逆に1つ質問です」

「なっ、なにかな?」

「もし、もしですよ。僕のクラスにケンさんが転入して来たら、どの子が、一番可愛いと思いますか?」

「なになに?急に、俺の好みの話なの?」

「あっ、そうですね。女子って、そう言うの、結構、気に成りますからね」

「う~~ん、そうだなぁ~~~。素直ちゃんは、俺に対して意地が悪いからパスとして……やっぱ、一番は舞歌ちゃんかな」

「あぁ……本気で答えちゃうんですね。そこはボケもなしですか」

「いやいや、ちょっと待って、ちょっと待って!!素直ちゃんが、答えろって言ったんじゃないか」

「「「「「あははっはははっはっはっはははっは……恥ずかし過ぎケン!!」」」」」


イカンな。

早めに『意地悪感染源である崇秀』を、この地球上から無くなるまで除去しないと、本当に素直が、素直じゃなくなっちまいそうだ。


なので誰か、あの究極の馬鹿を上手く殺してくんねぇかな?


俺じゃ到底無理だから……



「じゃあ、此処からはですね。折角ケンさんの御指名もあった事なので、僕に代わって、伊藤さんにメイン・アシスタントを頼んじゃいますね」

「えっ?私?」

「うん。お願いしますね、伊藤さん」


今度は、奈緒さん張りの、途方もない無茶ブリを始めたな。

大体にして、舞台に初めて上がって緊張がピークに達してる伊藤に、そんな余裕が有る訳ないし、そんな器用な真似が出来る訳ない。


今日の素直は、やけに悪い子だな。



「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと、素直ちん!!お願だから、ちょっと待って!!そんなの急に言われても、私1人じゃ無理だから!!せっ、せめてね。由佳ちんも一緒にさせてよ!!」

「ちょ、舞歌!!おかしな事を言って、あたしまで巻き込まないでよ!!あたしだって、そんなの無理なんだから!!木根やりなさいよ、木根!!出来るでしょ、木根!!」

「えっ?えっ?そっ、そんなの無理だもの。わっ、私、今こうして、人前に立ってるだけでも一杯一杯だもの。有野さんのままの方が良いと思うの。絶対そうなの」

「「「「「あははっはははっはっはっはははっは……」」」」」


話が急過ぎて、振られた奴等全員が、完全にパニクったな。


けど、素直の奴、この由佳達がパニクった状態を、どうやって収拾するつもりなんだ?


一応だが、後学の為に言って置くとだな。

奈緒さんも、崇秀も平然とした顔で、今のオマエみたいな性質の悪い悪戯はすれるけどもだな。

そう言う場合は、決まって、事後処理的な打開策を考えているからこそ、あんな意地悪をやってんだぞ。


その辺は、大丈夫なのか素直?


……つぅか、それよりもだな。

この舞台上のドタバタコメディは、いつまで続くんだろうな?

そんで俺等は、いつになったら演奏させて貰えるんだろうな?


なんか、ちょっとテンション下がってきたし……



「あぁっと、それじゃあですね。ちょうど今、話をした人達が出席番号1・2・3・4の順なんで。僕・伊藤さん・大谷さん・木根さんで『アシスタントしてみる』って言うのは、どうですか?」

「素直ちん居てくれるの?じゃあ、大丈夫かな」

「えっ?ケンさんの指名を受けたのは伊藤さんだから、ケンさん専属のメイン・アシスタントは伊藤さんですよ。残りの僕達3人は、サブ・アシスタントですから」

「素直ちんって……実は、意地悪いんだね」

「ではでわ。次回のイベントで、出席番号5番・6番・7番・8番のメンバーに、なにかメインを勤めて頂きますので。この辺で、2B-GUILDの歌を終了させて頂きますね。拍手をお願します!!」

「無視されたし……」


『パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ……』

素直の煽りを受けて、再び2000人もの観客が盛大な拍手を贈る。


こう言うのを見るのは、夏のライブ以来なんだが、矢張り、これは中々壮観だな。


それに、なんか素直の奴。

今までのライブでは、一回も見せた事が無いぐらい、凄く生き生きした表情をしてるな。


まぁ、素直が、こう言う表情になるのには訳があるんだがな。

ご存知の通り素直は、中学の入学から、最近の2年の前半までは、家族から男装を強いられて、男子からも、女子からも浮いた存在だったから、クラスの誰とも上手く意思疎通が取れなかった時期がある。


それに、本来の女子の姿で、学校に戻って来た後も……直後に、芸能界入りが決まっちまってたから、周囲からの眼が、奇異の目から、羨望の眼差しに変っただけで、結局は『浮いた存在』って言うのだけが残り。

素直が、クラスの女子と打ち解けてるシーンって、今まで1度もなかったからな。


こう言う不遇な時期が有るだけに、素直は、みんなと過ごせる時間に喜びを感じ。

こんな楽しそうな表情を、惜しげもなく見せているんだろう。


これを見るだけでも『アイツが、クラスに馴染めてきたんだな』って妙に安心する。


っと同時にだな。

最初は、無茶だと思っていた『このユニットを作る』って無謀な企画自体が、本来の意味を持ってきていると実感出来る。


素直以外のメンバーにしてもだな。

女子全員が一丸となり、1つの目標に向って必死に練習する事により、クラスの女子自体に、ある種の強い連帯感が生まれてる。


これにより、クラスメイト同士が色んな事を共有する様になって。

素直ですら、あんな冗談めいた事を、由佳や伊藤に言える様にまでなったんだから、このユニットを作って本当に良かったとも思える。


『本当の成功』って言うのは、ユニット自体が売れるだけ云々じゃなくて、こう言う『絆』を作るって所に、本当の意味が有るのかも知れないな。


いやはや、いやはや。


……つぅかな。

こんな事を、特になにも考えずに出来る和製クルーグマンな俺って、何気に天才じゃね?

(↑偶々くせに調子に乗る俺)


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>


今はライバル同士であっても。

矢張り、クラスメイトが上手く行ってる姿には感動を憶えてしまう倉津君。


この様子からして、彼が冷酷に成り切る事は難しいみたいですね(笑)


さてさて、そんな中。

素直ちゃん達のユニットの紹介が続く様ですが……どんな紹介になるのでしょうか?


それは次回の講釈。

また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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