●前回のおさらい●
女体化の原因だと思われていた『崇秀から渡された怪しげな薬』
それについて崇秀に問いただしたが、返って来た言葉は【ただの睡眠誘発剤】と言う絶望的な答え。
そして、その瞬間、倉津君の頭は何も考えられないぐらい真っ白に成ってしまった。
「……うっ、嘘だろ」
「なにが嘘なもんかよ。あれは正真正銘『睡眠誘発剤』だ。……つぅかオマエ、なにそんな神妙な声出してんだ?」
「・・・・・・」
あっ、あれ……頭が真っ白になって、なんも考えれねぇ。
崇秀の言葉に思考が途切れて、自分がなにをしてるのかすらわかんねぇ。
「オイ、倉津、どうした?なに黙ってんだよ?」
「・・・・・・」
「オイ、オイってばよ!!」
「!!」
崇秀が怒鳴ってきたので、少しだけ意識が戻った。
だからと言って、今の置かれている状況が好転した訳じゃない。
そんな状態のまま、俺は無意識の内に言葉を吐き始めた。
「なっ……なぁ、崇秀」
「漸く、我に戻りやがったよ。……っで、なんなんだよ?」
「本当に、あの薬って、ただの『睡眠誘発剤』なのか?」
「あぁ、間違いねぇ。けど、あれは親父に作って貰った『特製の睡眠薬』だから『ただの睡眠誘発剤』って言うには、少々語弊があるかもな」
『特製』だろうが『ただの』だろうが、睡眠誘発剤には変わりない。
……って事は、やっぱり、コイツは、なにも知らない。
それ処か、この調子だと、あの薬を服用してる可能性すらある。
もし服用していたら、絶望的に終わりだな……
「オイ……なっ、なんでオマエが、そんなもんを使ってんだよ?」
「はぁ?つぅかオマエ、さっきから、なんで、そんな事バッカリ聞くんだ?」
「良いから、答えてくれ。……頼むよ」
「いや、答えるのは一向に構わねぇけどよぉ。そんな事を聞いてどうすんだよ?」
「良いから答えろよ!!」
「オイオイ、なに怒ってんだよ。……あぁ、もぉ良いや。取り敢えず、先に説明してやる」
怒る……
そうか、そうだよな……
責任が無いなら、崇秀に八つ当たりするのは間違ってるよな。
お門違いも甚だしいよな。
「すっ、すまん。ちょっと色々あってな」
「あっそ。んじゃま、簡潔に説明すっけど。あの薬は、自分を抑制させる為に、俺が常備してる睡眠薬なんだよ」
「『抑制』って、どういう事だよ?なにを抑制するって言うんだ?」
「あぁ、まぁ、これについては、実に間抜けな話なんだがな」
「あっ、あぁ」
「俺な。何かに集中しだすと、何日も寝ねぇ傾向があるんだよ。んで、そのまま放って置いたら『いつか過労で死んじまう』だろ。だから、その集中力を抑制する為に、ある程度の期間を置いて、定期的に『強制睡眠剤』を投与する事にしてんだよ。……それだけのこった」
関係なしか……
だってよぉ。
今の崇秀の話は、なにからなにまで、全て辻褄の合ってる話だからな。
何故なら、コイツの集中力は、一般人と比べたら桁違いに長い。
そして、それを裏返せば、いつまでも集中力が切れないからエンドレスに物事に執着するとも言える。
だから、そんな自分では抑制出来無い部分を薬で補っている。
なに1つとして、おかしくは無い。
……だが。
それ=この俺の体に起こった現象には、奴が一切なにも関与していないと言う証拠。
これでは、原因が完全に消滅したのを知らされたのも同然だ。
俺は……一体、どうすれば良いんだ?
「ははっ……そうか。そりゃあ、大変だな」
「オイ、倉津。オマエ、さっきから、なんか様子が変だぞ。昨日、向井さんと、なにかあったのか?」
「いや、奈緒さんとは、なにもねぇよ。なにも……」
「オイ……オマエ、まさかとは思うが、さっきの言った話が、本当だとか言うんじゃねぇだろうな」
「ははっ……なっ、なっ、なに言ってんだよ。冗談だよ冗談。んな訳ねぇじゃん」
関係ない奴を巻き込むのは、良くない。
いや……本当の事を言えば、コイツは頭が良いから助けて欲しいとさえ思ってる。
けど、こんな訳の解らない話を、どうやって信用して貰うかの説明が俺には出来無い。
だから俺は冗談にして、笑い話にするしか方法がない。
……でも、協力はして欲しい。
「オイ、倉津。オマエ、あんま、かましてんじゃねぇぞ。テメェと俺が、一体、何年腐れ縁で付き合ってると思ってんだよ。テメェの嘘なんざバレバレなんだよ。クダンネェ事を考えてねぇで、早く本当の事を言え。事と次第じゃ協力してやるからよ」
崇秀……
俺の気持ちが通じたのか、崇秀の方から協力の申し出をしてくれた。
もしかしたら助かるかも知れない……
「けど、良いのかよ?……オマエ、関係ないんだろ」
「いい加減にしろよ。なんで、オマエが困ってて、俺が無視しなきゃイケネェんだよ。こんな事、後で世間に知れたら、助けなかった俺の世間体が悪いんだよ。だから、四の五の言わずサッサと本当の事を言え」
口では悪い事を言ってるが、崇秀は、なにかに感づいて心配してくれてる。
「助けて……くれんのか?」
「んなもん、話を聞かなきゃ、俺が協力出来るもんなのか、どうかなんてわかんねぇよ。全ては話を聞いてからだ」
「信じられねぇ様な馬鹿な話なんだぞ。それでも聞いてくれるって言うのかよ?」
「あぁ、心配しなくても、全部、最後まで聞いてやるから、包み隠さず言ってみろ」
奈緒さんに引き続き、崇秀にも甘えてしまいそうだ。
けど、コイツが味方してくれたら心強いのも事実。
それに……表舞台には名前は出ないが、コイツの親父さんは遺伝子工学の博士。
それだけでも、元に戻れる可能性が飛躍的に高くなる。
打算する訳じゃないが、俺は、崇秀に昨晩の事を全て話し始めた。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
薬の正体は、崇秀の親父さんが作った『やや特殊な睡眠誘発剤』だったので、崇秀には全く責任が無かったようです。
ですが、倉津君の言葉の節々から『ただ事じゃない』と悟った崇秀は、倉津君への協力を申し出てくれた。
やっぱ、本当の友達なら、こうでなくちゃいけませんよね♪
さてさて、そんな中。
協力を申し出てくれた崇秀に、倉津君が現状に至るまでのプロセスを話し始める訳ですが。
これを聞いた崇秀は、一体、どんな風に理解してくれるのでしょうか?
それは次回の講釈。
続きが気に成って下さいましたら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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