●前回のおさらい●
佐藤さんに引き続き、沙那ちゃんも勧誘対象である事を明白にする倉津君だったのだが。
沙那ちゃんが、まだ小学生だと知った眞子によって、またしても脱線転覆しそうになるのだが……
「まぁまぁ、眞子助も、旦那も落ち着きなって」
「あぁ、うん。そうだね」
……オマエしばくぞ。
なんでモジャの話は、そんなに素直に聞き入れるクセに、俺の話は聞かない訳?
……まぁ、いつもの事だから良いけどよ。
「そうそう。……それと話が拗れてる様だから、ハッキリ言って置くがな。眞子助、旦那の言う通り、その子は、相当な実力者だぞ。旦那が、自分のバンドに引き入れたい気持ちも良く解るさな」
「そう……なんだ。細川君から見ても、そんなに凄い子なんだぁ」
「そうさな。相変わらず、音楽の事はよく解らないが。俺から見ても、あの年齢で、あそこまでギターを弾ける子は珍しいんじゃないかい。……下手すりゃ、仲居間クラスに化けかねない存在だからな」
そうだ、そうだ!!
崇秀クラスは、多少言い過ぎかも知れないがな。
育て方次第じゃ、トンデモナイ化物に育ちかねない素質は持ってるんだぞ。
そこは本当に間違いないと思うぞ。
でも、1つだけ間違ってる事があるとすれば。
俺は、無理に沙那ちゃんをバンドに引き入れたい訳じゃないぞ。
あくまで此処も、本人の意思は尊重するつもりだからな。
「崇秀さんクラス?なにそれ?」
「いや、そこは、俺から説明させて貰おうか。俺の秘密兵器についてな」
俺が、沙那ちゃんの第一発見者だからな。
参入の有無は置いて置くとしても、沙那ちゃんの事は、俺にも、たっぷり喋らせろ。
「そうさな。それが一番さな」
おぉ……流石に悪魔の参謀。
空気を呼んでやがるな。
んじゃま、親父さんの経歴から、沙那ちゃんの実力が付いた理由まで、タップリ喋ってやるよ。
そうして俺は、眞子に説明を始めた。
かなりの高い熱量を込めてな。
***
「……ってな感じの子なんだがな。どう思うよ?」
「ハァ……そんな子が、まだ神奈川に居たんだね。ちょっと驚きだよ」
……思い知ったか。
沙那ちゃんが、如何に実力者か、これで良く解っただろ。
そしてそれは同時に、俺がロリコンじゃねぇって事も立証されただろ。
俺は、沙那ちゃんの実力に惚れ込んでるだけだ。
まぁ……可愛いのは否めないけどな。
膝の上で、足をパタパタされる可愛さは、堪ったもんじゃないからな。
(↑かなり気に入ってる俺)
「だろ。スゲェだろ」
「うん。凄いね。それが事実なら、掛け値なしに凄いね」
「だったら、どうだろうな、旦那。佐藤の加入の云々は抜きにして、あの子をそのままバンドに加入させちまうってのも、良いんじゃないかい?」
……だから微妙だって、それは。
いやな。
沙那ちゃんの件に関しては、あくまで、糞眼鏡が加わらなかった時の保険に残してして置きたいんだよ。
じゃねぇと『そこで決定→終了』なんて、お粗末な結果に成り兼ねないからな。
それになにより、これから学校に行き始めて、音楽以外にも楽しい事が有る事も憶えさせてやりたいし、友達とも遊ばしてやりたい。
そんな沙那ちゃんを、俺の都合だけで、変に雁字搦めにしてやりたくないんだよな。
解りるかモジャ公?
「いや、それはダメだ。あの子が望まない限り、あくまで『最終手段』って認識にして置いてくれ」
「なんでだい?あの子は、間違いなく即戦力さな。使わない手はないだろ」
「いいや、ダメだ。あの子は、大人モドキの俺達の都合だけで、音楽をやらせる訳にはイカネェ。まだ遊びたい盛りの小学生だしな。下手に縛らなくても、その時が来れば、必ず、勝手に輝き出すからよ」
俺は、そんな沙那ちゃんの姿を期待する。
だからダメッスな。
誰になんと言われようとダメだ。
「……旦那。人が好いのも結構だがな。自分の置かれてる立場ってもんを少しは理解してるかい?あの子を放って置いたら、いずれ、仲居間の毒牙に掛かり兼ねないぞ」
「いやいや、細川君。そこは毒牙とか言わないでよ。毒牙じゃないし」
まぁ、表現は良くねぇな。
それじゃあまるで、崇秀が、沙那ちゃんを取って喰うみたいだもんな。
色んな意味で、語弊のある言葉だな。
「まぁ、そん時は、そん時だ。崇秀なら、なにかにつけて上手く育てるかも知れないしな。それも悪くないんじゃないのか」
「オイオイ、旦那、正気かい?これから敵対組織を作ろうって言うのに、相手に強力な駒を与えてどうするつもりなんだよ。気は確かか?」
「そりゃあ、正気の沙汰じゃねぇわな。けど、そうなったら、そうなったで、その時は沙那ちゃんと言えども敵だ。なら、他の奴等同様に喰っちまえば良いだけの話なんじゃねぇのか」
「ほぉ、そこを言い切るか。じゃあ、それだけの自信が有るって事かい?そう言う認識で良いのかい?」
「そんな自信は微塵もない」
「がっ!!マジで言ってるのか?」
マジもマジ、大マジだ。
つぅかな。
組織として崇秀に敵対するのはOKだし、その組織で金を稼ぐ方法を模索するのにも協力はする。
勿論、それに伴って『打倒崇秀』も、必ず成し遂げる様にはする。
けどな。
俺の最終目標は、そこじゃねぇんだよな。
俺はな。
最終的には、誰1人として不満が無い様な演奏を、みんなで楽しくやりたいんだよ。
その為には、お互いが磨きあって、切磋琢磨する場所が必要だと思ったからこそ、この敵対組織を作る話にも乗ったんだよな。
だから、なにがあっても強制的な参入はさせない。
解ったかモジャ公?
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
倉津君節が炸裂してますね(笑)
これから敵対組織を作ろうとしているにも拘らず。
相手の意思を尊重して「望まなければ」勧誘すらしないと言う方向を示している様です。
まぁ非常に甘い考えではあるのですが。
相手が望まない事を、無理矢理やらせても良い結果にはならない可能性がありますので。ある程度は理に適ってるとは思いますけどね。
さてさて、そんな倉津君の態度に。
モジャさんは心底呆れ返っている様なのですが。
実は、この呆れ返ってる理由については『倉津君が、ある事を忘れているから』こそ呆れ返っていたりします。
果たして、それは何なのか?
次回は、その辺を書いていこうと思いますので。
良かったら、皆さんも、それが何なのか予想してみて下さいです(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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