最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
殴り書き書店

1453 されど無理強いする気は毛頭ない

公開日時: 2025年1月26日(日) 00:21
文字数:2,107

●前回のおさらい●


 佐藤さんに引き続き、沙那ちゃんも勧誘対象である事を明白にする倉津君だったのだが。

沙那ちゃんが、まだ小学生だと知った眞子によって、またしても脱線転覆しそうになるのだが……

「まぁまぁ、眞子助も、旦那も落ち着きなって」

「あぁ、うん。そうだね」


……オマエしばくぞ。


なんでモジャの話は、そんなに素直に聞き入れるクセに、俺の話は聞かない訳?


……まぁ、いつもの事だから良いけどよ。



「そうそう。……それと話が拗れてる様だから、ハッキリ言って置くがな。眞子助、旦那の言う通り、その子は、相当な実力者だぞ。旦那が、自分のバンドに引き入れたい気持ちも良く解るさな」

「そう……なんだ。細川君から見ても、そんなに凄い子なんだぁ」

「そうさな。相変わらず、音楽の事はよく解らないが。俺から見ても、あの年齢で、あそこまでギターを弾ける子は珍しいんじゃないかい。……下手すりゃ、仲居間クラスに化けかねない存在だからな」


そうだ、そうだ!!

崇秀クラスは、多少言い過ぎかも知れないがな。

育て方次第じゃ、トンデモナイ化物に育ちかねない素質は持ってるんだぞ。


そこは本当に間違いないと思うぞ。


でも、1つだけ間違ってる事があるとすれば。

俺は、無理に沙那ちゃんをバンドに引き入れたい訳じゃないぞ。

あくまで此処も、本人の意思は尊重するつもりだからな。



「崇秀さんクラス?なにそれ?」

「いや、そこは、俺から説明させて貰おうか。俺の秘密兵器についてな」


俺が、沙那ちゃんの第一発見者だからな。


参入の有無は置いて置くとしても、沙那ちゃんの事は、俺にも、たっぷり喋らせろ。



「そうさな。それが一番さな」


おぉ……流石に悪魔の参謀。


空気を呼んでやがるな。


んじゃま、親父さんの経歴から、沙那ちゃんの実力が付いた理由まで、タップリ喋ってやるよ。


そうして俺は、眞子に説明を始めた。


かなりの高い熱量を込めてな。


***


「……ってな感じの子なんだがな。どう思うよ?」

「ハァ……そんな子が、まだ神奈川に居たんだね。ちょっと驚きだよ」


……思い知ったか。

沙那ちゃんが、如何に実力者か、これで良く解っただろ。


そしてそれは同時に、俺がロリコンじゃねぇって事も立証されただろ。


俺は、沙那ちゃんの実力に惚れ込んでるだけだ。


まぁ……可愛いのは否めないけどな。

膝の上で、足をパタパタされる可愛さは、堪ったもんじゃないからな。

(↑かなり気に入ってる俺)



「だろ。スゲェだろ」

「うん。凄いね。それが事実なら、掛け値なしに凄いね」

「だったら、どうだろうな、旦那。佐藤の加入の云々は抜きにして、あの子をそのままバンドに加入させちまうってのも、良いんじゃないかい?」


……だから微妙だって、それは。


いやな。

沙那ちゃんの件に関しては、あくまで、糞眼鏡が加わらなかった時の保険に残してして置きたいんだよ。


じゃねぇと『そこで決定→終了』なんて、お粗末な結果に成り兼ねないからな。


それになにより、これから学校に行き始めて、音楽以外にも楽しい事が有る事も憶えさせてやりたいし、友達とも遊ばしてやりたい。

そんな沙那ちゃんを、俺の都合だけで、変に雁字搦めにしてやりたくないんだよな。


解りるかモジャ公?



「いや、それはダメだ。あの子が望まない限り、あくまで『最終手段』って認識にして置いてくれ」

「なんでだい?あの子は、間違いなく即戦力さな。使わない手はないだろ」

「いいや、ダメだ。あの子は、大人モドキの俺達の都合だけで、音楽をやらせる訳にはイカネェ。まだ遊びたい盛りの小学生だしな。下手に縛らなくても、その時が来れば、必ず、勝手に輝き出すからよ」


俺は、そんな沙那ちゃんの姿を期待する。


だからダメッスな。

誰になんと言われようとダメだ。



「……旦那。人が好いのも結構だがな。自分の置かれてる立場ってもんを少しは理解してるかい?あの子を放って置いたら、いずれ、仲居間の毒牙に掛かり兼ねないぞ」

「いやいや、細川君。そこは毒牙とか言わないでよ。毒牙じゃないし」


まぁ、表現は良くねぇな。

それじゃあまるで、崇秀が、沙那ちゃんを取って喰うみたいだもんな。


色んな意味で、語弊のある言葉だな。



「まぁ、そん時は、そん時だ。崇秀なら、なにかにつけて上手く育てるかも知れないしな。それも悪くないんじゃないのか」

「オイオイ、旦那、正気かい?これから敵対組織を作ろうって言うのに、相手に強力な駒を与えてどうするつもりなんだよ。気は確かか?」

「そりゃあ、正気の沙汰じゃねぇわな。けど、そうなったら、そうなったで、その時は沙那ちゃんと言えども敵だ。なら、他の奴等同様に喰っちまえば良いだけの話なんじゃねぇのか」

「ほぉ、そこを言い切るか。じゃあ、それだけの自信が有るって事かい?そう言う認識で良いのかい?」

「そんな自信は微塵もない」

「がっ!!マジで言ってるのか?」


マジもマジ、大マジだ。


つぅかな。

組織として崇秀に敵対するのはOKだし、その組織で金を稼ぐ方法を模索するのにも協力はする。

勿論、それに伴って『打倒崇秀』も、必ず成し遂げる様にはする。


けどな。

俺の最終目標は、そこじゃねぇんだよな。


俺はな。

最終的には、誰1人として不満が無い様な演奏を、みんなで楽しくやりたいんだよ。

その為には、お互いが磨きあって、切磋琢磨する場所が必要だと思ったからこそ、この敵対組織を作る話にも乗ったんだよな。


だから、なにがあっても強制的な参入はさせない。


解ったかモジャ公?


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


倉津君節が炸裂してますね(笑)


これから敵対組織を作ろうとしているにも拘らず。

相手の意思を尊重して「望まなければ」勧誘すらしないと言う方向を示している様です。


まぁ非常に甘い考えではあるのですが。

相手が望まない事を、無理矢理やらせても良い結果にはならない可能性がありますので。ある程度は理に適ってるとは思いますけどね。


さてさて、そんな倉津君の態度に。

モジャさんは心底呆れ返っている様なのですが。

実は、この呆れ返ってる理由については『倉津君が、ある事を忘れているから』こそ呆れ返っていたりします。


果たして、それは何なのか?


次回は、その辺を書いていこうと思いますので。

良かったら、皆さんも、それが何なのか予想してみて下さいです(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート