●前回のおさらい●
不良さんが奈緒さんにお節介な真似をしてしまい、彼女の逆鱗に触れてしまう。
そして、口論がヒートアップしてしまい。
奈緒さんの口から『アンタに近づいた理由も知らないくせに』っと言ってしまう。
これを聞いた不良さんは瞬時に色々な事を悟り。
『その理由だけは知ってるよ』っと優しく彼女を諭す。
その理由とは『奈緒さんの家が借金塗れだから、実家が金持ちの不良さんに近づいた』っと思い込み。
『親の金を盗んでも借金を返す』と言う。
これを聞いた奈緒さんは驚くが、なんでそこまで不良さんがしてくれるのかが解らずに理由を聞く。
そして、その理由を聞いた奈緒さんは……自分の肩に触れた不良さんの手をはじいてしまう。
「違ッ、違うの……」
「あっ、あぁ、だっ、大丈夫ッス、大丈夫ッスよ。こんなの全然慣れてますから」
「違っ……ホントに……そう言うんじゃないんだよ」
なんだ?
この奈緒さんが、俺の手を弾いたっと言う行為には、他に何か意味があるのか?
俺を拒絶した訳ではないと捉えて良いのか?
「うん?」
「私ね。本当は、凄く汚れた人間だから……クラみたいに心の綺麗な人には、私みたいな人間には触れて欲しくなかっただけなのよ」
えっ?奈緒さんが汚い人間?
一体なにを言ってるんだ、この人は?
「はっ、はい?なっ、なに言ってんッスか?大丈夫ッス、奈緒さん綺麗ですよ」
「そう言うんじゃなくてね……私……遊び金欲しさに……体…売ってたの。信じられないでしょ。援助交際なんかしてたんだよ」
「えっ?」
「クスッ……ねっ、ほら、これを聞いちゃったら、もぉ私の事なんか興味が無くなったでしょ。嫌になったでしょ。汚いでしょ私。もぉ触りたくも無くなったでしょ……」
ハァ、なにを言うかと思えば……なにも解ってないな、奈緒さんは。
今までの俺の話を、なにも聞いてなかったんですか?
……俺は馬鹿なんですよ。
さっきモスで、脳味噌のある部分には『塩水しか入ってない』って言った所じゃないッスか。
もぅ忘れたんッスか?
「ホント、どこまでも困った人だな、この人は」
「軽蔑……したでしょ?ねぇ、したよね?」
「なんで俺が、そんな小さい事位で、奈緒さんを軽蔑しなきゃいけないんッスか?その方が訳わかんねぇッスよ」
「えっ?なんで?なんでなのよ、クラ?……普通は嫌でしょ。禿げたオッサンとかと、お金の為に性的な関係を持つ様な女なんだよ。……ねぇ、お願いだから、いい加減嫌いって言ってよ、クラ。ねぇ、軽蔑してよ」
「無理ッスね。幾ら奈緒さん願いでも、その願いだけは叶えてあげられないッス」
「だから……私は!!」
はぁ……もぉこの人だけは……
そりゃあ俺だってね。
奈緒さんが、禿親父とSEXしてるのなんて勘弁願いたいもんですよ。
この話自体は、決して気分の良い話ではない。
だからって、そんなの、今じゃ、もう過去の話なんだろ?
じゃあ今、そんなの、なんも関係ないんじゃねぇの?
幾ら俺がオタクだからと言っても、女性に『処女性』なんて求めませんし、別に『女性に性欲が無い』なんて思ってませんから。
ってか!!
此処まで言っても、受け入れて貰えないって事は、俺、奈緒さんに滅茶苦茶嫌われてる?
取り敢えず、此処を説明してもダメだったら、相当嫌われてるな。
「はぁ……良いッスか、奈緒さん。確かに、奈緒さんの言う通り『未成年のウリ』は法律で禁止されてる以上、褒められた行為じゃないのは確かですよ。基本的には、やっちゃいけない行為だと言えます。……けど、自分に、それしか売る物がないんだったら、それを売って何が悪いんッスかね?法律なんて、所詮は張子の虎。見栄え良く、聞こえの良い言葉を並べ立てた所で、それは違反者を威圧するだけのものであって、決して、弱者を救えやしない。だから俺は、ウリをする事には、なんの抵抗も無い。寧ろ、親に迷惑を掛けず、自分の小遣いを自分で稼いでるんだから、そっちの方が偉くないですか?……以上、これが俺の見解ッス」
「うぅ……もぅ、ばっ、ばか……ばか、ばかっ……」
解るかな?
この『馬鹿』と『ばか』違い。
可愛いよね、奈緒さん……以上、これも俺の見解ッス。
「云いたい事は、それだけッスか?」
「もぅね……呆れてね……ものも言えないよ……クラは馬鹿過ぎる」
「ハハッ……ですよ。じゃあ、俺からも1つだけ聞いて良いッスか?」
「イヤだって言っても、聞くんでしょ?」
「そうッスね」
「じゃあ、勝手に言いなよ。勝手にしなよ」
はぁ~~~、緊張する。
これは本当に緊張する。
此処まで言っても断られる様なら、本当の意味で全てが終わりだもんな。
これ、マジで緊張するわ。
「俺……これからも、奈緒さんの事を好きでいて良い?」
上手く言えたか?
伝わり易い様に出来るだけシンプルに言ったが、効果はどうだ?
ちゃんと伝わったか?
「あぁもぉ……信じられないよ、こんな馬鹿。……こんなのズルイ、ズルイよ」
「だってよ。好きな人を、そう簡単に諦めるほど、俺の好きは甘くねぇッスもん」
「じゃあ、ちゃんと言ってよ。……私、放って置いたら、また無茶な事を平気でするよ……捕まえててよ。本当に、こんな私でも好きだって言ってくれるなら、ちゃんと捕まえててよ」
「我儘ッスね」
「じゃないと、何処か行っちゃうよ……」
大人なんだか?
子供なんだか?
ホント、わからない人だな。
でも、そう言う所も魅力的だなぁって思えるって事は、俺はこの人が本当に好きなんだろうな。
「好きッスよ、奈緒さんが大好きッス」
「奈緒って言ってよ。じゃなきゃ信用出来無い」
「ホントにもぉ、なんで、こんな我儘な人好きになったんだろ?」
「そんなの知らないよ。だから、ちゃんと言ってみ。奈・緒……ほら、奈・緒って言ってみ」
「解りましたよ。言いますよ。言います」
「奈・緒だよ奈・緒。間違えないでね」
此処まで来て、誰が間違えるか!!
それ以前に間違えるか!!
「大好きだよ……奈緒」
「うん、ありがと」
へっ?
あれ?
此処に来て、返答は無しな方向なんッスか?
此処は普通『私も好きだよ、クラ』とかって、言って貰える所じゃないんッスかね?
なんで、それで終わりなんっスか?
はぁ……ホントにもぉ、この人だけは、どこまで我儘なんだろう。
まっ、それも奈緒さんらしいと言えば、奈緒さんらしいんだけどな。
故に、一応、俺の中では、勝手に付き合ってるって事にしておこう。
愛でたし愛でたし、って事で。
「ねぇ、クラ……Hする?Hしちゃう?」
「まだしません!!」
「可愛いね、クラって♪」
もぉ、この人だけは……ホント、何を言い出す事やら。
最後までお付き合いありがとうございました<(_ _)>
これにて、第八話終了でございます(笑)
なんか2人が付き合ってるのか、付き合ってないのか有耶無耶な感じで終わりましたが。
皆さんは、自分が好きだと思った人間が、過去に援助交際をしてたと言う事実を聞かされた場合……受け入れる事は出来ますか?
私の場合は『受け入れられるだろう』けど、倉津君みたいに『速攻では無理』かなと言う見解で。
その場では取り敢えず、当たり障りのない言葉で有耶無耶にし、誤魔化してしまうかもしれませんね(笑)
そして、その場で相手を傷つけた事に気付かず。
後日、受け入れられるよ、っと言ってしまいそうですね。
ですから、この倉津君の言葉は、奈緒さんの心に楔を打ち込んだものだと解釈して書いてました。
しかしまぁ、自分で言うのもなんですが【援助交際してた子がメインヒロイン】って、どうなんでしょうね?(笑)
そんな感じで次回からは。
『この後の奈緒さんの行動』や『崇秀のライブ』に注目して頂ければありがたいです。
次回からは、場面がライブハウスに成っていきますので。
でわでわまた第九話でお会いしましょう。
ま~~~たねぇ~~~(*´▽`*)ノ
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