●前回のおさらい●

　ゲリラライブ後、楽しくデートをしていた倉津君と奈緒さんだが。

何故か違和感が消えることのない倉津君。

そして奈緒さんが……

「クラ」

「えっ？はっ、はい、なっ、なんッスか？」

「今日、最後のお願いがあるんだけど、叶えてくれる？」

「出来る事なら」

「そっか……じゃあ、それで良いや」

「っで、なんなんッスか？」

「ねぇクラ。私の事を殴れる？粗悪に扱える？」

「えっ？えっ？えっ？なっ、なに……急に、なに言ってんッスか奈緒さん？」

へっ？？

なになに？それって、どう言う……どう言う事だ？

今回バッカリは、いつもの様に逃げた解らないじゃなくて、本格的に意味が解らないぞ？

大体して、殴るって、なんだよ？

奈緒さんを粗悪に扱うって、なんだよ?

今回ばかりは、どこをどう考えても理解不能な意見だ。

「あのね。今まで黙ってたけど。私ね。病的な変態なのよ。だからね、君に優しくされても、本当は、なにも感じてなかったのね。私はね、私の事を怒ってくれたり、躾けてくれる人じゃないとダメなのよ。……多分、君には、それは無理でしょ。今まで散々アプローチしたけど、君は、一度たりとも私を本気で怒らなかった……だから……」

「だから……なんだよ？」

「だからさぁ。……別れて欲しいの……私、どうしても、君じゃ無理みたい」

「ふっ、ふっ、ふっ、ふざけんな!!」

「じゃあ、そう言うなら殴ってよ。今すぐ私を殴ったら、私の気も変わるかもよ」

「殴れる訳ないだろ!!なんで好きな人を殴らなきゃいけないんだよ!!そんな愛情表現、意味がわかんねぇよ」

奈緒さんを殴って、どうなるんだよ？

そんなの意味ないじゃないか。

なんで、彼女を傷付けなきゃいけないんだ？

これが山中の言ってた『ＤＶ』の話か？

今更、そんなの無しだろ!!

「そっか。ヤッパリ、無理か。……今まで騙してて、ごめんね。私は、ホントにそう言う性癖なの。それにＳＥＸ出来無い日常にも、もぅそろそろ限界なのよ。今こうして話ながらでも、どうやったら、君に入れて貰えるのか考えてる。そんな事しか考えられない女なんて、君だって嫌でしょ。私は、いつも、そんな事で頭の中が一杯なのよ……ごめんねクラ……こんな女で」

「なっ、なに言ってんッスか？奈緒さん変ですよ」

「ごめんね。度台、君みたいな心の綺麗な人間が、私みたいなキチガイと付き合うなんて無理だったんだよ。……けど、勘違いしないでね。私、これでも、本気でクラの事が好きなんだよ。でもね、でもね、それとは別に、どうしてもＳＥＸしか考えられない自分が居るのよ。……本当に、こんなミットモナイ女で、ごめんね」

なに言ってんだよ、奈緒さん……

違う……違う……

違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う!!!!

そんな筈ない。

そんな筈があってたまるか!!

『!!』

あぁそうか!!

そっ、そうだ。

そうだ、そうだ忘れてた。

奈緒さん、また、俺の事をからかってんだな……

ははっ……しょ、しょうがない人だな。

そうやって、直ぐ、俺を驚かそうとするんだから……

そっ……そんな事では、俺は、簡単に騙されませんよ。

「ははっ、嘘……嘘ッスね。流石に、これはないッスよ、奈緒さん。冗談にも程がある」

「ごめん……本当に嘘じゃないの……ほら、憶えてないかな？私、君のお腹の上で、馬鹿みたいに愛液を垂らしてた事あったでしょ。あれが、本当の私……あの後も、本当は、家に帰って、自分のアソコを弄り回してたのよ……だから、あんなに帰るまで時間が掛かった。……どうしようもないでしょ。もぉね。呆れるのを通り越して、笑えて来るでしょ」

「違う……違うッス……あっ、あれは、綺麗好きな奈緒さんが、風呂に行ってただけの話じゃないッスか。なっ、なに勘違いしてるんッスか。酷く性質の悪い冗談ッスよ」

「ホントに無理なんだもん……わかってよ……君が、どうしてもわからないなら、じゃあ、今、此処でオナニーしても良い。もぉさっきから我慢出来無いの。膣に何か当たってないと、私、不安で堪らないの」

おっ、女じゃねぇから、そんな事わかんねぇよ。

そっ、それに、そんなの嘘に決まってじゃん。

奈緒さんだぜ、奈緒さん。

奈緒さんともあろう者が、こんな場所で、そんな事が出来る訳ないじゃないか!!

いっ……いい加減にしてくれよ!!

「そんな訳!!」

「じゃあ、お願い……信用出来無いて言うなら見てて……私がオナニーするところ。目を逸らさず、ズッと見てて……それでやりたくなったら、いつでも犯してくれて良いから……あっ……はぁ……くっ……」

奈緒さんは、そう言って、俺の前で自らのパンツをずらしてアソコを弄り、指で捏ね繰り回し始めた。

あの奈緒さんが、野外だというのに、俺に痴態を晒している。

そんな馬鹿な光景が有ってたまるか!!

嘘だ……こりゃあ嘘だろ。

何をどう考えても、そんな事が起こる筈ないって……俺の妄想か夢だろ。

こんなの……いやいや、多分、悪い夢の方だ。

ってか、悪い夢だってわかってんなら、早く醒めろよ俺!!

なにやってんだよ？

早く醒めてくれ……もぉ、そんな光景見たくねぇんだよ!!

「あっあぁあぁぁ～～～っ!!やっ、やめろ……もうやめてくれよ、奈緒さん。そんな事するなよ。アンタは、そんな人じゃない。そんな人じゃないんだよぉ」

「はぁはぁ、ごめんね……クラ……私ね、元彼に犯されてから、はぁはぁあっ……ずっと、こう言う事をしなきゃ生きていけない病気なの……あぁああぁ、くっ……だからね。もぉきっと一生治らない……うっうっあっあぁ……だって……だって、これ、気持ち良いんだもん」

「なんでだよ。なんで、そんな事を言うんだよ!!奈緒さんは、俺に不満が有ったかも知れないけど。それでも俺達、上手く行ってたじゃないか!!なんで今更、そんな事するんだよ!!……奈緒さん!!」

声を荒げて奈緒さんを嗜めるが、彼女の手が止まる事はなかった。

彼女は指を動かしたままで、虚ろな目をコチラに向ける。

「ごめん。今……なんて言ったの？……気持ち良くて……良く聞こえないや」

「……あっ、そっ、そうか、そうだったんだな。奈緒さん、おっ、俺……俺の事が嫌いになったんだな。そうか、そうッスよね。なら、そう言ってくれれば良いじゃないですか。だったら、諦めもつくしさ」

そっか……

手の込んだ事をするなぁ。

けど……そんな事しなくても、奈緒さんが、俺の事に飽きたって言うなら、それは仕方が無い。

だから、そんなミットモナイ真似は辞めて、ハッキリ言って下さい!!

「違う!!私だって、本当に上手くやっていけるなら、そうしたいよ……けど、無理なんだよ、クラ。君は、私にとっては優しすぎる。……男の君にはわかんないかも知れないけど、これが、ホントの私なの。だからもぉ、別れるしかないんだよ」

あっ、あれ？

この言動、さっきとは、まるで違うじゃないか？

・・・・・・

って事は……違う。

違うぞ。

この人、なんか隠してるんだ!!

無理な注文をつけて、俺に嫌われる様に仕向けてるな。

もし、これが間違っていたら、もぅ後はない。

殴りながらでも、此処でＨして奈緒さんを引き止めるしか無いからな。

それを彼女が望むなら、叶えてやるよ。

兎に角だ。

今は、そこに俺が感ずいた事を気付かれない様に、奈緒さんに感情を合わせて、話を進めよう。

話は、その後だ。

「なんでだよ。訳わかんねぇよ。なんで、そんな事を言うんだよ、奈緒さん？」

「……これ以上、もぉ君を傷つけたくないの。それにもぉ、嘘も付きたくない……もし出来る事なら、此処で私とＨして欲しい。殴りながら犯し欲しい。それが出来たら……」

「それは、何度求められても……無理だ」

「そっか……そうだよね、気持ち悪いよね、こんな女……あぁでも、気にしなくて良いんだよクラ……でも、最後まで見ててね……これ、私からの最後のお願いだから」

「もぉ良い。辞めろ。……奈緒、もぉやめろ。オマエの本心が見えた」

「えっ？」

動揺する隙を突いて。

俺は、咄嗟に奈緒さんの手を、彼女の下半身から引き離した。

そして、即座に、彼女の手を確認する。

―――思った通りだ。

あんなに感じていたのに、手は濡れていない。

彼女は、なんらかの理由があって嘘を付いている。

これは確信だ!!

「いっ、嫌……離してよ……こんな事されたら、私、おかしくなっちゃうよ……離して、離してったら」

「ダメだ!!この手は、絶対に離さない。それに、もぉ良いって、さっき言っただろ、奈緒」

「クラ？」

「奈緒がＨ好きだろうと、なんだろうと関係ねぇ。俺は、絶対、アンタとは別れてやらねぇからな。アンタはな、俺だけのもんだ。嫌がっても、一生付き纏ってやるよ」

「でも……」

「だったらアンタは、なんで泣いてんだ？さっきから、なにボロボロ泣いてんだよ。心の中がスケスケだぞ」

「泣いてないよ。……気持ち良かっただけだもん……泣いてない」

「あのなぁ。アンタは、そうやって、自分を悪人に仕立てて、いつも俺を庇うけどなぁ。いつまでも、俺もガキのままじゃねぇんだよ。奈緒、今度は、一体、なにがあったんだよ？アンタを此処までさせたものはなんだ？頼むから言ってくれよ、奈緒。俺だって、伊達に、ずっとアンタを見て来た訳じゃねぇんだぞ!!」

「……クラ……」

「もう良いから言えよ。全部言っちまえ」

「スンッ……スンッ、うぇ、うえ～～～～～ん!!私だって、本当は別れたくないんだよぉ～。大好きだよぉ～。大好きだよぉ～クラぁ～!!クラぁ～別れるなんて、絶対に嫌だよぉ～～～」

やっぱりだ。

奈緒さんが異常な行動をする時は、必ずと言って良い程の確率で、なにかある時だ。

今回に至っては、最後の最後まで理由は判らなかったが、兎に角、泣き出したって事は、事情があるって証拠だ。

けど……此処まで奈緒さんを追い込んだ理由はなんだ？

まぁまずは、本人を落ち着かせなきゃな……こんな状態じゃ、話も出来ねぇ。

「奈緒さん、泣かないで」

「だって、だって、クラ、いつまで経っても、私の事を嫌いになってくれないんだもん」

「どういう事ッスか？俺、奈緒さんに嫌われてるんッスか？」

「好きだよ!!……そんなの決まってるじゃん。大好きだよ……でも、嫌って貰わなきゃ困る」

「あっ、あの、申し訳ないんッスけど。そこが良くわからないんッスよ」

「ウチの母親がね。私を、とあるプロダクションに売ったの……だから」

「どこに売ったって言うんッスか？それ以前に、それ、母親のする事じゃないッスよ」

「仕方ないよ。……私、あの人から生まれてきたんだし。幾ら嫌いでも、家族を見捨てる訳にもいかないもん」

あぁ……結局、この人は、こう言う人なんだよな。

ナンデモカンデモ、自己犠牲で補おうとするんだよな。

これって、奈緒さんの長所でも有るんだけど、今回に至っては、度が過ぎて、完全に短所になってるよ。

ホント、困った人だ。

最後までお付き合いくださり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>

今回は中々衝撃的な展開だったと思うのですが、如何だったでしょうか？

こう言う事情で奈緒さんは。

今日一日を、倉津君との日を最後にする為に『自分への思い出作り』をし『別れる準備をしていた』んですね。

これは正直、かなりキツイと思います。

さて、そんな中、詳しい事情を次回説明していきたいと思いますので。

良かったら、是非、また遊びに来て下さいねぇ～～～(*'ω'*)ｂ