●前回のおさらい●
崇秀を貶され、動けない筈の体が動き出す程ブチギレた眞子。
当然、医者らしき人物はぶん殴られるのだが、そんな中にあっても彼は『眞子を故意的に変えたと主張』
それについては、どう思うのかを問われる。
「まぁ良いんじゃない」
「はぁ?」
「今と成っては、私自身も、凄く、この体を気に入ってるんだからさぁ。そんな程度の事は、もぉ今更、大した問題じゃ無いよ。寧ろ『もぉ女の子最高♪』って感じだしね」
『崇秀が私を故意的に女性に変えた』って、この医者らしき人物の意見に対して……こう返してみた。
正直言えば、そんな単純な話で済む問題じゃないんだけど。
今まで私が、崇秀から受けてきた沢山の恩義を考えれば、少々無理があってもこう答えるのが正しいと思う。
もぉこれ以上は私自身も、崇秀が、この人から謂れなき暴言で攻められるのなんて我慢出来ないしね。
「なっ!!……貴女は、なにを言ってるんですか?」
「なにって?なによ」
「貴女は、本来は男性として生きれた筈なのに、仲居間崇秀さんの自分勝手な行動によって、女性って性別を替えられたと、僕は言っているのですよ。それなのに貴女は、そんな事は些細な事と言ってのける。本当に自分の言ってる事が解ってるんですか?」
「そうだね。普通に考えたら、私は変だよね。……でもさぁ、考え方によっちゃ。この体だったら、男の時みたいに余計なシガラミもないし。それになにより、この可愛さには、みんなが夢中になる程の可愛さなんだよ。私ってさぁ、真琴ちゃんの時代があったから、人にちやほやされるのって大好きなんだよね。だから、もぉ女にしてくれて、ありがとうって感じだね」
「では貴女は、この事態に、なんの遺恨もないと言うのですか?」
本心を言えば、ない訳がないでしょ。
もし仮に、それが事実だったとしたら、私にだって許せない事だってあるんだから。
「うぅん。そこだけは、ちょっと違うかなぁ。……まったく遺恨がない訳じゃないよ」
「矢張り、遺恨はあるんですね……」
「うん、あるよ。まぁ、流石にね。奈緒ネェの件だけは、どうやっても納得出来無いよね。これだけは、私自身も納得は出来ていない」
「だったら……」
「でもさぁ、崇秀だって『私にぐらいになら我儘言っても良い』と思うんだよね」
「へっ?」
「崇秀はさ、今まででさえも、ナンデモカンデモ自分1人で抱え込んで、全て解決してきたんだからさぁ。彼にも幸せに成る権利はある筈。だから、そんな中にあって、唯一『私だけが欲しい』と思ったんなら、本当に身の心も捧げてあげなきゃ行けないんじゃないかな?私が彼を支えてあげなきゃいけないんじゃないかな?」
……なんてまぁ、綺麗事を言ってる訳なんですが。
これに関しては、奈緒ネェが、私と言う存在を完全に認めてくれたからこそ言える話であって。
もしあの時、奈緒ネェが、私の存在を認めてくれていなかったら、こんな発言は決して出来なかった筈。
なので私が、この発言や行動が取れたのは、慈愛に満ちた奈緒ネェの寛大な心があればこそ出来た発言だと思う。
……っで、更に言えばなんだけどね。
さっき、このお医者さんらしき人物は『崇秀が、私を故意的に女性にした』とか言ってたけど。
それ自体も、矢張り、信用の置ける言葉じゃなかったのも、その1つ。
だってさぁ、考えても見て下さいよ。
この眼の前に居る人は、私の体を女性に変化させた事が、崇秀の暴挙だって言うけどね。
実際は、それも、どうだか解ったもんじゃないよ。
もし仮に、それが事実だったとしても、アイツには別の意図があったとしか思えない。
ってか崇秀さぁ。
これが唯一『私からヤクザと言う枷を外す方法』だったと考えての行動だったんじゃないかな?
倉津真琴とは全く別人にさえ成ってしまえば、私が『自由になれる』と考えての行動だったんじゃないかな?
端的に言えば『別に崇秀は、私を女性にしようとしたのではなく、別の男性にしてしまおうとしていた』って話。
まぁ、これ自体も、人道外れた行為ではあるかもしれないんだけど。
今までも私を救う為なら、色々な事を崇秀が考えてくれていたのも事実。
今までのアイツの行動から考えても、此処は間違いではないと思う。
そしてアイツは、そう言う事だけは、本当にやりかねないからね。
っでまぁ、多分、此処で1つだけ、あのお馬鹿が大きなミスを犯したとしたら、ヤッパリ……私が『女』に成っちゃった事だろうけどね。
要するに、此処に関しては『故意的に女性にしたのではなく』
偶発的に、私に元からあったおかしな体質の副作用の効果で『女性に成ってしまった』っと言う見解が正しと思える。
……っでまぁ、そんな風に失敗してしまったもんだから。
それを反省しながらも、どうやって解決しようか考えて楽しんでる。
昔からアイツは、そう言う奴だよ。
……でもでも、その理屈が通るならさぁ。
アイツって、本当に私の事が好きだって事なんだよね♪
そこだけは意外だったりする……
えへへ……可愛いじゃん♪
「貴女って人は……」
「なになに?とうとうアナタまで、私に惚れちゃったの?」
「いや、自分に惚れる事は、実質的に不可能だと思いますよ」
「……はい?それ、どういう事?」
えっ?
なになに?それってどう言う事?
自分に惚れる事は出来ないって、どう言う事なの?
・・・・・・
いや、ちょっと待って。
この言い分だと、この人って、私の中で生まれた『新しい人格』って事にならない?
あぁ……でもダメだよ。
この体は、なにがあっても貴方にはあげないよ。
第一アンタの性格じゃ、眞子の性能を最大限に生かせないから……大人しくしてろい!!
「騙していて申し訳ない。僕は、アナタの記憶媒介である『海馬』を司る者」
「はっ、はぁ??私の海馬を司る者???なにそれ???それじゃあ、全然意味が解らないんですけど???」
えぇ~~~ホントにこれって、どう言う事なの?
これって、多重人格症じゃなくて、私の臓器には人格があったって話?
……ってか、私って、臓器にまで人格があるの?
「それに先程までの意見も、全て僕の主観によるものなので、多少の虚偽があったかも知れません。本当に申し訳ないと思っています」
あぁいや、あの、そうやって謝罪して下さるの結構なんですけどね。
出来ればなんですが、私の質問にも答えてくれませんかね?
……ってか、このパターンは、自分の世界に入っちゃって、私の話は聞いてないね。
・・・・・・
(´Д`)ハァ…じゃあ、ダメだこりゃ。
もぉ、この人の話に合わせて、話を進めるしかなさそうな雰囲気だね。
「えぇ~~っと、今『多少の虚偽』って言ってましたけど。それって、何所から何処までが虚偽なんですかね?」
「まぁ、主観で話してた部分は、全てそうなのですが。僕としては、向井奈緒さんに肩入れしている部分が多々ありましたので。この機会に、貴女には倉津真琴を受け入れて貰おうと思ったのですが。どうやら、貴女と向井奈緒さんとの関係より、貴女と仲居間崇秀さんとの関係の方が深かった様で、全て失敗に終わりましたね」
「はい?……って事は!!全部嘘じゃん!!」
酷い……これは、あまりにも酷すぎる。
・・・・・・
……って!!あぁあぁ~~~だからか!!
もし、この人が言う通り、この人が本当に『私の海馬』だったのなら。
一部の人間しか知らない筈の『私の女性化の話』に関しても、私しか知らない筈の『ひとりごと』に関しても、彼が記憶媒体である海馬なら『女体化を知っててもおかしくはない』し『一言一句違わず、私のひとりごとを再現する事が出来る』
それに、私の記憶媒体だからこそ「僕に対して、こんな……貴女は、自分が何をやってるのか解ってるのですか!!」って言葉を発してた訳にも繋がらなくもない。
腹が立つけど……これだけ証拠があるなら、彼の言う事も全部辻褄が合ってしまう。
早い話、今までの私は、自分の意識がない事を良い事に、自身で脳内会議を開き。
自身が持っていた疑問や、罪悪感などを引き合いに出して、独り相撲をしてただけに過ぎなかったのね……
ちょっと待って……マジで最悪なんですけど。
けど、それならそうと、先にそう言ってよね。
倉津真琴を受け入れて欲しいなら欲しいで、なんで、そんな遠回しな事するかなぁ……
……って事は、なんですか?
崇秀が、私の事を好きって話も……あれも全部嘘なんですね。
うわ~~~ん!!なによそれ!!
ほんの少しでも期待して損したぁ~~~!!
・・・・・・
……ってもぉ、良いや。
今更、終わった事を愚痴愚痴1人で言ってても仕方ないもんね。
早い話、これって自業自得って事だしね。
なら、此処は1つ、もぉ過去の事なんて何処かに放り投げて、前だけを向こうじゃありませんか!!
……(;´д`)トホホ
(↑馬鹿なので、果てしなくボジティブ)
「……ってか、あの、さっき私、自分の海馬殴っちゃった訳なんですけど、それは大丈夫なの?記憶障害とか起してない?」
「えぇ、まぁ、記憶障害の方は大丈夫なんですが……」
「うん?記憶障害の『方は大丈夫』?……あの、ちょっと待ってくれるかな。その言い方って……」
「あぁっと……そろそろ、リアルな世界での方の貴女がお目覚めになりそうな雰囲気ですね」
「ちょ……」
「では、私の人格は、永遠に貴女の中に吸収されますので、もぉお目に掛かる事もないと思いますが、どうぞ、未来永劫、これからも末永くお幸せに……」
「ちょ!!ちょっと待てぇ~~い!!自分の言いたい事だけ言って、あっ……」
あぁもぉ、また意識が切れそうだ……
ホント、なにからなにまで最悪だよ……
あぁっと、でも、そんな事よりも。
今の気持ちを忘れない為にも、意識が完全に途絶える前、これだけは必ずやっておかないとね……
「(・・・・・・・)」
私は、心の中で、それを念じた……
***
……っと言う訳で今回は。
こんな『夢オチ』にも等しい酷いオチでございまして、結局『なんなのこれ?』って感じなんですよね。
マジで最悪だよ。
ホント、なんなの、この展開は?
まぁでも、少しだけ、自分を見詰め直すには良い機会に成ったかもしれないね。
***
―――次回予告。
長い長い悪夢の様な時間を過ごしていた中にあっても……ずっと夢に見続けた2人との再会。
そんな2人は、私を見ながら、驚愕の表情を浮かべる。
この2人が、それ程までに驚く様な事態って、なんなんだろうか?
あの悪夢の様な時間を過ごしていた私の身には、一体、何が起こっていたのだろうか?
『In hospital』
「病院内」
また此処から、新しい展開を迎える。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
これにて第一章・第四十六話【Muddled consciousness(混濁意識)】はお仕舞なのですが、如何だったでしょうか?
まぁ、今回は『病院で意識がない眞子が一人で脳内会議をしてるだけの独り相撲』だったと言う酷いオチだったのですが。
結構、眞子の女性化について、皆さんが疑問に思ってた事は解消できたと思いますです(笑)
……ってな訳でございまして。
この眞子の独り相撲を加味した上で、次回からは……
第一章・第四十七話『In hospital(病院内)』をお送りしていきたいと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
読み終わったら、ポイントを付けましょう!