●前回のおさらい●
崇秀本人も気付かぬ内に、車内にまき散らしてしまったフェロモン。
だが、ヒナちゃんの中身が崇秀だと解っている以上。
絶対に勃起したくない倉津君は、つい言葉を荒げてしまい……
「あぁ、いや、すっ、すまん、崇秀。今のは変な意味じゃねぇんだ。気にしないでくれ」
「いや、別に構わねぇけどよぉ。今の俺って、前のこの子と、なんか違いが見受けられるのか?正直に言ってみな」
冷静ですな。
しかも、俺の逆恨みとも言える様な態度にすら怒ろうともせずに対処してくれようとしてるんだもんな。
こう言う所は、本当に助かるんだけど。
マジで、どんな精神構造をしてるんだろうな、コイツって?
いやまぁ、そんな事を論じてる場合でもないか。
冷静に対処してくれてるなら、まずは話を進めよう。
「いや、特別な。見た目に、これと言った変化が有る訳じゃねぇんだけどな」
「ほぉほぉ」
「オマエがヒナの体の支配権を得てから、異常なまでのフェロモンが体外に分泌されてるみたいなんだよ」
「フェロモンだと?」
「そっ、そうなんだよ。さっきから尋常じゃない量のフェロモンが、オマエから分泌されてるもんだからよぉ。……俺さぁ」
「あぁ、なるほどな。そうか。そう言う事だったのか。さっきから様子がおかしいと思っていたら、それが理由だったか。そりゃあ悪い事したな。気持ち的にも嫌だわな」
謝んなよ。
別にオマエが悪い訳じゃねぇんだからよぉ。
寧ろ、こんなもんは、無節操な俺が悪いだけなんだからよぉ。
大体にして、これ自体が、何らかの形で起こった自然現象みたいなもんなんだろうしな。
「いや、オマエが謝る事じゃねぇんだよ」
「けどよぉ。無意識とは言え、無神経な事しちまってたのは事実だろ。だから、此処はキッチリ謝って置くよ。すまんな」
「あっ、あぁ……」
「……まぁ、それはそれとしても、これバッカリは、そう簡単には、どうにもなんねぇぞ」
「だよなぁ。それはなんとなく解る。……でもよぉ。なんで、そんなに急に、大量のフェロモンが分泌する様な体質になったんだ?」
疑問に思って、つい言葉にしてしまったが。
例え崇秀であっても、こんな状態で解る訳ねぇわな。
なにせ俺が言うまで、本人ですら気付いてなかったんだから、咄嗟に、そんな理由が出て来る訳ない。
流石に、これは、あまりにも無茶な質問だったか?
「ふむ、まぁ、そうだなぁ。……確率論的な話で良いなら、思い当たる節がなくもないな」
「マジでか?」
あるんかい!!
「あぁ、勿論、それは何処まで行っても可能性の話でしかねぇ事が前提にはなるが。こう成ってる理由は解らなくもないぞ」
ヤッパ、オマエって、頭が良いんだな。
それでいて、常に冷静沈着で、何事にも慌てず。
即時に自分の置かれてる状況を、正確な分析出来るんだもんな。
自分の方が大変な立場なのによぉ。
いや寧ろ、この場合、自分の置かれている立場が十分に解っているからこそ。
即座に対応しようとしてくれてると考える方が正しいのかもしれない。
どちらにせよ、まいっちまうよな。
まぁまぁ兎に角だ。
崇秀の中に何らかの回答があるなら、まずはそれを聞いてみよう。
「因みに、それって、一体なんなんだ?」
「う~~んっとなぁ。こう言う事を、本人の居る前で言うと、この子に対してスゲェ失礼に当たるんだがな」
「ふむふむ」
「この一件は『根本的な魂の質の違い』が問題に成ってんじゃないかとは思うんだよな」
「魂の質だと?」
「そぉ、魂の質。……って言うのもな。人って言うのは、男女に問わず、生まれた時は、みんな、一緒位の魂の輝きを持って生まれて来るんだけどな。その魂を磨き続ければ、磨き続ける程、体って言う魂の器から容量を超えた分のオーラが、体皮から滲み出して来るんだよ。それが実は、根本的なフェロモンの正体じゃねぇかって仮説が、まずはある訳だ」
へぇ~~、そうなんか?
そりゃあまた、なんともオカルティックな話だな。
まぁでも、なんとなく納得出来なくもない意見だから、このまま続けて講義を受けるとするか。
「ほぉほぉ」
「でな。本来は、魂を磨くと同時に、魂の器である体の方も、それに合わせた大きさにドンドン成長し、今度はこれが『威厳』ってもんに成って行く訳なんだが。……今回の場合は、少し勝手が違うだろ?」
「あっ!!」
「そう、それだ。仮にこの仮説が正しいとするならば、突然、起こりえぬ事態が、この体に起こってしまったバッカリに、体の方が対処しきれずに、どうにも魂の容量がオーバーフローを起しちまってる様な状態に成っちまってるんじゃねぇか?って説になる訳だ。それこそが、こう成ってる原因じゃねぇかと思われるな」
なるほどなぁ。
このフェロモンが大量に分泌する様な体質に成った理由は、人の大きさの違いからくる、容量オーバーが原因だったとはな。
まぁ、少々科学的な見地からは外れた仮説だから、全部が全部を鵜呑みにする訳ではないけど、一応は理には叶ってるとは思う。
特にそれが蓄積して成長し続ければ、威厳に成って行くってのも、今までの崇秀を見てたら妙に納得な話だしな。
でも、これって、あれだな。
ヒナにとっちゃあ、かなり痛烈な一言に成っちまったなぁ。
直接的に、魂の格の違いを見せ付けられてるのと同じ様な状況に成っちまってるもんなぁ。
だったら崇秀に、こんな余計な質問をするんじゃなかったよ。
これまた失敗だ。
「あぁ……」
「あぁっと、序に言えば、それともぉ1点。魂の容量以前に気に成る点が無くもねぇんだがな」
「なに?まだ、そんなもんがあるのか?」
「まぁな。……とは言っても。これも仮定の話に過ぎないんだけどな」
「そうなん?因みに、それって、なんなんだ?」
なんの理由があるんだ?
それ以外に、どんな理由が有るって言うんだ?
取り敢えず、ヒナの件があるから大手を振って聞く態度をとる訳にはいかないが、此処まで聞いてしまった以上、その話には興味はあるな。
しかしまぁ、なんだな。
こう言う事ばかりを常に考えて、即座に仮説を立てて来るから。
ヒナの奴も、崇秀が『真理の探究者ではないか』っと思っちまう所以なのかもしんないのぉ。
今さっきしてくれた話にしても。
『魂』と言うあやふやな部分の正体さえ解明できれば、科学的な見地に成りえる訳だしな。
所謂、オカルティックなアプローチから入り。
そこから理詰めをすれば、科学的な見地の立証も可能って訳だからな。
ホント、コイツだけは……スゲェな。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
今回の話は、かなりオカルティックな話に成ってしまったのですが。
以前お話に書いた『真理の探究者』について考察してみたら。
オカルティックな部分から入り、そこから医学的見地で理詰めしていく方法が一番適してるのではないか?と思い。
その辺の説明を兼ねて、このフェロモンの説明を書かせて頂きました。
まぁ勿論、議題に対して回答を導き出す場合、この逆も然りなんですがね。
ただ、そうやって医学的な見地から入った場合。
オカルティックな部分を無理に入れる必要性がなくなってしまうので、どちらにとっても正当性がある意見が作り出しにくくなってしまうのではないかと思い、最初の意見の方がより適してると思いますです。
さてさて、そんな中。
崇秀の人体の不思議に関する講義が続く訳なのですが。
一体、これ以上、なにを言うつもりなんでしょうね?
次回は、その辺を書いていこうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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