最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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1549 親父さんとの合流

公開日時: 2025年5月2日(金) 00:21
文字数:2,304

●前回のおさらい●


 仕事の都合上、奈緒さんがアメリカに帰って行った。

これで、親父さんとの約束の時間までに全てのやって置くべき事を終えたので、心おきなく……

 ……ってな感じで、奈緒さんの乗ったタクシーが俺達の目の前を通り過ぎ。

そんなタクシーが見えなくなるまで、沙那ちゃんと2人で手を振りながら見送っていたんだがな。


その姿が見えなくなった後、実家の門の前をフッと見たら。

沙那ちゃんの親父さんが、既に到着しており、こちらを向かって必死に手を振っていた。


あんでまぁ……全然気付かんかったわ。


ってか。

居るなら居るで、手だけを振ってないで、声ぐらい掛けてくれりゃあ良いのに。



「あぁ、親父さん、お疲れッス」

「あっ、あっ、くっ、倉津さん。良かった。漸く気付いて頂けましたか。さっきから、何度も手を振っていたのですが、一向に気付いて貰えなくて」


影薄いんか!!

薄羽陽炎かなんかの類かアンタは!!


あんなトンデモナイ腕前のビルダーなのに存在感が薄いなぁ。


マジで、この存在感のなさだけは謎だわ。



「あぁ、すんません。ホント気付かなかったッスよ」

「……何気に傷付きますね、それ」

「いや、あの、そう言う意味じゃなくて……」


じゃあ、どういう意味なんだろうな。

それ以外、一体、どんな意味があるって言うんだろうな?


自分で言っててなんだが、呆れる位レベルの低い言い訳でしかなかったな。


ホント、何を言ってんだよ、俺は?



「あぁ、大丈夫ですよ。よくある事なんで」

「あれ?お父さんだ。お父さん、いつ帰って来たの?」

「・・・・・・」


俺が、親父さんと喋ってるって言うのに、全然、存在に気付いてなかったのかよ。

それとも、知らない人とでも喋ってるとでも思ってたのか?


沙那ちゃん……流石にそれはダメだろ。



「あぁっと、親父さん。あれ、あれッスね。着いて早速で申し訳ないんッスけど。良かったら、直ぐにでも家の方を内検してみますか?大体のリフォームも終わってますんで」

「あぁ、あぁ、そっ、そうですね。是非、拝見させて頂きたいと思います」

「じゃ、じゃあ早速」


……っと、失言に言い訳をする政治家の如く、上手く誤魔化しながらも。

この後は、話もトントン拍子に進む筈だったんだがな。


此処で、ある小さな問題が生じてしまう。


いや、この場合は、起こしてしまったと言うべきか……



「ねぇ、おにぃちゃん。お家を見に行くなら、沙那、ジュース買って来てあげようか?」

「うん?……あぁ、そうだな。少し喉も渇いたし。じゃあ、お願いしよっか」

「うん。ジュース」


……って言って、俺の方に手を出して来たもんだから。

昨日同様、俺も、沙那ちゃんに飲み物を買って来て貰おうと思い。

なんの考えもなしに、直ぐ様、財布から金を取り出したんだが……


これが良くなかった。



「くっ!!沙那!!なにしてる!!」

「『ビクッ!!』」

「オマエは、なんてミットモナイ子なんだ!!何もしていないのに、人様からお金を貰おうとするんじゃない!!ジュースが飲みたいなら飲みたいで、お父さんに言いなさい!!物貰いかオマエは!!」

「えっ?違ッ!!」


『バシ~~ン!!』



「言い訳するんじゃない!!」

「うっ……ひくっ……うぅ……違うもん、違うもん。びえ~~~~~~ん!!沙那、物貰いじゃないもん。おにぃちゃんの買い物に行ってあげようと思っただけだもん。びえ~~~~ん!!」

「まだ言うか!!」


『バシ~~ン!!』



「うわ~~~~ん!!なんで叩くの?お父さんなんか嫌いだぁ。沙那、悪くないもん。おにぃちゃん!!おにぃちゃん!!沙那、悪くないも~ん!!」


コレは、完全に俺の見落としだ。


昨日、沙那ちゃんに買い物を頼んだ感覚で。

なんの考えもなしに、つい、お金を渡そうとしたのが不味かったんだよな。


親父さん、普段は温厚な人なんだが。

どうやら、人から施しを受けるのは、あまり良しとしない人みたいなんだ。


例をあげれば。

俺が親父さんからベースを買った時にしても『自身が施しを受けない様にする為』に金銭面で少し揉めたし。

引っ越しの話をしてる際にも同じく『自身が施しを受けない様にする為』にも交渉が難航した。

まぁ勿論、引っ越しの話の場合は、沙那ちゃんの件があったからこそ難航した部分もあるんだが。


それらを踏まえたとしても、此処まで烈火の如く怒り出したって事は、どうやら『逆鱗に触れたらしい』


けどなぁ。

事実は、そうじゃないんだよなぁ。


沙那ちゃん自身は、本当に買い物に行ってくれ様としただけだし。

俺の事を身内みたいに思ってくれてるからこそ、気軽な気持ちでそう言ってくれただけだろうからなぁ。


なので本当に此処は『施し』どうのこうのの問題じゃなかったりするんだよなぁ。


でも、親父さんの目には、そうは映らなかった。


何故なら『沙那ちゃんを預かってた此処数日で、そこまで親密に成ってるとは親父さんも予想出来なかった』だろうからな。


だから此処は、そんな事情を知る俺が、なんとしても、この誤解をいち早く解いてあげないといけない。


沙那ちゃん、俺の胴に手を回して。

思いっ切り泣きながら、完全にくっ付いちゃってるもんな。



「オマエは!!」

「嫌だよぉ!!嫌だよぉ!!悪くないもん!!沙那、悪くないもん!!」

「ちょ!!親父さん!!ホントそうじゃないんッスよ。昨日、沙那ちゃんに飲み物を買いに行って貰ったもんだから、今日も、飲み物が必要だと思って、買いに行ってくれ様としただけなんですよ」

「だとしてもですね、倉津さん。もしそうしたいなら、親である私に言うのが本筋ではありませんか?何故、倉津さんに言う必要が有るんですか?私は、この子に、人から施して貰うのが当たり前だなんて思う様な子にだけは育って欲しくないんですよ」


ヤッパリ、そこだったか。


そこで正解だったか。


あぁもぉ……毎度毎度の事ながら、全く持って俺って奴は。


そこが予想できたんなら、もう少し警戒しとけって話だよな。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


親父さんと約束通り会えたまでは良かったのですが。

また些細な事でトラブルが発生してしまいましたね(笑)


まぁでも、トラブルが起こる時って言うのは、こんなものでして。

何気ない一言が切欠に成ってしまい、こうやってトラブルが発生してしまうもんなんですよね。


皆さんも、そういう経験ありませんかね?


さてさて、そんな中。

こうやってトラブルが発生してしまった以上、これを放置したまま『家の契約の交渉』をする訳にはいきません。


なので此処も、なんとか倉津君に解決して貰わなきゃいけないのですが……

今回の倉津君は状況判断も出来ており。

比較的冷静な態度のままでいるみたいなので、此処は一応は大丈夫だと思います。


なので次回は、そこの対処方法を書いて行かせて頂きますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾



このままじゃあ、なんの罪もない沙那ちゃんが、あまりにも可哀想ですからね。

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