●前回のおさらい●
コンクールでの優勝賞金200万について『みんなで折半しよう』って話に成っていたのだが。
ステラさんと龍斗君が『この賞金の受け取りを辞退した』と倉津君から聞かされるカジ&グチ君。
そんな折、そのややこしい発言をしたステラさんが、教室の片づけをしていた倉津君達の前に現れた。
まさに『ギター界の這いよる混沌』(笑)
「『金髪ねぇちゃん』って……なんて低脳な言い方なんですか、カジ?アナタの脳細胞は、見たままの物しか認識出来無い程の知能しか、頭の中には備わっていないのですか?」
「あぁっと、悪ぃ、ステラちゃんだよな」
「はぁ。その様子ですと、言葉を聞いて、漸く、私だと認識出来た様ですね。嘆かわしい事です」
「いや、まぁ、それは……」
「ひょっとして、まだ認識していないのですか?」
「いやいや、大丈夫、大丈夫。ちゃんと認識してるって」
「それは良かった。そこに居る低脳微生物よりかは、少しばかり知性が在る様ですね」
なんで、そんなに俺の方をジッと見ながら『低脳微生物』とか言ってるのかな、君は?
此処最近の俺は、オマエが思ってるほど、そんなに馬鹿じゃねぇんだぞ。
(↑金が関わるか、汚い事のみな俺)
いつまでも、昔のままと思って貰っちゃあ困るな。
「オマエねぇ。イキナリ、人の話に乱入して来て、悪口ブチかましてんじゃねぇぞ」
「悪口?……いいえ、私は、全て真実を述べたまでですが。それともアナタの様な生き物は、真実が一番傷付くんですか、産廃……生意気ですね」
「誰が生意気じゃ!!それに、実にアホくせぇ理屈だな」
「何故ですか?」
「あのなぁ、ステラよ。誰がオマエの言葉なんぞで、イチイチ傷なんぞ付くかよ!!そんなもんで、毎回毎回凹んでたらなぁ。コッチの身が持たんわ!!」
「矢張り、自分の置かれている現状すら、理解出来てない様ですね。本当に幸せな人ですね、脳タリン」
「うるせぇわ!!」
なぁ~~んで、こんなに腹が立つんだろうな。
大体にして俺さぁ、コイツに悪口言われる様な事なんかしたか?
これこそが、正真正銘の『謂れの無い言葉の暴力』なんじゃねぇか?
……ちゅ~事でだ、本当に辞め給えよ、ステラ君!!
言葉で傷付けられた傷は、心に沁みて治りが遅いんだぞ。
「それはそうとステラさん。倉津の話は置いといたとしても。何故『賞金を受け取らない』なんて話になったんだ?些か、不明瞭な気がするんだが?」
「ハァ~~~、何故、そんな単純な事を疑問に思うのですか?その様子じゃ、私が出した条件を、まだ真琴から聞いていないのですか?」
「賞金を受け取らない条件?……悪いが、なにも聞いていないな?」
「そうですか。……矢張り真琴は、今世紀最大級に役に立たない産業廃棄物ですね。汚物と言っても過言では無いでしょう」
うん?なんの話だ?
(↑既に『汚物』って言われた事をスルーする俺)
あぁ、そう言やぁ、さっき、少しこの話をステラの奴にした時、コイツ、なんかゴチャゴチャ言ってたな?
あれ……なんだっけか?
『!?』
って、オイまさか!!
この馬鹿、本気で、あんな馬鹿な事を言ってたんじゃねぇだろうな!!
もし本気なら、正気の沙汰じゃねぇぞ!!
「ちょ!!ちょっと待てな、ステラ。オマエ……まさかとは思うが、あれ、マジで言ってたのか?冗談だよな」
「私が、冗談の類があまり好きでは無いのは、先刻ご存知だと思いますが。マジも、糞も、元より、そのつもりでしかありません。なにか不都合な点でも?」
「ちょっと待て、ちょっと待て、そりゃあ、あんまりにも滅茶苦茶ってもんだろ」
「無茶苦茶ですか?……私は、人から散々笑われる様な、面白おかしな人生を送ってる真琴みたいな人に、無茶苦茶だとか言われる筋合いは微塵もありませんね。実に不愉快です。アナタ、少しは自分の人生を振り返ってみて、如何に自分の人生が無茶苦茶かを見直して見ては、如何ですか?ポンコツ」
「いや、まぁ、そりゃあ、そう言われちまえば、そうだけどよぉ。それにしたってオマエ、限度ってもんがあんだろ……」
「倉津?さっきから、2人でなんの話をしているんだ?話が見えないんだが?」
そこ……聞くんだ?
中々チャレンジャーだなオマエ。
いや、寧ろ、この発言は勇者・山中クラスだな。
「いや、あのよぉ。コイツが、俺に言った仰々しい話ってのはよぉ……」
「いえ、私が真琴に言った話は、そんな大した話では無いんですよ」
「いやいやいやいや、十分、仰々しいだろ、あの話」
「いいえ。私が、交換条件に出したのは『私を、このバンドに入れて下さい』って言っただけなんですが。これの何所が、仰々しい話なんですか?」
「へっ?」
「はぁ?」
……だよな。
賞金を受け取らない交換条件が、これだと、普通はこう言う反応になるよな。
この場合における、カジとグチの反応は、実に正当な反応だ。
大体にしてよぉ、この馬鹿は、軽々しく、そんな事を言いやがったけど。
これ程のギターの腕や、高い知名度を持ったステラが、金を受け取らないどころか。
ワザワザ俺達みたいな無名バンドに、自分を入れてくれなんて言ってきたら、そりゃあ、誰だって、こう言う反応になって然りだからな。
けど……コイツは、そう言う奇妙奇天烈な事を、平然とした顔で言う奴なんだよな。
ホント、なに考えとんじゃ?
「言っている意味がわかりませんか?賞金の代わりに『私をバンドに入れなさい』って言ってるだけなんですよ。これ自体は、そんなに難しい話ではないと思いますが」
「いやいや、ちょっと待ってな、ステラちゃん」
「はい、幾らでもお待ちしますが。話は端的にお願いしますね」
「いっ、いや、あっ、あのさぁ。ステラちゃんって、あれだけの腕を持ってるって事は、アメリカでは、相当有名なギタリストなんだしょ」
「さぁ。それについては、なんとも言えませんね。私は、基本的な部分で、他人の評価を気にしてませんので、深くは解りかねますね」
「じゃあよぉ。クラッさん、その辺はどうなんだよ?その件について、ちょっとぐらいなら知ってんだろ?」
「まぁなぁ……つぅか、このステラって女は、インディーズとは言え、紛れも無く有名人なのは確かだな。崇秀の作ったバンドの後釜でギターを弾いてる時点で、その腕が並じゃないのも立証済みだからな」
「それなんですよ、真琴。……私は、それが、どうしても気に入らないんですよ」
ヤッパリだ……
これ程、無茶な事をするには、なにか訳在りだとは思っていたが、そう言う事情か。
この馬鹿、崇秀の後釜で弾いてるのが気に喰わなくて、ツアーを名目にして、奴から逃亡を図ってきやがった訳だな。
それでコチラのバンドに入り込んで、脱退の名目を作る。
コイツがこの無茶な条件を出してきた理由は、そう言うカラクリあったのか。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
なんかまた、ややこしい事に成ってるんですが。
今回は、この後書きで、ちょっと、こう成っている事情の裏話をしたいと思います。
ステラさんと龍斗君が『何故、賞金の受け取りを辞退したのか?』についてですね。
では、まずは龍斗君。
本来彼は、お金にうるさい子なので、これを拒否する理由は、何処にもないのですが。
逆に言えば、以前、金銭的に美味しい臭いのする素直ちゃんに新品のシンセを無料で渡すと言う暴挙をする程、儲け話には敏感なんですね。
そして今回の件も、その成功例の条件の1つである『倉津君が関わってる案件』
それ故に、此処で現金を受け取るよりも『後の関係を築いた方が美味しい』と考え賞金を辞退したんですね。
早い話『腹黒なんです(笑)』
……っで、ステラさん。
基本的な部分で言えば、本編でも書きました様に『崇秀の後釜をさせられてるのが気に入らない』からと言う理由がメインなのですが。
その他にも。
①『矢張り、自らの手で倉津君をサポートしてあげたい』
②『倉津君の友人であるグチ君が、金銭的に困っている家庭環境にあるのを知ってしまって見過ごせない』
……っと言う理由があったりします。
まぁ彼女自身、未成年ですし、捨て子と言う業を背負ってるが故に。
金銭的な余裕がある訳じゃない処か、その辺りは、見えない所で非常に苦労している部分ではあるのですが。
それを微塵にも表に出さず『自分を受け入れてくれた倉津君の為』に、彼の友人であるグチ君すらも救おうとしている訳ですね。
そぉ、この子は、人一倍口は悪いですが、滅茶苦茶『慈愛に満ちてる子』なんですよ。
……っとまぁ、こんな理由から。
ステラさんと、龍斗君は、賞金を辞退していた訳ですね。
(倉津君視点で物語が進んでいるので、どうにもこの辺が見えにくいので、今回は敢えて説明させて頂きました(笑))
因みにですがね。
男女問わず他のキャラクター達も、こんな風に個人を表す特徴を必ず与えています。
従順なだけの没個性なキャラクターなんて書きたくもないですしね(笑)
(*'ω'*)b
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