最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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301 不良さん、一番近くに最高の理解者が居る事を思い知らされる

公開日時: 2021年12月4日(土) 00:21
更新日時: 2022年12月19日(月) 13:24
文字数:3,029

●前回のおさらい●


 今回の一件を奈緒さんには、自身の覚悟を見せる為に黙っている事と、自身で解決する事を宣言する倉津君。


それを聞いた奈緒さんは、納得出来ない也にも、納得をしてくれた。

だが、彼女の口から不意に出た『迎えに来てくれるんでしょ』っと言う言葉に疑問を持つ倉津君。


どうやら彼女は、何かに気付いているらしい。

奈緒さんは慌てて、口を手で押さえた。


この動作は、明らかにそれを証明した事になる。


……やっぱりな。

さっきからの言動からして、なにかしろ気付いてるんじゃないかとは薄々感じていたが……まさか、本当に何か気付いているとはな。


まぁ、俺の小学生レベルの嘘じゃ、なにかを気付かれても、おかしくはないんだがな。


しかし、まいったなぁ。

本当に奈緒さんには、どうやっても隠し事は出来無いみたいだな。



「知らないフリして、ごめんね。でもでも、悪気は一切無いんだよ、悪気は。……あぁ、それにあれだよ。今の話にしても、憶測だけで話をしてただけで、確信を持ってた訳じゃなかったんだよ」

「あの……因みにですけど。どこで気付いたんッスか?」

「えぇっと……うんとね……クラが、仲居間さんと喧嘩してる最中に言った『俺が勝ったら好きにさせて貰うぞ』って所かな」

「へっ?そんな何気ない一言だけで、解っちゃったんッスか?」

「まぁ、正直に言っちゃえば、そう言う事かな」


どんなに何気無い一言でも、奈緒さんは聞き逃さないんだな。


けど……普通、そんな何気ない言葉1つで、そこまでキッチリと推測出来るものなのか?



「いやいや、奈緒さん。たった一言で、そこまで理解出来るもんなんッスか?」

「憶測段階では可能だよ」

「どういう経緯で、そんな推理が出来たんッスか?」

「う~~~~ん。どういう経緯って聞かれてもなぁ……困る」

「なんでッスか?」

「だって……クラに『気持ち悪い』とか思われたくないもん」

「いやいや、罷り間違っても、絶対に、そんな事は思いませんよ」

「そぉかなぁ?私がクラの立場だったら『コイツには隠し事が出来無いなぁ』っとか思っちゃうけどなぁ。……なんか、そう言うのってさぁ、男としたら鬱陶しくない?」


あぁそうか。

奈緒さんは、そう言う風に捉えちゃうんだ。


けど俺だったら、そうは捉えないけどな。

どちらかと言えば『凄い理解してくれてんだな』とか思っちまうけどな。


まぁそうは言っても……奈緒さんが言った様に『隠し事出来無い』と思ってるのは事実だけどな。



「あぁっと、俺は、全然、そうは思いませんよ。奈緒さんが、奈緒さんである以上、嫌いになる所なんて、なに1つたりとも無いッスからね。鬱陶しいとか、気持ち悪いとか思う事自体が有り得ないッスよ」

「そぉ……なんだ」

「そうッスよ。心配無用ッス」

「じゃあさぁ。……話の内容を聞いてもドン引きしたりしないって約束してくれる?」

「勿論ッスよ。つぅか、元々聞いたの俺ですしね」

「そっか。……そっか、そっか。そうだよね」


『コクコク』と頷く所を見たら、どうやら最低限度の納得はしてくれたみたいだな。


これで漸く、謎が解明されるな。


それにしても、あれだな。

奈緒さんが「コクコク」する姿は、非常に可愛いな。



「それで、なんでわかったんッスか?」

「うん?簡単な事だよ。さっきのクラのセリフに合わせて、君の心理状況を探るだけだから」

「どういう事ッスか?」

「うん?だから、君がどう考えて、あんなセリフを口にしたのかを考えれば、直ぐに答えは導き出せるって事」

「??」


『セリフ』と『心理』?


なんのこっちゃ?


いやまぁ……言ってる事は、なんとなく解るんッスけどね。

そんなもんだけで、そんなそんな真実までもが明らかになるもんなんッスか?



「あぁ……その顔してるって事は、なにがなんだかサッパリって感じだね」

「そうッスね」


自分の心理なんて解らん。


確か、あの時に、あの言葉を吐いたのも、ただの感情に任せて出た言葉過ぎず、実際は、なんも考えてなかったってのが事実だからな。

もし敢えて、あの言葉を出したのを理由を付けるとしたら『確認』程度の事だった様にしか思えないしな。


そんな適当に言った言葉に、なんの真理が隠されてるんだろうか?



「良かったら、説明しよっか?」

「願わくば」

「そぉ。……でも、気持ち悪いって思うの無しだよ」

「勿論ッスよ。……つぅか、思わないって、さっき言ったでしょうに」

「あぁそっか、そうだったね」


此処まで再確認するって事は、相当イヤなんだな。



「んじゃあ、気を取り直して……まず、この心理を探るには、1つ重要なファクターが有るのよ」

「なんッスか、そりゃ?」

「あのセリフの意味」

「意味?……意味なんて無いッスよ。俺は、感情に任せて言っただけッスから」

「そうじゃなくて、そう言わせた君の深層心理の話」

「うん?なんッスか?その『深層心理』って?」

「自分の持ってる本能的な部分だと解釈すれば、簡単かな」

「??」


『本能』?



「えぇっとねぇ。人間って言うのはね。感情的に成ると、知らず知らずの内に本音を話しちゃう傾向があるのよ。そこでは、なにも隠し事が出来無い様になってるのね」

「つぅ事は、あのセリフが、俺から出た本音だったって事ッスか?」

「そぉだよ」

「そうなんッスか?……っで、奈緒さんは、その俺の深層心理とか言う奴を、一体、どう言う風に捉えたんッスか?」

「うん?それはね……『クラ、バンド辞めるんだ』って捉えたの」

「へっ?なんで、そんな風に、簡単に解答に行き着くんッスか?」

「うん?誰がやっても、簡単に行き着くよ。……だって考えてもみなよ。クラと仲居間さんが喧嘩してて、クラが必死になって言ったセリフが、あれでしょ。まず、そこを疑って掛かれば『辞める』か『辞めさせられる』かの二択になる訳。……どう此処までわかる?」

「まぁなんとか……けど、俺が『辞める』って言ったとは考えなかったんッスか?」

「う~~ん。全く無かったとは言えないけど。その線は、かなり薄いと思ったよ」

「なんでッスか?」

「だって、自分から辞めるを宣告してるなら、クラが、あそこまで怒って、熱くなる必要性なんてなくない?……怒るとすれば、それは『解雇通告された』って認識する方が順当だよ」


見解が深いな。

たった、あれだけのセリフを解き明かすだけで、これ程の解答が出て来るんだな。


やっぱスゲェんだな、奈緒さんって……


成功する人って、みんな、こう言う思考の人なんだろうな。



「はぁ~~~、なるほど……俺なんかとは、見てる世界が違うッスね」

「そうじゃないよ、クラ。私はね、君だからわかるだけなの。他の人なら、此処まで明確には解らないもん。もし、わかったとしても、精々何かを感じるのが精一杯。……私の認識力なんて、所詮そんなもんだよ」

「えっ?奈緒さんでも、わかんない奴とかいるんッスか?」

「だ~か~ら~、そうじゃなくて、好きな人だから理解出来るって言ってるの……現に私、仲居間さんの考えなんて見当も付かないもん」


俺と、崇秀じゃ比べるまでも無く、俺の方が心理を読み易い様に思うが……これって、そう言う事じゃないのか?


それでもまぁ……人に理解されてるのは、少しぐらい気が楽な様にも思えるな。

その上、俺を一番理解してくれてるのが自身の彼女である奈緒さんなんだから、これはもぉ文句の付け様がない。


まぁそれ以前に……俺は、崇秀の様に、なんでもかんでも自分で解決する様な真似は出来無い。


アイツみたいな『孤高の存在』にはなれないしな。



まっ、その辺は、部相応っと言った所か。

(↑奈緒さんの事じゃないぞ。この人は、俺にとっては部不相応な人なんだからな)



「なんか、それ、スゲェ嬉しいッスね」

「そぉ?それは良かった♪」


この様子からして、彼女も、それで満足してくれている様だ。



「それでさぁクラ。……結局、君は、この後どうするつもりなの?話したくないなら、敢えては聞かないけど」


う~~~ん、それは……


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


奈緒さん……理解力がエグイですね。

此処まで愛されていたのでは、倉津君は、本当に、なにも奈緒さんには隠し事が出来ない様です(笑)


でも私は、2人の関係は、これで良いと思います。


確かに一般男性からすれば、少々鬱陶しく感じる部分はあるかもしれませんが。

実際、そこを言葉だけで見極める事は、非常に困難な事ですし、そこまで好きになって貰える事に感謝すべきだと思いますからね。


まぁ、好きでもない彼女と、惰性で付き合ってる場合は知りませんが(笑)

(相手が自身を理解してくれる事を喜べないと言う事は、そう言う事なにかも知れませんしね)


さてさて、そんな理解力の高い彼女を持った倉津君なのですが。

この後は、どうやら今後、倉津君は、どう言う風に活動していくのか?っと言うお話に成りそうですが。


どの様に考えているんでしょうね?


ですが、それは次回の講釈。

また良かったら遊びに来てくださいねぇ~~~(*'ω'*)ノ

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