第一章・第三十八話【Decision】が始まるよぉ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
038【Decision】
『重苦しい雰囲気。耐えられない程の重圧。なにもかもが、私が招いた、最悪の結果だ』
先程のライブハウスでの、不用意な一言が引き金になってしまい。
私の少し先を歩く崇秀と、そんな彼の後ろを歩く私との間に、なんとも言えない様な重苦しい雰囲気を作り出している。
故に『B・B・C』を出てからと言うもの、たった1言の言葉を交わす事も無く。
崇秀が先程予約を取ったホテルに向って、ただ只管に真っ直ぐ向かって行く。
そんな状態の中、私は先程の口にしてしまった『自分の本音』に対して、今更ながら、かなりの後悔の念を持って、崇秀の後ろを歩いている。
『あんな非常識な事は、間違っても崇秀に言うべきじゃなかった』
私のツマラナイ私欲を前面に押し出してしまった為に、彼が、私の為なんかに献身的にしていてくれた研究を無慈悲に踏み躙ってしまった。
勿論、崇秀が、私のこの酷い対応にも懲りず。
今後も、このまま『性別を転換』させる研究が続けられれば、最低限度は『性同一性障害』で悩む人達の為にはなるだろう。
……だけど、私は、そう言う事を言いたい訳じゃない。
彼は……崇秀は、私なんかを『親友』だと思ってくれたからこそ。
自分の貴重な時間を裂いてまで、この研究に入る事を決断して、それに没頭してくれている。
そんな彼の研究を、私に踏み躙る権利なんて無かった。
だが私は、自分の為だけに、それを平然とやってのけてしまった。
私欲に塗れた、この行為は、どこの誰が聞いても『人として許される行為』じゃない。
こんな私の事を、自意識過剰と思われても構わない。
それは仕方がない事だ。
でも『これ等の私に対する崇秀の行動は、変え様の無い事実だ』
私は、本当に、なんて事をしてしまったのだろうか?
矢張り……今更ながら、後悔の念が尽きない。
***
……そんな風に無言で、崇秀の後ろから付いて行ってる私を見兼ねたのか。
崇秀が、なんの前触れもなく、突然、振り返り。
後ろ向きにホテルに向かいながら、この道中の悪い空気を払拭するべく、道々話しかけて来てくれた。
少し安心した気持ちと、また同時に、自分の犯したミスを、こうやって気遣われている事に居た堪れなくなる。
……私は、どこまで自分勝手な女なんだろうか?
「オイ、眞子。さっきから、なに凹んでるんだ、オマエは?」
「あぁ、うん。……別に、別になんでもないよ」
頭の中で考えていた事はあったんだけど。
結局は、なにも言葉が纏まらず、また、いつもの様な、困った時に出る卑怯な生返事しか出来なかった。
いや……結論から言えば、言い出せなかっただけなのかも知れない。
だって……此処に来てまで、まだ崇秀に気遣って貰ってる自分が情けなくて仕方ない。
こんな状態じゃあ、なにも大した声にはならない。
……どこまでも無様だ。
「オイオイ、オマエさぁ。なんか勘違いしてるみたいだからハッキリ言って置くがな。これは、元々俺が仕出かしたミスなんだ。さっきの話自体、オマエが凹む様な話じゃねぇんだよ。だから、気にすんな」
「そんな事……無いよ。今有るこれがチャンスだと思ってる時点で、崇秀には、なにも罪は無いよ。寧ろ、こうなった事には感謝してるよ」
「だったらよぉ。余計に、なんで凹む必要があるんだ?今後の、向井さんとの関係が気になってるのか?」
「あぁ、うん。……そぉ、そこだね」
また頼ってる。
あれ程『もぉ借りを作らない』と偉そうな事を言ったのにも拘わらず、こうやって甘えるケースが出来たら、直ぐに甘えようとする。
私は成長した気になっていただけで、なにも成長なんてしていなかったんだ。
まさに『口先だけの女』だ。
「そっか。まぁ、気になる所では有るんだろうが。これだけは言って置くぞ。俺は、最初から、こうなる事はある程度想定していた。いや……全て解って居たんだよ。だからオマエは、なにも凹む必要はないんだぞ」
……だと思った。
でもね。
例え、そうであったとしても、此処で崇秀を責める気は無いよ。
寧ろ、そんな責められた立場じゃないもん。
この状況を嬉々として受け入れてしまった時点で……これは私だけの責任。
なにを言って貰っても、そこだけは消えない。
いや、消しちゃいけない事なんだよ。
此処での責任転嫁だけは、絶対にしちゃイケナイ。
「……だろうね。それぐらいは、私でもわかってたよ」
「ハァ~~~、なら、もっと自分の意思を尊重してやれ。それに、お互いが、自分の取らなきゃ成らない責任を自覚してるなら、寧ろ、俯いてる暇なんてねぇ。自分が幸せに成るって事は、他人を傷付ける事だってある。……だから、相手を出来るだけ傷付けない様にするには、どうしたら良いかを考えるのが、今は先決なんじゃないのか?」
「そうだよね。……でもね。言い訳する訳じゃないんだけど。……私、奈緒さん程、私の事を想ってくれた人間なんて、崇秀以外には誰も知らない。両親ですら、私には無関心だったからね。だから正直、どうして良いのか全く解らないんだよ。……例えば、2人以外の他の人なら、まだ、なんとも思わないから、対処のしようもあるんだけど。……奈緒さんと、崇秀だけは特別な存在だから……そう簡単にはいかないよ」
こんな事を言っても、結局の所は、言い訳を口にしてるだけでしかない。
なにを言っても……所詮は、綺麗事を重ねた言い訳。
今も尚、こうやって奈緒さん裏切ろうとしている気持ちには、なにも変わっていない。
ナンダカンダ言いながら、最終的には、崇秀から齎される『なにかの助言』を待ってるだけなのかも知れないね。
「まぁ、気持ちは解るんだがな。……悪いが、それについては、眞子自身が、自分で考えるしかないな。これバッカリは、下手に助言してやる訳にはいかないからな。2人の関係なだけに、俺自身が、そこにだけは、絶対に干渉しちゃイケナイからな」
「うん。……解ってるよ。大丈夫……」
私の最終決断は決まっている。
本当は此処で、少しだけ背中を押して欲しかったんだけど、それは甘えてるだけに過ぎない。
最終的には、全てを奈緒さんに曝け出して、真正面から『私の醜い本音』を彼女に言うしかない。
私には、崇秀の様に器用には振舞えない。
だから自分の『醜い本音』を誠心誠意説明した上で、謝罪するしか出来無い。
でもね、奈緒さんに解って貰えないのも、十分承知してるんだよ。
けど……どうしても、あのミットモナクも惰性で生きているだけの『だらしない生活』に戻るのだけは嫌。
きっと元に戻って、あの日の記憶だったら……また確実に『自堕落』に戻っちゃう。
それだけは……嫌だ。
私は、もぉ真琴じゃないんだから……
……そんな自分勝手な思考の中、崇秀と2人で目指していた高級なホテルに到着した。
だから、まずは此処で、在りのままの自分の本音を、全部、崇秀に伝えよう。
取り敢えず、奈緒さんの話は、それから、じっくり考えしかないからね。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
こんな風に眞子が凹んだ気持ちのまま始まった第一章・第三十八話【Decision】なのですが。
自身で解決しなきゃいけない事は、何処まで行っても他人が干渉する事は出来ない。
それが例え『どうすれば良いのか』が解っていたとしても、崇秀は眞子に助言する事はご法度と言うものですからね。
さてさて、そんな中。
話し合いをする場であるホテルに到着した2人なのですが、この後どう言った展開になるのか?
次回はその辺を書いていきたいと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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