今日は卒業式。
この日スカイラーは卒業式に来てはいない。
椿はバンド生活を楽しんでいる。
それだけではない、両立出来る範囲で部活や勉強も進めた。
最初は迷ってたし、不安で、バンドも楽しめなかった。でも二神牡丹に言われて気がついた。
「おれはおれのままで楽しむ」
とりあえず、卒業するまでは生活を楽しむ。それを忘れていた。二神牡丹のおかげだ。
あいつに言われるなんて思ってもなかった。あいつこそ不器用で、友達も少ないし、コミュニケーション能力も低いし、人見知りだし、うるさいし、お母さんみたいにガミガミ言ってくるし、どこか似てるし、正直嫌い。
だけど、人一倍敏感なんだ「椿」に。
なぜあんな二神牡丹らしくない事を言ったのか分からない。嬉しいと考える。
〈椿〉おれはおれの人生を楽しむよ
〈要〉なあなあ! 私実はこんなの作ったんよ。この四葉のクローバーのキーホルダー、お守りにしようや
〈道久〉いいですね!
〈椿〉あと1つほしい
〈要〉え?
〈椿〉おれらはいつも5人だ。道久、要、スカイラー、一星。かけがえの無い仲間だ、これからもずっと
〈要〉まったく椿らしいな、作っておくよ
〈椿〉これでもうやり残したことはないな、まあ修学旅行は心残りだけど
〈要〉あんたが3日前に風邪ひくからやろ
〈道久〉こんなたわいのない会話、いつまでも楽しみたいですね
〈椿〉できるさ! おれらなら! 今日は卒業式だ、胸張って終わろうぜ
〈要〉あかん! なんか泣けてきた
〈一星〉つばき! もうくよくよするなよ、また修学旅行いけるって自分で
〈椿〉それじゃあ意味ねぇんだよ!
そこに二神牡丹がやってくる。
〈椿〉二神
〈二神〉椿、またどこかで会おう
〈椿〉ありがとうな二神牡丹
〈二神〉フンッ……
そういうと二神は背を向け、未来へ向かう。
「椿、ぼくは君をいつか越えてみせる」
そう心で想う。
〈一星〉おっ! この四葉のクローバーいいな!
〈要〉私らのお守り! スカイラーには後日送る
〈椿〉よし! 陣組むぞ!
4人は陣を組む。
〈椿〉3年間ありがとうな。これからもよろしく! おれらの未来へ! 行こう
そう掛け声を掛けて、4人はスカイラーの分まで大きな声で叫んだ。まるで応援団みたいだ。
自分で自分を応援してるようだ。
━━━━━━━ そして、それぞれの新しい人生へ
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