持久走大会が終わり、生徒たちは家へと帰宅していた。スカイラーは執事が車にへ御出迎えが来て帰宅、一星は剣道部の用事で学校に残り、道久は見たいアニメがあると自転車を走らせて帰宅。
要と椿は学校近くのコンビニによって、帰宅するはずだった。
要と椿が買い物を済ませ、コンビニから出ると、生徒会長の柄本と副会長の二神牡丹が目の前にいた。
どうやら待ち伏せをしていたようだ。
椿はコンビニを出ると柄本会長とバチバチと目があった。
〈柄本会長〉椿、ちょっと顔貸せよ
〈椿〉ああ……
〈要〉つばき……
〈椿〉大丈夫だ、ちょっと待っててくれ
そう言うと、柄本会長と椿は少し歩いて、近くの電柱の隅で止まった。
電柱の影に持たれかかり、2人は話していた。
〈柄本会長〉お前に相談がある
〈椿〉は?
〈柄本会長〉何だ、その顔は?
椿は相談事を持ちかけた柄本会長にビックリしていた。
〈椿〉いや、あんたがまさか俺に相談とは思いもしなかったからな
〈柄本会長〉なんだ、そんなことか……
〈椿〉それで? どんな相談なんだよ?
〈柄本会長〉明日の校長と教頭がやろうとしてるやつだ
〈椿〉それがどうした?
〈柄本会長〉色々あって、頼みたいことがある
〈椿〉頼みたいことね……
〈柄本会長〉正直、あの二人のあれはどうでもいい。だけど、問題がある
〈椿〉問題?
〈柄本会長〉そうだ、その問題は、もしどっちかが勝って実際に販売するとなった時に、味が1個だと、お客さんからしたら選択肢も無く、つまらないお店になっちまう。芸がない。そうなれば、こんな致命的なミスで厄災にも学校が見舞われる可能性も出てくるかもしれない
〈椿〉まあ、たしかに
〈椿〉んで? 俺にどうしろと?
〈柄本会長〉ああ、そこでだ……
〈柄本会長〉ん~俺と手を組め
柄本会長は、普段絶対言わないことを、首を傾げながら右手で、髪を掻き平気な顔ぶりで話してきた。
だが、その表情からは真剣度が伝わるほどのオーラがでていた。この「柄本篤実」という男は、普段ダラダラしていて鈍感でめんどくさがり屋で個性的な人物なのだが、たまに真面目になり活動的になる。動物で例えるならオオカミだろう。一匹狼という言葉があるが、この柄本会長はそれに当てはまる昔から人づきあいは苦手な方で、人とつるむことを好まない。
だが、高校に入り少しないか変わることがあったのかもしれない。この男はどんな局面に立とうとも人に助けることはないです。それは彼が人を信用してないからである。昔になにがあったのかはわからないが、若くして人を信用しなさ過ぎる高校生だ。
なのに、あの学校の生徒会長を2年2ヶ月にわたり生徒会長という煌びやかな座についた。普通2年と2ヶ月という期間で生徒会長をする者は少ないだろう。
なぜか? 特別なことはないです。谷武高校の理事長「柄本旭」の息子だからといって特別視をしているわけではない。むしろ、旭理事長は息子の篤実に少々厳しいところがある。篤実は暴力的なところもあるし、めんどいところもあるし、無神経なところがある。だが、ある出来事と篤実の普段の成績、普段の冷静沈着な行動、そしてここで旭理事長の息子のいう安心ブランドがあるからこそ、2年2ヶ月生徒会長に選ばれた。フクロウのような1面もあるということ。
そんな言葉を聴いた椿は、びっくりして大声で叫んだ。その椿の声は、先程いたコンビニ「ハッサンマート」まで、微かに聴こえていた。そこには要と二神牡丹が駐車場のブロックにすわり待っていた。二神はコンビニにもたれかかって足を交差させて、腕を組みゆったりとした立方をして待っている。椿と柄本会長が話してる間、こちらでも2人は少し会話をしていた。
〈要〉ん? なにか聴こえた?
〈二神〉は? なにがだよ…… ん、たしかに微かになんか声が聴こえたな
〈要〉まさか、あの二人喧嘩なんてしてないよね?
〈二神〉え?
〈要〉あかん! けが人がでるで!?
〈二神〉いや、誰がだよ?
〈要〉椿や! あいつくっそ、めちゃ弱いねん!
〈二神〉え、椿かよ!! も少しリーダー信用しろよ!
と、二神は要にツッコんだ。
〈二神〉まあ、それは大丈夫だ、べつに喧嘩しに来たわけじゃない。それは要も分かってるだろ?
〈要〉それもそうやな~ ってことは、あの話ってことか?
〈二神〉ああ、そうだ
〈要〉そうか、珍しいな
〈二神〉あの人は、器用で不器用なんだよ……
〈要〉……お察しする
〈二神〉ああ、してくれ
などと話つつ、椿と柄本会長の帰りを待っていた。
一方、椿と柄本会長は、再び会話を続けていた。
〈椿〉まさかの! あんたからそんな言葉がでるとは……
〈柄本会長〉そういうことだから、とりあえず手伝え
〈椿〉とりあえずってなんだよ! やだね!
〈柄本会長〉そういうと思った! だがなこれは強制だ、と言いたいところだが、相手は校長と教頭だ。お前と俺の2人なら、申し分はない
〈椿〉上から目線やな、なんで俺なんだよ二神や先輩たちがいるだろう
〈柄本会長〉それはあいつらよりお前の力を借りることにした、お前ならどんなに迷惑掛けようが、どうでもいいしな!
〈椿〉どストレートやな!もうちょい、こう…… なんというか、オ、オブラートに包めよ!
〈柄本会長〉は? お前何言ってんの? つーか、どうするんだ?
〈椿〉はあ…… しょうがない、これだけ手伝ってやるよあんたには仮があるし、このたこ焼きの話は俺もなんか思うところはあったんだ
〈柄本会長〉よし、じゃあいまから言うことを当日やってくれ。まず、校長と教頭の話の間に少ししてから俺が割はいる。おれが提案を2人に持ちかける。その時、2人は当然考えるだろう。そう時に椿、お前の出番だ。おれの提案に乗っかれ、すると校長と教頭の2人はおれの提案をたこ焼き大会の2つの種類とおれの提案を増やすだろう。タイミング測れよ
〈椿〉わかってるよ! でも俺ら2人が言ったところで上手くいくのか?
すると、椿の問いに柄本会長は笑みを浮かべた。
〈柄本会長〉それは大丈夫だ、全て上手くいく
〈椿〉え……
〈柄本会長〉あと、この話は今のところ俺とお前と二神しかしらない。この話は人に話すなよ、計画が潰れるからな
椿はそんな自信満々の柄本会長をみて、なぜか怖くなった。
〈椿〉わ、わかった
〈柄本会長〉まあ、そういう事だから当日、明日か? よろしくな
と、先程のコンビニ「ハッサンマート」に戻って行った。
〈椿〉まったく、変なやつだな、まあいいか
そういうと、椿も要のいる「ハッサンマート」に戻った。
椿と柄本会長が戻ると、二神と要はなぜか楽しそうに話していた。
二神は、柄本会長を見ると話を終え、柄本会長の元へ歩いた。
〈柄本会長〉要! 椿借りて悪かったな! 返すぜ!
柄本会長と二神は2人を後にし背を向け去って行った。
〈要〉椿、なんか言われたんか?
〈椿〉いや、大丈夫だ、帰ろう
そういうと、椿と要も家に帰ることにした。
明日のたこ焼き大会は柄本会長の計画どうりに進むのだろうか。
ー 68話 2人の会話 ー 続く
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