椿と要はしばらくお茶を飲みながら話していた。と、そこに例の男がまた現れる。
〈睦〉とう!!!
と、いきなり天井から落ちてくる。
椿たちの前にシュタッとかっこつけて降りてくる。
〈要〉じゃま
〈睦〉え?
〈椿〉すげー!今どうやったんですか!?
〈睦〉おお!それはな……
〈要〉うるさいな!ちょっとトイレいってくる
〈椿〉おう!
要はトイレに向かった。
すると、睦の顔が変わった。
〈睦〉なあ、椿くん、君は要のことをどう思ってる?
〈椿〉え?要ですか?仲間です。おれは要が居なかったら、ここまで高校を楽しめてないです。草ww破滅部にも要の存在はでかいです。いつも部室も綺麗にしてくれてて、気づいたらお茶だしてくれたり、気くばりがあって、優しい子です。要といて、楽しいです。好きですよ
〈睦〉そうか。君になら話してもいいかもな。実はな、要の母さんは他界してるんだ
〈椿〉そうなんですか?あいつそんなこと一言もいってなかったです
〈睦〉あいつは強がりだからな。そこはおれより母さんに似たな。俺が店を持ちたいと思ったとは要と母さんのためでもある。少しでも安心させてやりたかった。母さんは病気だった。強かって、なにも言わなかったけど、ずーと、病院で入院してた。おれはな、母さんの好きな植物で喜ばせようと思ってな。その中でもウンベラータっていう観葉植物が好きでな。なんで?って聞いたら、ウンベラータの花言葉で夫婦愛、永久の愛だそうだ。それで好きって言ってたな。
ある日おれはウンベラータをもって母さんを喜ばせようと病室に向かったんだ。そしたらなにやら看護師とか医者たちが慌てて母さんの病室に入っていくのを見えて、おれも向かったんだ。その直後だった。おれがちょうど病院についたあたりから病気が悪化したそうだ。俺の顔も要の顔も見れず……
〈椿〉お父さん……
睦は少し涙を出しながら話した。
〈睦〉あいつは強い、泣かずにおれを慰めてくれたんだ。だからおれはこの母さんが生まれた千葉県で店をやりたい。そんなこを思った。店の名前みたか?
〈椿〉はい、ウンベラータですよね?扉に書いてありました
〈睦〉ああ、いつ母さんが戻ってきてもいいようにウンベラータって名付けたんだ。いまも愛してる
要もそれで納得してくれた。要には、助けられたよ。落ちこんでなにも出来なくなったおれを元気つけてくれた。本当は逆なのにな…… ごめんな…… 要、迷惑ばかりかけちまって…… 情けない
扉の前で要は少しお父さんの言葉を聞いていた。座り込み、扉に背を向けて。
すると、椿が応えた。
〈椿〉要は大丈夫ですよ!お父さん、要はお父さんのこと迷惑なんて思ってないです。それはいつも本人を見てるおれなら言い切れます。要はいつも元気に学校にきてる。それが証拠じゃないですか?
〈睦〉椿くん…… 要とこれからも遊んでやってくれ
〈椿〉はい!
それを聴いていた、要はなぜか泣いていた。
〈要〉(バカ…… 私はおとんすきやで…… 椿もすきだよ)
要は悲しいはずの涙が温かく感じた。
ー 56 umbellata編4 睦の気持ち ー 続く
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