今日は良く晴れて太陽も陽気に椿たち人類を照らしていた。
そんな中、椿は要の家に遊びに来ていた。お菓子を事前に買って。
〈椿〉へー、キレイな家だな?
〈要〉そう?
〈椿〉お店やってるなんて今まで知らなかった
〈要〉まあ、聞かれへんかったし、自分から言うような事でもないしか
と、どこか要の顔には悲しげな表情をしていた。
〈要〉ここが私の部屋やで
二人は要の部屋に入る。
椿は要の部屋を見渡した。すると、意外と綺麗というか、家庭的な部屋というかさっぱりした部屋だった。気になるとすれば、1つの赤い薔薇の造花。そして、見慣れないバッドがあった。野球でもない、ソフトボールでもない。表面は平らで、裏に突起物がある。あまりみない形だ。
〈椿〉なあ、要さん、あのバッドってなに?
〈要〉ん?あ、あれか。あれはクリケットバッドやで
〈椿〉クリケット?おまえクリケットなんてやるの?
〈要〉そやで、中学まではやってた。高校からはすっぱり辞めたけどな
〈椿〉いいのか?辞めて
〈要〉しょうがないやん、店のことも、お父さんのことも。それに高校にクリケットないやん
〈椿〉そんなこと聞いてんじゃねえよ。おれが言いたいのは辞める必要はないだろ?ってことだ。いいか高校にないならどこかクリケットをやってる団体やスクールを探してやればいい。要が本当にやりたいならな。あのクリケットバッドは所々よごれてるよな?本当はクリケットが今でも好きなんじゃないのか?諦めるのか?大好きなクリケットを!
〈要〉そ、そんなこといっても……
〈椿〉要、クリケット好きなんだろ?じゃなきゃ、あそこまで、汚れて綺麗にして、繰り返し使うことはないよな?それはクリケットを愛してる。好きだからだろ?本当にやりたいなら、お父さんに相談すべきじゃないか?
〈要〉か、考える……
〈椿〉そか、まあ色々あると思うけどさ、もっと楽しめよ
〈要〉お、おう
椿は要にクリケットをやったほうがいいのでは?と思うようになった。みればわかるどれだけ要がクリケットが好きなのか、どれだけ練習したのか。それは部屋の隅においてあるクリケットバッドをみると物語っている。
ー 54 umbellata編2 クリケット ー 続く
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