前回までは、第一回戦は坂梨が勝ち、二回戦では、道久が負け、相手チームの中里が勝った。次の三回戦では、一星が圧倒的な旨さで勝ち、順調だった。そして、あと一勝。最終決戦で、徳井部長vs出川部長の決戦。なんと、これには、徳井部長がなぜか、ここでおむすびを作り皆を圧巻させる。この決戦を制したのは、料理研究部。そして、負けた出川部長は、「あの時の裏切り」について、語りはじめる。
〈椿〉徳井部長が、出川部長を裏切った?どういうことだ?
〈出川〉そうよ!あの時!去年よ!去年の料理大会コンテストの最終決勝戦の時、あいつは、私を裏切った!
〈椿〉なんだって!
〈一星〉そんなことが
〈スカイラー〉もう少し説明して
そう聴くと、出川は話の続きを話した。
〈出川〉去年の話。私はあの徳井とは同じ中学で、二人で料理部でよく料理を作ってたわ。
そして、中学卒業して、この高校に入って、あっちの料理研究部に、徳井と私は入ったわ。
楽しかった。けど、ただ単に料理するだけじゃ!満足出来なかった!だから、元々同じ中学の中里と、徳井、3人で料理大会コンテスト、大きな大会に出たわ。
頑張って練習して、料理の技術とスピードを手に入れた。これなら勝てる!そう思った。そして、勝ち進んで、最終決勝戦。これに勝てば、私はこの日本で一番料理ができる存在になれたわ。けど、決勝戦、徳井の任せた。徳井は料理の腕は私より上だから。だから!だから!任せたのに!最終決勝戦、こいつは!さっきみたいなおむすびを作った!もちろん美味しかった。けど、負けたわ。そうでしょ?相手は何年も勝ってきた強者よ!おむすびで勝てるわけがない!なのに!徳井は!わざと、おむすびを作って、負けた。
私は、最後の希望を無くしたわ。この大会に命かけて、練習してきたのに!こいつは!それを台無しにした!私を裏切ったのよ!許さない!絶対、許さない!
だから!私はあんたを潰すために!調理部を作った!
絶対に許さない!あんたが!憎い!あんたが!あそこで裏切ったりしなければ!今頃私は!私わ、.....
注目、浴びて、プロになることもできたのに。
〈中里〉泉ちゃん....
〈椿〉出川先輩....
出川は、あの時のことを、いままで溜めてきた憎悪とともに徳井に吐きかけた。
よっぽど、恨んでいるようだ。
〈中里〉あのね、泉ちゃん、あれは...
と、中里が、出川部長に近寄ると、出川部長は、中里の手をバシッ!っと、撥ね飛ばした。
〈出川〉うるさい!近寄るな!お前も同罪だ!
〈中里〉そんな...いずみちゃん
中里は、そんな出川先輩を見て、泣きそうになった。
と、そこに、徳井先輩が出川先輩に近寄った。
〈出川〉くるな!あんたなんか!あんたなんか
出川は泣いていた。
〈徳井〉泉、よく聴いて、
〈出川〉なによ!
〈徳井〉なんで、私があの決勝戦でおむすびを作ったのが、本当にわからないの?たしかに、あの時は、先ほどのおむすびより、簡単で塩や調味料を使っただけのおむすびだわ。そして、わざと、負けたわ。分かっていてね。
〈出川〉あんた!なに!?今頃!
と、殴りかかろうとした。その時一星が止めた。
〈一星〉やめてくれ!出川先輩!
〈出川〉うるさい!どけ!
〈一星〉聴いてくれ!事情は大体わかりました。徳井先輩が、あなたに言いたいことが!
〈出川〉だから、なんなの!?
〈一星〉うるさい!聴け!、聴いてください!
〈出川〉っ!
出川は一星の大声にびっくりして、止まった。
〈一星〉いいですか?徳井先輩は、そんな技術やスピード意外で楽しく料理をしたかったんです!
〈出川〉はあ?なにいってんの?
〈一星〉徳井先輩は、あの時の出川先輩は、一人でつっぱしたんじゃないですか?自分のやりたいことにいままで楽しかったあの思い出をぶち壊して、料理に浸った。そして、徳井先輩と中里先輩を無理やり参加させて、その癖、人のことは考えず自分のことに集中したため、出川先輩は周りの目が見えなくなってしまった。あんたは料理に料理されてしまったんだ。
あんた!自分の料理に満足できなくて、一人で誰も頼らず、料理に追い込まれていた。あんたはとっくに技術もスピードもある。それも気づかず、人の話も聞かず自分のための料理を作ろうとしたから、あの時、徳井先輩は、わざと負けたんじゃないですか?気づいてほしくて、あのおむすびを作ったんじゃないか?
おれも料理店の息子だ、自分も料理は作る。それぐらいわかるよ。
〈椿〉一星、おまえ....
〈出川〉................
出川は、一星の言葉に黙ったまま、下を向いたまま、話を聴いていた。
〈徳井〉ありがとう、一星くん。ここからは、私が話すわ
と、徳井が一星の前に出てきた。そして、徳井先輩が出川先輩に想っていることを話した。
徳井先輩は、想いを出川先輩に伝わるように。
ー 23 料理対決・想い ー 続く
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