校長先生と教頭先生は文化祭の出し物について争っていた。
辻村先生は話の内容が気になり、先生スパイチームの代表として、校長室に向かう。
〈辻村先生〉どれどれ
辻村はひそかに校長室を覗きこんだ。
◇◇◇
〈校長先生〉ちがう! こっちのほうが絶対いい!
〈教頭先生〉なわけねえだろ! このニワトリめが!
〈校長先生〉なっ! ニワトリだとぉ! このカッパ頭が!!
※ 二人の髪型については察してやってください
このやり取りに思わず辻村先生は笑いそうで仕方なかったが、ばれるといけないので、手で口を必死に抑え、必死に必死に声を我慢した。
〈校長先生〉はあはあ......そういえば、私たちはここまで喧嘩したことなかったな......
〈教頭先生〉そうですな~、ていうか絶対こっちだって!
〈校長先生〉まだ言うか! 校長がこっちといっているのだぞ!? 言うことを聞け!
〈教頭先生〉ふざけんでください! これだけは......これだけは! 譲れないのです!!
〈校長先生〉いや! 私だって、これは譲れない!
〈辻村先生〉(なにを? 譲れない? 何の話を?)
辻村先生は眉間にシワを寄せ探偵ばりに覗く。
〈校長先生〉おれはこっちがいいんだ!!
〈教頭先生〉こっちのほうがうけますよ!
〈校長先生〉なんだと!?
〈教頭先生〉こっちですよ! こっち!
〈校長先生〉いやだから! こっちのたこ焼き塩マヨネーズのほうがいいだろ!!
〈教頭先生〉なにいってんですか!? ツナにしましょう!!
〈辻村先生〉は? なんの話? え? たこ焼き? くだらな......
辻村先生は思わず心の声が漏れた。だが、声はそこまで大きくないので、二人には気づかれてないようだ。
〈校長先生〉ツナなんか、どうやってやるんですか!? 中にいれるの?
〈教頭先生〉いやいや! ふつうにツナで味付けでしょうが!!!
〈校長先生〉いやいやいや! ツナ×たこ焼きって聞いたことないわ! おいしくないでしょ!!
〈教頭先生〉わかってないなー、校長先生
〈校長先生〉なにが?
〈教頭先生〉いいですか? それは、面白さです。そして、文化祭ですよ?
〈校長先生〉文化祭だから、面白いツナに......と?
〈教頭先生〉そうです
〈校長先生〉ふざけんなーー!! なんでツナなんだよ! 塩マヨネーズだって面白いじゃないか!?
〈教頭先生〉ふざけてないです。はあ~、わかりました、じゃあ間をとってコンニャクはどうですか?
〈校長先生〉コンニャクって! それどうやってつくるの!!
〈教頭先生〉まあ、なんとか上に乗せればいけますよ
〈校長先生〉いや、無理だろ
〈教頭先生〉だいたい、校長先生だってなんで塩マヨネーズなんですか? あ、わかりました、もしかして太りたいとか?
〈校長先生〉いや、全然
〈教頭先生〉え?
〈校長先生〉まあ、ぶっちゃけ好きだからでしょ。ていうか、塩マヨネーズの人気さは凄まじいぞ!?
〈教頭先生〉たしかに!! うまい!
〈校長先生〉だろ!? じゃあ、塩マヨネーズ......っと
校長先生は用紙に塩マヨネーズを書き始めた。
〈教頭先生〉いや、待ってください! ツナだって美味しいですよ!!
〈校長先生〉じゃあ、どうしろと?
〈教頭先生〉では、こうはどうですか? 持久走大会が終わったら、文化祭模擬店(仮)たこ焼き味vs対戦!
というのは!?
〈校長先生〉ほほう、いい案ですな~、教頭の名は伊達ではないということですなぁ~
〈教頭先生〉で、他の教員や生徒にどちらが美味しいか決めてもらいましょう!
〈校長・教頭〉ふふふふふ、はははひひはははひはひふふかあはは......
と、二人で不気味に笑う。
すると、この話を聴いた辻村先生は思わず校長室の扉をいきなりガチャン!
と、はいってきた。
〈辻村先生〉やりましょう! たこ焼き味vs対戦! いや! 大会を!!
辻村先生は両手でガッツポーズをとる。
〈校長・教頭〉なんで!? 辻村先生がここに!?
〈辻村先生〉はっ! しまった!
◇◇◇
職員室
〈辻村先生〉と、言うわけです
辻村先生は先ほどの出来事をほかの教頭たちに話した。
〈一同〉この人、なにしに行ったんだろ......
〈長久保先生〉なるほど、どちらか決める大会ってわけか......楽しそうだな
〈大戸先生〉ていうか、すごく、くだらないことで揉めてましたね。あの二人
〈一同〉ですね......
こうして、文化祭模擬店(仮)たこ焼き味vs大会が持久走大会の後に開始することになった。
これは、学校の新聞でも大きく取り上げられ、生徒たちは一時、大きな衝撃を受けた。
全生徒持久走大会後のたこ焼き味vs大会!
この校長先生と教頭先生による茶番劇が二週間後に行われようとされていた。
ー 38 ○○と○○の話2 ー 続く
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