セルヴェはタクシーを降りて、目の前のレストラン風のコーヒー店に入った。
内装は至って普通。ソファー付きのテーブルが3つ、イスのタイプが5つ、カウンターが5つある。
ただ、気になったのは、なぜか内装がすべて青いこと。勿論白い部分もあるが、青が圧倒的に多い。
そんなお店にセルヴェは入った。
セルヴェはカウンターに座ることした。
すると、店員さんが来る。
おはようございます。なににしますか?
やあ、メニューはあるかな?
メニュー表お持ちします。
そう言うと彼女はメニュー表を持ってきた。セルヴェはこのメニュー表をみて驚いた。
サラダ、コーヒー、グリルチキン、ターキーサンドイッチ、コーンフレーク、お任せの7つしか載ってないのだ。
ここまで少ないメニュー表は初めてみた。
えーと…… これは全部かな?
そうですよ。
えーと…… このお任せとは?
あー それはキッチンの人がオリジナルで作ります。
どんな料理が出る?
それは私たちには分かりません。
なーなるほど…… 。
セルヴェは話を聞いて言葉を失う。そして少し考えたあと、ついになににするのかを意を決して注文した。
では、このお任せで。
え、お任せですか?
ああ、少し興味がある。
本当にお任せで?
ああ、本当だ。それとコーヒーはアイス、フレッシュだけ入れてくれ。
わ、わかりました。少々お待ちください。
ああ、頼むよ。
店員さんはこの人大丈夫か? みたいな不思議な顔をしていた。首を傾げていた。
どうやら、かなりヤバいものが出てきそうな予感だ。
メニュー表にあんなに大々的に書かれてあるし、冒険してみたい気分だった。メニュー表には青い星の真ん中に大文字で「お任せ!メニュー!」なんて書かれてあったらそりゃ興味は出るだろう。昔、親にあの場所に行くなと言われて、興味津々にその禁止場所に入って怒られるのと一緒だ。
子供なら誰しもがやってしまう。セルヴェは大人だが、心は子供のままだ。
先にコーヒーが来る。その10分後に料理が運ばれてきた。
それをみてセルヴェはまたもや驚く。目の前にでてきたのはハサミの形の揚げ物だ。
なんなんだ? これは?
私にも分かりません。
「なんでお前が知らんのだ!」とツッコミを入れたいところだが、そんな気にもなれない。
これはハサミかな?
そうですね。
これはハサミを揚げてあるのか?
いや…… それは無いはずです。恐らく。多分。
多分とか辞めろよ。
大丈夫です、美味しいですよきっと。
あーそう。
まあ召し上がってください。
そうだな…… 。
これは何でたべる? スプーンか? それともフォークか?
フォークでしょ、これは。さして。
なるほど。
セルヴェはフォークを使って、その物体を刺した。
本当にハサミでは無いのだな?
ええ、恐らく。
と、店員さんが見守る中、セルヴェはその揚げ物に少し躊躇いつつも激しく食いついた。
そこには味わったことのない、ジューシーな肉肉しい、味わい。中をよく見ると、レンコンとお肉だった。それをハサミの形にして揚げてある。
なるほど、中はレンコンとお肉か。
良かったですね、ハサミじゃなくて。
冗談は辞めてくれ。
すると、キッチンから1人出てくる。
どうかね? 私の自慢のハサミ揚げは。
キツイぞ、形とネーミングが。
ジャパンにあるのだよ、ハサミ揚げというものが。
ジャパンに? こんなのが家庭に出てくるのか?
ええ、まあ…… すこし形は違いますが。
なるほど、未知なる国だな。
そうですな。
聞くところ、このハサミ揚げを作ったこの男は1992年の春から1年間日本で暮らしていたそうだ。
その時に日本の料理を研究して、ペルーに持ち帰ってきた。
このお店はオーナーの嗜好でこのようなスタイルになっている。今は朝で人は少ないのだが、昼は混むそうだ。
なるほど、楽しませてもらったよ。また来るよ。
ぜひ! ありがとうございました!
そう言うと、セルヴェは会計をしてお店を出た。
すぐ近くにレアル・フェリペ要塞がある。
今日はまだ始まったばかりだが、朝から刺激をもらった。
「おかしなお店だ。これは日記が騒ぐな」と思いながら、パイプを吹かしながら場所に向かった。
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