そんな少女が十六歳になり、孤児院をそろそろ出ないといけない年になったある日、少女はいきなり王城によばれた。
「顔をあげよ」
王城の奥まった部屋の一つで、王に面会した少女は、ガクブルと震えていた。
王は、顔をおそるおそる上げた彼女を、じろじろと見やり、ふんっと鼻をならした。
「これならば、いいだろう。そなたには、英雄の妻になってもらう。婚姻はこちらでもう手続きを踏んだから、そなたは英雄の子を一人か二人産め。そうしたら、報奨をやるから、どことなりでも行くがよい」
「っ、お言葉ですが、貧相な私めには、英雄様の妻は、つとまりません!その様な命令には」
「誰が発言しても良いと言うた。愚かものめ。そなたが言うて良いのは、はい。の一言だけじゃ。
もうよい、行け。
支度金はもたせるが、これきりだ。
三年たっても成されない場合は‥そなたも、英雄殿も‥な」
勇気を出して進言した少女の言葉を、王は遮り、手を振って退室を促した。
含みのある、王の言葉に少女は青ざめ、両脇を兵に連れ添われ、退室していった。
その後、役人からされた説明を、少女は諦めとともに淡々と聞いた。
・英雄と子を成すこと
・英雄は、子を成すまで、町の施設を利用出 来ないため、少女がお世話や買い物などこなすこと
・子ができても、できなくても、三年たてばこの契約は終わりになること
など。
少女は説明をきいて、静かに頷き、支度金を受け取って、英雄の屋敷に向かった。
これが、今回の顛末であった。
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