少女と英雄のさんざんな初夜を終え、暫くたったある日、この日もただ痛いだけの閨を過ごし終えて、眠りにつこうとする少女に、リオンは声をかけた。
「おい、灰色、つまみがきれた」
「‥わかりました。すぐ、追加を持っていきます」
小さな声で、うつむきがちに答える少女に、リオンはふんっと鼻をならし、また酒瓶を傾けた。
ここのところ、リオンは日がな町に突撃しては、追い返されることを繰り返していた。
そうして、昨日、やっと諦めそれ以来、以前にも増して酒浸りになっているのだった。
少女が、追加でだした、つまみを食べ、リオンはボソッと呟いた。
「飯だけは美味いな‥」
その言葉に、少女は最早喜んでいいのか、悲しめばいいのかわからず、「ありがとうございます」と一言、言って、今度こそ寝室に去っていった。
夜も大分更け、酒の酔いが完全にまわったあと、リオンはふと思い立って少女が寝室にしている部屋の扉を開けた。
少女は、リオンの部屋とは比べ物にならないくらい簡素なベッドで丸くなり、眠りに落ちていた。
くらくらと酩酊感が襲うなか、少女をみつめ、こいつと子供ができないと、自分は自由になれないんだ、とリオンは思った。
そして、こいつが俺の妻なのだと。望んだ訳ではないが。
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