「お待ちしておりました。だと!
俺はお前のようなガキ、知らんぞ。どこのどいつだ、お前のようなみすぼらしいガキを、この世界を救った英雄の妻に、と言ったやつは!!」
リオンは少女をどなりつけたが、少女は少し視線を伏せ、無機質な声色で告げた。
「国王様のご命令です」
「なに!?」
「国王様が、あなた様の妻に私をと。」
「っ、知らん!聞いてない!おい、お前!俺はいまから町に戻る。俺が帰るまでに、きっちりいなくなっておけよ!!」
理不尽な命令だ!とリオンは憤り、少女にわめきちらすが、少女はもう一度頭を下げたまま、そこを動かなかった。
苛立ち紛れに地面を蹴り、リオンは踵を返し、町にもどった。
そのまま、酒場に顔を出し、酒と女を捕まえようとしたが、どの酒場もリオンの姿を見たとたん、扉を閉め、営業を終了してしまった。
ならば、と娼婦を抱こうと、娼館にいくも、
本日は休業日となっていた。
これはおかしいと、人通りが少ない町をみわたしながら、こそこそ端を早足で歩く男を一人捕まえ、襟首をつかみ脅しながら話を聞いてみた。
「これはどういうことだ!?普段なら、空いている酒場も、娼館も閉まっている。立ちんぼの一人も立っていない。
普段寄ってくる女どももいない。なにか、知らないか?」
「い、いえ‥私はなにも」
「ああ?本当に知らねえのか?目を反らさず、俺の目をみて言ってみろ!!」
ぎりぎりと、襟首をさらに締め上げれば、男はついに、白状した。
「お、王命なんだ!!酒場にも娼館にもお前をいれるなって!!
こ、これ以上のことは俺はなにもしらない!」
ギリッと歯を食い縛り、男をその場に放り投げると、リオンは王城に向かった。
「おい!俺を誰だと思ってる!王に拝謁させろ!」
「リオン様、今、リオン様は王城に出禁になっております。
聞いたところ、リオン様はご結婚なされたとか。
おめでとうございます。
つきましては、その御方が、色々ご存知かと。
どうぞお帰りください」
「てめえら、ふざけんなよ!!」
王城に入れなかったリオンは、しぶしぶ屋敷にもどった。
そこには変わらず、先ほどの少女が待っていた。
「お帰りなさいませ。リオン様」
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