隣ですやすや眠る男をみながら、少女は複雑そうなため息をもらした。
それでいて、男を気遣うように、男の寝室から、毛布をもってきて男にかけてやるのだった。
少女はこの世界の住人が、男になにを背負わせてしまったかを漠然と理解していた。
だからこそ、このような扱いをうけても、彼を恨みきれないのだ。
‥もっとも、恨んだところで、王命という枷がある以上、何もできることはないのだが。
暫く、男、ー リオンを見やっていると、額に汗をかき、喉をかきむしり、魘されはじめた。
「ー、嫌だ、死にたくない、死なないでくれ、逝くな、なんのために俺は!」
だれかにすがるような声で魘されるのを聞くのは、今日が初めてではなかった。
彼が酔い潰れて、暫くすると決まって毎晩のように魘されていることを少女は知っていた。
「なんの、夢をみているのかしら‥」
少女はそっと、彼の手を握った。
そうして、暫くすると、彼の呼吸がおさまって眠ることを少女は知っていたからだ。
「ばかなひと‥」
少女はつぶやいた。
そうつぶやいたあと、首を振って自分を見やり、もう一度つぶやく。
「ばかなわたし‥」
この手が、暖かいことを少女は知っていた。
同じくらい、この手が、残酷なことも知っていた。
窓から星を見上げる少女のこころは千千にちぎれ、今日も空に上っていった
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