胸くらい、見たければどうぞと、美少女マーメイドが水から上がる。
やったぁぁぁっ!
ついに俺は、おっぱいを見られても何とも思わない美少女種族を見つけたぞっ!
肌色の淡い膨らみに、薄ピンク色の……って、
「……小さい。というか、無い」
普段、お風呂でよく見ている幼女たちの胸――ちっぱいがあった。
「小さいというか、私たちは海で生きていますからね。そこのエルフさんみたいに、大きな胸があると邪魔で速く泳げないので、胸が小さくなるように進化したのですよ」
いや、胸が小さくなるように進化……って、どう考えても退化だよっ!
「じゃ、じゃあ。あっちに沢山いるお姉さんたちも、皆……」
「えぇ。胸は全員無いですよ?」
「うわぁぁぁっ!」
な、なんて事だっ!
俺は一体何の為にここまで来たんだ。
「……兄たん。とりあえず、ラウラちゃんの胸で泣いていい」
「あ、あの……ヘンリーさん、そんなに落ち込むなら、水着の上からで良ければ、私の胸……じっくり見ます?」
「えっ!? じゃ、じゃあ……ヘンリー様。い、一回だけなら触っても良いですよ?」
ラウラはさておき、カティとクレアが傷心の俺を癒してくれる。
「ひ、一揉み! 一揉みだけですから……ひゃぅっ!」
うむ。水着越しではあるものの、ジェーンの胸とはまた違う趣きがあって良し!
カティの胸をガン見し、クレアの胸を触ると、
「なるほど。人間の男は胸を触ると元気が出るのですね。落ち込んでいる理由は良く分かりませんが、せっかく来ていただいたのです。元気を出す手伝いをいたしましょう。皆ー、ちょっと来てー!」
貧乳マーメイドが仲間を呼び、岩の上にちっぱいが沢山並ぶ。
ちっぱい、ちっぱい、ちっぱい……あはははは! 夢にまで見たおっぱい天国じゃなく、夢に見そうなちっぱい天国だぁー!
凄く嬉し……くねぇぇぇっ!
やめてくれっ! 俺の夢を……おっぱい天国の夢を潰さないでくれっ!
「皆ー! こちらの人間の男性は、おっぱいを触ると元気が出るそうなんです。わざわざ、こんな所まで来ていただいた訳ですし、せっかくなので元気になってもらいたいと思います。なので、皆協力してくださーい!」
「え? ちょっと、待ってくれ。俺は、カティとクレアのおかげで元気になったから大丈夫……」
「……兄たん。そこにラウラちゃんの名前が入ってないのは何故?」
どうしてこうなったのか。
ちっぱいマーメイド軍団が俺に迫り――その中にラウラも混ざっているが――ちっぱいを押し付けてくる。
違う! 違うんだ!
おっぱいは好きだが、ちっぱいに興味は無い!
おっぱい! 俺はおっぱいが好きなんだ!
だけど、ちっぱいが……ちっぱいが俺を取り囲み、ちっぱいが攻めて来るっ!
「どうですか? お兄さん、元気になりましたか?」
「……はい。ありがとうございます」
「それは良かったです! ……で、どういう御用件でこんな所まで来られたのでしたっけ?」
「えっと、ちっぱい……ちっぱいを集めに来たんです」
「ちっぱい? それは一体、何なのでしょうか?」
先ほどのマーメイドさんが、小首を傾げて聞いてくる。
ちっぱいっていうのは、今も俺の手に押し付けられる、殆ど膨らみは無いけれど、温かくて少しだけ柔らかい、おっぱいですよ。あはははっ!
『ヘンリーさん! ヘンリーさん! 正気に戻ってください! ヘンリーさんってば!』
(アオイ……今までアオイの事を貧乳だとバカにして悪かったな。貧乳は……ちっぱいは良い物だ)
『私は貧乳ではありませんよっ! 見た事もないくせにっ! というか、違いますよね!? ちっぱいを集めに来た……って、意味不明ですよっ!』
(アオイ。笑うなら笑ってくれ。あれだけ巨乳好きだったと思っていたのだが、既にマーメイドさんたちが離れているにも関わらず、今も手の中にちっぱいの感触が残っているんだ。どうやら俺は、父さんと同じ貧乳好きだったらしい)
『……あの、ヘンリーさん。今も手の中に……って、実際今もラウラさんがヘンリーさんの手を取って、自分の胸に押し当てていますよ?』
アオイの言葉で慌てて視線を下に向けると、言われた通りラウラが俺の手を胸に当てていた。
「って、何をやっているんだよっ!」
「……夫婦の営み?」
「営まねぇよっ! えーっと、マーメイドさん。俺たちがここへ来た理由は、ちっぱい……じゃなくて、大きな魚が居る場所を教えて欲しくて来たんだ」
アオイのおかげで正気に戻る事が出来たので、ラウラの手を払い、がっかりちっぱいマーメイドたちに尋ねると、
「ネレーア知ってるよー。連れて行ってあげるー!」
最初に出会った、幼女マーメイドが案内すると名乗り出てくれた。
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