「皆……特に、今テーブルの周りではしゃいでいる君たちはよく聞いてくれ。知っている人は知っていると思うが、今日から屋敷に来てくれている三人――エリー、ポピー、ロレッタに、明日から基礎学校の先生をしてもらう事になった。なので、それぞれ一言ずつ挨拶をしてもらおうと思う」
いつの間にか、かなり大人数となった食堂で、まだ食事途中の者も居るけれど、三人に挨拶をしてもらう事にした。
というのも、幼い子供の中には食べる量が少なくて、食べ終わってジッとしていられない子も居れば、一方で時間を掛けてゆっくり沢山食べる子も居る。
全員が食べ終わるのを待っていたら、既に食堂で遊んで居る子供たちが飽きて、走り回ったりしてしまうからね。
「エリーだよー! ちっちゃい子の教室を担当するよー! 皆、よろしくねー!」
「はーい!」
「エリーせんせーあそんでー!」
子供たちには、エリザベスから既に説明があり、顔合わせなども行っているらしく、可愛らしいエリー先生コールが続いている。
……一方、その低年齢教室に参加するユーリヤは、食べるのに夢中で全然気付いていないけど、大丈夫だろうか。
「ポピーです。子供教室の担当をするので、よろしくね!」
「ポピーお姉ちゃんだー!」
「子供って言うなー! 今度は負けないんだからねー!」
幼女たちからポピーを呼ぶ声や、次こそ勝つって声が聞こえるんだが……一体何の勝負をしたのだろうか。
まぁ弟や妹の多いポピーなので、既に上手くやってくれているのだろう。
「ロレッタです。十歳から十二歳の生徒を担当します。よろしくお願いいたします」
「……」
あれ? ロレッタちゃんの時は、何故か静かだけど……だ、大丈夫だよね?
後でフォローしておかなければと思いつつ、一先ず食事へ戻る。
食事を終えると、いつもの様にちびっこたちを連れてお風呂へ。
「わーい! お風呂ー!」
ユーリヤを始めとする幼女たちの服を脱がしていると、
「エリーも一緒に入るー!」
「……ラウラちゃんも」
幼女の入浴が大変だと理解してくれた二人が手伝いに来てくれた。
「助かる。じゃあ、エリーはその子を頼む」
「うん、わかったー!」
エリーがユーリヤと同じくらいの背丈の子の服を脱がし始める。
「じゃあ、ラウラは……って、何してるんだ?」
「……兄たんに脱がせてもらおうと思って待ってる」
「いや、そこは自分で脱げよ。ていうか、手伝いに来てくれたんじゃないのか?」
「……ただお風呂へ入りにきただけ。ここまで頑張って歩いたから、後はお願い」
「いやいや、何でだよ」
「……兄たんが生涯面倒みてくれるって約束した」
生涯面倒を見る……じゃなくて扶養するなんだけど、アオイがやらかしたせいで、究極的に面倒な事になっているじゃないか。
『むー。まぁ私にも責任が無くはないですが……それよりヘンリーさん。最近は見慣れてきたのか、普通にラウラさんを全裸にしますね』
(まぁ毎日幼女たちとお風呂に入っているし、ラウラは幼女みたいな体型だしな)
『で、ヘンリーさんも気にせず全裸になると』
(相手は子供だし、どうせ風呂に入ったら、遊んで遊んでーってなるしな)
最初は、変なのがあるー! とか、ねぇこれなーに? とか、好奇心が旺盛な子は触ろうとしてくる子も居たけど、今ではもう誰も気にしなくなったしな。
変に隠そうとするから、気になって触ろうとしてきちゃうんだよ。
ここ数日で、堂々と普通にしていた方が、幼女たちも気にしないという事に気付いたんだ。
『ですが、ヘンリーさん。全裸で仁王立ちになっていますが、至近距離で物凄く見てる子がいますよ?』
(放っておいて良いよ。性知識が無い幼女たちだし)
『その凝視しているのが、ラウラさんとエリーさんですが』
「……って、何してるの!? ラウラはともかく、エリーはタオルとか身体に巻こうよ。ラウラは触ろうとするなーっ!」
「……ラウラちゃんは、兄たんのお嫁さんだから」
「そういう問題じゃない!」
子供たちがちゃんと着替えられているかをチェックしていたら、俺の足元でラウラとエリーがしゃがみ込んでいて、大変な事になっていた。
ラウラは見慣れてるけど、エリーは……タオル。今はタオルをぉぉぉっ!
「エリーも、ここではやめておこうな」
「どうしてー? ハー君。エリーもママだよー?」
「子供たちの教育に悪いからだよっ!」
エリーは別の場所でなら大歓迎なんだけど、今はマジでダメだ。
頼むから周りを見てくれ。空気を読んでくれ。
だが俺の願いは届かず、
「ねぇー、エリーせんせーは、りょーしゅさんと、なにしてるのー?」
幼女が集まって来たぁぁぁっ!
「何でも無いからねー。はい、全員お風呂へ入るよー」
「えー、なーにー? おしえてよー」
「にーに。ユーリヤにそんなのない」
ユーリヤまで興味を持ってしまったので、全力で誤魔化し、今日は早めにお風呂を切り上げる事にした。
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