英霊召喚 ~ハズレと呼ばれた召喚魔法で、過去の大賢者を召喚して史上最強~

向原 行人
向原 行人

第231話 魔物の巣

公開日時: 2021年3月12日(金) 08:08
文字数:1,881

ワンダとユーリヤの三人で入浴を終え、血の涙を流す想いで村の宿屋へと戻る。

 出来れば一人でワンダの許へ戻りたい程だが、ユーリヤが暴れて村が壊れても困るので、諦める事にした。

 ……物凄く残念だけど変な姿を見せる訳にもいかず、いつも通り寝ようとしているのだが、何故かユーリヤがパジャマをはだけさせた状態で、俺に抱きついてくる。


「ユーリヤ。何をしているの? パジャマをちゃんと着ないと、お腹を冷やすよ?」

「ジェーンおねーちゃんのかわりー。にーにがいつもしてもらってるからー」


 えーっと、これは俺が毎晩ジェーンの胸を触りながら寝ているのが、ユーリヤにバレていたって事か!?

 ……マジかぁぁぁっ!

 これは、父親役としては痛恨のミスじゃないか。


「ゆ、ユーリヤ。あれは、違うんだ。その……ジェーンがお腹が痛いって言っていたから、俺が診察してあげていたんだよ」

「しんさつー?」

「その、どうしてお腹が痛いのかなーって調べる事だよ。俺はお腹が痛い原因が分かれば、魔法で治せるからねー。だから、お腹が痛くないユーリヤは、お腹を出さなくても良いからね」

「……わかったー!」


 ユーリヤが純真な目で、真っ直ぐ俺を見つめながら大きく頷く。

 その、何て言うか汚い大人でごめんよっ!

 あれは、ただただ俺がジェーンの大きな胸を触りたいだけなんだっ!

 心の中でユーリヤに謝りつつ、就寝する事にした。


……


 二日目も馬を走らせて、ひたすら街道を南東に向かう。

 すると、街道から少し外れた所に、二体のオークが見えた。


「ヘンリーちゃん。少し道から外れるけど、魔物を倒しても良いッスよね?」

「もちろん。近隣の村が襲われたりするかもしれないから、倒しておこう」


 そう言うと、ドロシーとプリシラがすぐに馬の進行方向をオークに向ける。

 さて、二人の実力を見せてもらおうか。

 完全に容姿だけで選んじゃったけど、二人とも騎士団の一員なので、流石にオークくらい瞬殺してくれるだろうと期待して、


「ライトニング!」


 二人の後ろからクレアが精霊魔法で電撃を放ち、一瞬でオークを二体とも倒してしまった。


「どうですか、ヘンリー様! 私もちゃんと戦えるんです」

「あ、うん。クレアが優秀な魔術師だっていうのは知っているんだが」

「えへへ。ありがとうございます」

「……だからこそ、ドロシーとプリシラの実力を見てみたかったんだけどな」

「す、すみませんっ! 空気が読めずに申し訳ないですっ!」

「まぁいいさ。気にするな……まだ機会は沢山あるから」

「それはどういう意味ですか?」


 不思議そうにキョトンとしているクレアを余所に、


「サーチ」


 索敵魔法を使用すると、少し離れた所に大量の魔物の反応がある。


「東に少し進んだ所に、予想通り魔物の巣があるな。こっちも潰しておこう」

「ヘンリーちゃん、凄いッス。そんなのが分かるんスね」

「光の精霊魔法なのですー。そういう魔法があるのは知っているけど、私には使えないのですー。凄いのですー」


 ドロシーとプリシラの二人に凄いと言われながら、街道を外れて東へ進むと、大きな洞窟を見つけた。

 索敵魔法の反応でも、この内部から反応があるので、ここが魔物の巣と考えて間違いなさそうだ。

 ……アオイの魔法で洞窟ごと吹き飛ばすのが一番手っ取り早い気がするけど、それだと二人の力を見られないので中へ入るか。


「大きな洞窟みたいだし、全員で入る事も出来そうだけど、どうする? 希望者だけで行っても良いんだが」

「ユーリヤは、にーにといっしょー!」

「わ、私もっ! 私もヘンリー様とご一緒します!」


 俺の言葉にユーリヤとクレアがすぐさま反応し、残りの三人も行くというので、少し離れた場所で馬を降り、全員で行く事にした。


「じゃあ、実力を見せてもらうため、戦闘はドロシーとプリシラ。次にニーナとクレアで、最後尾が俺とユーリヤな」

「あの、ヘンリーちゃん。その女の子も洞窟に連れて行くッスか? 大丈夫ッスか?」

「……まぁいずれ分かると思うけど、この中で一番強いのは、ダントツでユーリヤだからな? ハッキリ言って、俺よりも圧倒的に強いぞ?」

「えっ!? どう見ても、六歳くらいにしか見えないッスよ!?」

「うん。本気を出されたら、騎士団全員で挑んでも勝てないぞ。マジで」


 ドロシーとプリシラが、信じられないといった表情でユーリヤを見て……って、クレアもか。

 クレアにはユーリヤの事を話していなかったっけ?

 まぁ気持ちは分かるよ。可愛いユーリヤの姿を見て、誰もドラゴンだなんて思わないだろうし。


「何にしても、俺やユーリヤの事は心配無用だから、気にしないでくれ」


 そう言って、先程決めた隊列で十分に広い洞窟の中へと入って行った。

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