「えーっと、ルミ。一体何を言って……」
「それだぁぁぁっ! うん、素晴らしいっ! 素晴らしいよっ! 実に名案だっ! ヘンリーとそちらのお嬢さんが結婚したら、私の義娘に……うぉぉぉっ! すんばらしぃっ!」
ルミの飛んでも発言が聞こえたらしく、離れた席に座る父さんが女性陣を引かせまくりながら、立ち上がる。
「いや、待てよ。しかし、ヘンリーには……そうだっ! お嬢さんっ! ヘンリーじゃなくて、私と子供を作ろうっ! そうだ、それが良い! 優しく……」
「アホかぁぁぁっ! このクソ親父っ! 何を言っているんだよっ!」
鼻息を荒くしながらルミに近づいてきた父さんを吹き飛ばすと、不敵な笑みを浮かべながら起き上がった。
意外にしぶとい。神聖魔法で強化しておくべきだったか?
「ヘンリー。父を殴ったな?」
「あんたがルミに向かってアホな事を言うからだ」
「ふっ……ヘンリー。先に言っておくが、合法ロリエルフを前にした父さんは、本気だからな?」
「何を言っているんだよ」
「光学迷彩起動っ!」
そう言って、父さんが自らの腕に触れると、突然その姿が見えなくなった。
「と、父さん!? 一体何をしたんだっ!?」
俺の言葉に返事はなく、その代わりに、
「ひゃぁっ! お、お兄ちゃんっ! お尻触られたぁーっ!」
ルミの悲鳴が響き渡る。
「あ、あのバカ親父っ! ルミ、ユーリヤ! 俺の傍においでっ!」
父さんに最も狙われそうな幼い二人を招くと、そのまま目を閉じた。
マジックアイテムで目に見えなくなったとしても、父さんは気配まで消せていない。
集中して周囲の気配を探っていると、余裕なのか、何の警戒もしていない様子の気配が近づいてくる。
左手でルミとユーリヤを抱き寄せ、空いた右手で……
「ここだっ!」
――むにゅん
父さんの身体を掴んだはずなのに、想定外の感触が掌に伝わってきた。
凄くスベスベしていて、柔らかくて、適度に弾力があって、これは何だろうかと目を開けると、
「いやん。もぉ、お兄さんってば……えっち」
「え!? えぇっ!? どうしてカティが?」
「どうして……って、そっちにある料理が美味しそうだから取りにきたら、いきなりお兄さんが私の胸を鷲掴みにするんだもん。もぉー、ビックリしちゃった」
目の前にお皿へ手を伸ばしているカティが居て、前かがみになって大きく開いたドレスの胸元に、俺の右手が狙ったかのように吸い込まれていた。
巨乳ダークエルフのおっぱいの谷間……凄い。これは、凄いぞっ!
『ヘンリーさん。で、いつまで胸を触り続けているんですか?』
(いや、俺も離したいんだけど、離せないんだよ。気持ち良過ぎて、手が言う事を聞いてくれなくってさ)
『そんな訳ないでしょ! 早く手を抜かないと、面倒な事になりますよっ!』
アオイはそう言うけれど、カティは胸元に手を突っ込まれ、ダイレクトに胸を揉まれているのに笑っているし……うん、無理! ずっと触り続ける!
半ば本気でそんな事を思っていると、
「へぇ……ダークエルフの長の娘に、しかも親の目の前で手を出すなんてねぇ」
先程までパメラとワインを飲みまくっていたヨセフィーナさんが、ジッと俺を見つめていた。
しかも、一体何がどうなったのか、その手には父さんの首根っこが掴まれている。
どうやらヨセフィーナさんが父さんを止めてくれたらしいけど……あ、これ。ひょっとしなくても、俺ピンチ!?
ヨセフィーナさんの迫力で、ようやくカティの胸元から手を抜くと、
「その豪胆っぷり……お兄さん、流石だねぇ! よし、ダークエルフの長の血を引く者の子供を作ろうか! カティとお兄さんとで」
「えぇー、もぅお母さんったらぁ。私は未経験だし、男性との恋愛経験も無いんだよー? だから、先ずはお互いの事を知る為に、二人でデートからだと思うんだけどー」
「デートでも宿でも好きに行っておいで。お母さん公認だからね」
何だか、勝手に話が進められていく。
カティなら大歓迎だが……何だろう。とてつもなく冷たい視線が……あ、アタランテ!?
気付けばアタランテだけでなく、一緒に来ていた若いダークエルフたちも……って、こっちは羨ましそうな目を向けてない? もしかして、触られたいの? 触っちゃうよ?
『だから言ったのに……というか、この期に及んで、そんな事考えているんですか!?』
(や、だってさ。こう若い身体を持て余した少女たちが……)
『ヘンリーさん。考えがお父さん……というか、オッサンですよ』
「婿殿。カティを頼んだよ」
「えっ!? 待って! ちょっと待って! ヨセフィーナさん、婿殿って何!?」
発端は父さんなんだけど、親子揃って色々とやらかしてしまった。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!