英霊召喚 ~ハズレと呼ばれた召喚魔法で、過去の大賢者を召喚して史上最強~

向原 行人
向原 行人

第225話 変態親父、透明人間になる

公開日時: 2021年3月5日(金) 08:08
文字数:1,854

「えーっと、ルミ。一体何を言って……」

「それだぁぁぁっ! うん、素晴らしいっ! 素晴らしいよっ! 実に名案だっ! ヘンリーとそちらのお嬢さんが結婚したら、私の義娘に……うぉぉぉっ! すんばらしぃっ!」


 ルミの飛んでも発言が聞こえたらしく、離れた席に座る父さんが女性陣を引かせまくりながら、立ち上がる。


「いや、待てよ。しかし、ヘンリーには……そうだっ! お嬢さんっ! ヘンリーじゃなくて、私と子供を作ろうっ! そうだ、それが良い! 優しく……」

「アホかぁぁぁっ! このクソ親父っ! 何を言っているんだよっ!」


 鼻息を荒くしながらルミに近づいてきた父さんを吹き飛ばすと、不敵な笑みを浮かべながら起き上がった。

 意外にしぶとい。神聖魔法で強化しておくべきだったか?


「ヘンリー。父を殴ったな?」

「あんたがルミに向かってアホな事を言うからだ」

「ふっ……ヘンリー。先に言っておくが、合法ロリエルフを前にした父さんは、本気だからな?」

「何を言っているんだよ」

「光学迷彩起動っ!」


 そう言って、父さんが自らの腕に触れると、突然その姿が見えなくなった。


「と、父さん!? 一体何をしたんだっ!?」


 俺の言葉に返事はなく、その代わりに、


「ひゃぁっ! お、お兄ちゃんっ! お尻触られたぁーっ!」


 ルミの悲鳴が響き渡る。


「あ、あのバカ親父っ! ルミ、ユーリヤ! 俺の傍においでっ!」


 父さんに最も狙われそうな幼い二人を招くと、そのまま目を閉じた。

 マジックアイテムで目に見えなくなったとしても、父さんは気配まで消せていない。

 集中して周囲の気配を探っていると、余裕なのか、何の警戒もしていない様子の気配が近づいてくる。

 左手でルミとユーリヤを抱き寄せ、空いた右手で……


「ここだっ!」


――むにゅん


 父さんの身体を掴んだはずなのに、想定外の感触が掌に伝わってきた。

 凄くスベスベしていて、柔らかくて、適度に弾力があって、これは何だろうかと目を開けると、


「いやん。もぉ、お兄さんってば……えっち」

「え!? えぇっ!? どうしてカティが?」

「どうして……って、そっちにある料理が美味しそうだから取りにきたら、いきなりお兄さんが私の胸を鷲掴みにするんだもん。もぉー、ビックリしちゃった」


 目の前にお皿へ手を伸ばしているカティが居て、前かがみになって大きく開いたドレスの胸元に、俺の右手が狙ったかのように吸い込まれていた。

 巨乳ダークエルフのおっぱいの谷間……凄い。これは、凄いぞっ!


『ヘンリーさん。で、いつまで胸を触り続けているんですか?』

(いや、俺も離したいんだけど、離せないんだよ。気持ち良過ぎて、手が言う事を聞いてくれなくってさ)

『そんな訳ないでしょ! 早く手を抜かないと、面倒な事になりますよっ!』


 アオイはそう言うけれど、カティは胸元に手を突っ込まれ、ダイレクトに胸を揉まれているのに笑っているし……うん、無理! ずっと触り続ける!

 半ば本気でそんな事を思っていると、


「へぇ……ダークエルフの長の娘に、しかも親の目の前で手を出すなんてねぇ」


 先程までパメラとワインを飲みまくっていたヨセフィーナさんが、ジッと俺を見つめていた。

 しかも、一体何がどうなったのか、その手には父さんの首根っこが掴まれている。

 どうやらヨセフィーナさんが父さんを止めてくれたらしいけど……あ、これ。ひょっとしなくても、俺ピンチ!?

 ヨセフィーナさんの迫力で、ようやくカティの胸元から手を抜くと、


「その豪胆っぷり……お兄さん、流石だねぇ! よし、ダークエルフの長の血を引く者の子供を作ろうか! カティとお兄さんとで」

「えぇー、もぅお母さんったらぁ。私は未経験だし、男性との恋愛経験も無いんだよー? だから、先ずはお互いの事を知る為に、二人でデートからだと思うんだけどー」

「デートでも宿でも好きに行っておいで。お母さん公認だからね」


 何だか、勝手に話が進められていく。

 カティなら大歓迎だが……何だろう。とてつもなく冷たい視線が……あ、アタランテ!?

 気付けばアタランテだけでなく、一緒に来ていた若いダークエルフたちも……って、こっちは羨ましそうな目を向けてない? もしかして、触られたいの? 触っちゃうよ?


『だから言ったのに……というか、この期に及んで、そんな事考えているんですか!?』

(や、だってさ。こう若い身体を持て余した少女たちが……)

『ヘンリーさん。考えがお父さん……というか、オッサンですよ』


「婿殿。カティを頼んだよ」

「えっ!? 待って! ちょっと待って! ヨセフィーナさん、婿殿って何!?」


 発端は父さんなんだけど、親子揃って色々とやらかしてしまった。

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