英霊召喚 ~ハズレと呼ばれた召喚魔法で、過去の大賢者を召喚して史上最強~

向原 行人
向原 行人

第125話 半泣き貧乳騎士

公開日時: 2020年11月25日(水) 08:08
文字数:2,518

「あの、コートニーさん? コートニーさーん」

「……どうしましょう。まさか、フローレンス様の命の恩人がこんな変質者とは予想出来なかったですの。この想定外の事態に、私が出来る事は……」


 コートニーが地面に座り込み、膝を抱え込むようにしてブツブツと呟いて居る。

 何があったかは分からないが、どうやら相当ショックな事があったようだ。

 しかし、スカートなのに膝を抱えて座っているので、前からパンツが丸見えになっている。

 白い太ももの間に見える青いパンツ……髪色とお揃いにしているのだろうか。

 ユーリヤがシャロンに遊んで貰っているという事もあり、暫く太ももとパンツを凝視していると、


「仕方がありませんの。代役を立てた所で、バレれば終わり。私が出来る事を最大限するしかありませ……」


 突然我に返ったコートニーと目が合った。

 より近くでパンツを見ようと思って、しゃがみ込んだ状態の俺と。


「こ、この変……ヘンリー=フォーサイス。貴方は今、教会から目を付けられています。フローレンス様から、どこまでお話を聞いていますか?」


 コートニーが大声を上げかけたものの、何事も無かったかのように立ち上がり、スカートに着いた土を払っている。

 若干、プルプルと小さく震えているものの、思いっきりパンツを凝視していたのに、怒られなかった。

 これは、パンツなら見ても構わないという事だな。


「えっと確か、魔法騎士部隊に入って、実力を示して来いって……あ、スカートにまだ土が……はい、これで取れましたよ」

「あ、貴方! 今、私のお尻を……くっ、どうしてこの私が変質者の指導をしなければなりませんのっ!?」

「え、変質者って?」

「貴方ですの! 貴方! 私の胸を揉みしだき、下着を凝視した挙句に、お尻まで撫でて……貴方は一体何を考えていますのっ!?」

「……おっぱい?」

「もぉ嫌ですのぉぉぉっ!」


 コートニーが訓練場で半泣きになってしまったので、流石に悪かったと謝りつつ、落ち着くのを待つ。

 その間にシャロンからユーリヤを預かり、ジェーンとのおっぱい剣術道場を眺める事にした。

 あぁ、揺れる大きな胸を見ていると癒されるな。


「あの、コートニーさん。見てください」

「何ですの?」

「大きなおっぱいがぶつかり合い、ムニュリと柔らかそうに形を変える所を見ていると、心が落ち着きませんか?」

「どこに落ち着く要素がありますのっ!? ……というか、貴方は本当に状況が分かっているんですの!?」

「いえ、全く。教会、教会って言うけど、教会ってお告げを聞いたり、毒や呪いを解いて貰ったりする場所ですよね?」

「それは街にある教会ですの。王宮で言う教会となると、少し意味が違いますの」


 まだ涙目のままのコートニーが教会について教えてくれたのだが、要は国を跨いだ大きな組織らしい。

 寄付金などで資金も大量にあるし、神官戦士という兵力も携えている上に、世界中の街という街に支部――いわゆる牧師さんが居る教会があって、地域に根付いている。

 国とは違う巨大で強大な組織であるため、王宮も無視出来ない程の権力を持っているそうだ。

 で、宮廷魔術師が騎士となった、魔法騎士という部隊が元々王宮にあるのだが、教会の圧力により同部隊へ神官戦士が送りこまれており、三割程度が教会の息が掛かった人員なのだとか。


「なんで、教会は自らの兵である神官戦士を王宮へ送り込んで来るんですか?」

「簡単に言いますと、王宮内での教会の力を高めたいんですの。魔法も剣も使える魔法騎士隊は、王宮で最強の部隊の一つですの。そこの部隊が殆ど教会の人間となれば、いざ魔法騎士隊を動かそうとした時に、王宮が教会のお伺いを立てる……つまり、寄付をするから部隊を動かしてくれ……なんて事になりかねませんの」

「へぇー。つまり、教会は魔法騎士隊を乗っ取ろうとしてるって事?」

「まぁ平たく言うと、そうなりますの」


 なるほどねー。難しい事はよく分からないけれど、とにかく宮廷と教会が微妙な関係にあるというのは分かった。


「ところで、俺が力を示す云々の話はどう絡むんだ?」

「教会としては、もっと神官戦士を送り込みたいけれど、それを何とか王宮が抑えておりますの。ところが、フローレンス様の恩人とは言え、学生が隊長をしている部隊があると教会が知ってしまい、その学生部隊を潰して、その分で神官戦士を入れろ……と言って来ているんですの」

「ほほぉ。第三王女直属特別隊を潰したいと」

「えぇ。教会がその学生の実力を見てやるから連れてこいと要求しているので、宮廷魔術師から魔法騎士隊に入った私――つまり、王宮側の魔法騎士である私に貴方の指導をするように頼まれましたの」

「なるほど。だけど、実力を示すだけなら、指導なんて要らないと思うんだが。何と言っても、魔族を実際に倒しているしね」

「けど、その魔族の戦いの目撃者は、魔法学校側の人間を除けば、フローレンス様のみ。教会は、魔族が現れた事自体が、嘘だと決めつけている程ですの」


 あ、そうか。

 魔法大会でフローレンス様の護衛の騎士たちは、全員石にされてしまったんだ。

 時間を見つけて、その解除方法も調べてあげたい所だな。

 とはいえ、最優先はドワーフの国探しだが。


「まぁでも、だったらその教会側の魔法騎士――神官戦士の一番強い人と戦っても良いけど? 負ける気がしないし」

「……言っておきますが、騎士に求められるのは強さだけでなく、心構えや礼儀、知識や節度も求められますの。魔族を倒した強さが本物だとしても、正直貴方に騎士の礼儀作法や心構えがあるとは思えませんの」

「うん、無いね。俺、騎士じゃないし」

「だけど、それを求めて来るのが教会ですの。要は、自分たちの得意な領域で優劣を付けようとする人達ですの」


 はっはーん。つまり、教会は自分の決めたルールでしか戦えないっていう困ったちゃんって事だな?


「よし、教会を潰そう!」

「そんな事をしたら、世界中の教会を敵に回しますの。だから、皆困っているんですのっ! とにかく、ギリギリまで教会の期限を伸ばしますの。その間、みっちり特訓してもらいますの」

「えぇぇぇー」


 こっちの任務とか学校とかはどうするんだよと言ったのだが、最優先事項として、コートニーとの短期特訓が割り込んできた。

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