英霊召喚 ~ハズレと呼ばれた召喚魔法で、過去の大賢者を召喚して史上最強~

向原 行人
向原 行人

第53話 パンツ! パンツ! パンツ!

公開日時: 2020年10月7日(水) 21:21
文字数:2,508

 フローレンス様から魔法学校が再開されると聞いた翌朝。

 寮の自室で三人の少女に囲まれて起きた俺は、朝の準備を整えた後、テレポートを使って先ずジェーンを王宮へと連れて行く。

 昨日、フローレンス様とニーナにも、顔合わせだけはしておいたので、後の時間配分や訓練の内容はニーナとジェーンで決めてもらう。

 ちなみに、ジェーンは俺やエリーと離れるのを嫌がったが、王宮での任務だというと、しぶしぶだが了承してくれた。

 騎士だからなのか、王宮やお城での任務であれば、単独行動でも問題ないらしい。

 それから俺は、次にアタランテとマーガレットを街の市場へと連れて行く。


「二人は俺の授業が終わるまでに、フィオンの洞窟を攻略するのに必要だと思われる物を買い揃えておいて欲しい。資金は十分に渡しておくから、必要だと思ったらわざわざ俺に確認なんてせず、二人の裁量で購入して構わないから」

「確か、魔法が使えない洞窟だって話だったね。松明なんかも要りそうだね」

「厳密に言うと、土の魔法は使えるけどな。買った物は後で俺が空間収納魔法を使って運ぶから、重量とか体積なんかも気にしなくてよいから」

「分かったよ」


 頷くアタランテに金貨の入った麻袋を渡し、同じくマーガレットにも渡す。


「お兄さん。本当に何を買っても良いんだよね?」

「……洞窟の攻略に必要な物ならな」

「大丈夫、大丈夫。ちゃんと分かってるってー」


 マーガレットは随分と軽いけれど、本当に理解しているのだろうか。

 アタランテと共に魔物を倒しまくって得た素材を錬金ギルドに買い取ってもらったお金と、第三王女直属特別隊としてフローレンス様から預かっている支度金があるので、資金は潤沢にある。

 二人に渡したお金だって、普通の家族が一ヶ月は余裕で暮らせるくらいの金額だけど、それでも全体の資金の十パーセント程度にしかならない。

 なので、最悪無駄遣いをされても致命的にはならないが……あまりふざけた物は買わないで欲しいのだが。


「アタランテ。マーガレットの事をよろしく頼むよ」

「あぁ、任せといて」

「ちょっと、お兄さん!? どうして私を不安そうな目で見て来るのさっ! ホント、大丈夫だってば」


 マーガレットが大丈夫と言えば言う程、不安になるのは何だろうか。


「じゃあ、俺は学校に行ってくるから。もしも緊急で連絡を取る必要があったら、マーガレットが俺にメッセージを魔法を送ってくれ」

「はーい。オッケー」


 これは昨晩知ったのだが、魔術士ギルドが魔法代行サービスとして行っている、遠く離れた相手に言葉を伝える魔法を、何故かマーガレットが使えるのだとか。

 よくよく考えると、アオイを除けば英霊で魔法を使えるのはマーガレットが初めてだったな。

 どこかで時間を作って、出来る事の全容を教えて貰わなければ。


「……って、こんな事をしているうちに、もう少しで授業が始まる時間じゃないか。テレポート!」


 人気の無い路地へ姿を隠し、すぐさま瞬間移動で魔法学校の魔法訓練室へ。

 直接教室の中へ移動しても良かったのだけど、若干時間に余裕があるし、久しぶりの学校でクラスメイトを驚かせるのもどうかと思ったので、ここから歩いて行こうと思ったのだが、


「な、な、な……なんで、アンタがここに居るのよっ! というか、いつから居たのよっ! この変態っ!」


 何故か突然女子生徒に怒られてしまった。

 その女子生徒はどうやら着替えている途中だったらしく、制服のローブも着ずに、薄いシャツとスカートだけの姿で、いきなり現れた俺を前に驚き、固まっている。

 とにかく謝らなければと思ったのだが、ついつい着替え中の姿に俺の視線が吸い込まれてしまい、スカートからスラリと伸びる細い脚や、シャツの下でほんのり小さな膨らみを見せる、控えめな胸……


「って、何だソフィアか」

「何だとは何よ。というか、アンタ。今、ウチの顔を見る前に、胸を見てウチだって判断しなかった!?」

「……ソ、ソンナコトナイヨ?」


 十四歳にして、全く膨らむ気配が無い胸でソフィアだと気付いてしまったが、えっと……そうだ。声とか、話し方で気付いたんだ。そう、そうなんだ。

 まぁでも、ルミに比べればまだソフィアの方が……って、当然か。

 ルミは人間換算したらまだ十二歳だしな。これでソフィアより大きかったら……


「で!? アンタは、いつまでウチの着替えを覗いているつもりなの!?」

「あぁ、悪い悪い……って、ちょっと待った! 今思い出したけど、俺この前の魔法大会で勝ったよな! だから、学校でもギルドでも、いつでもどこでもソフィアのパンツ見放題って約束だろ」

「……な、何の事かしら?」

「おいおい。惚けようったって、そうは問屋が卸さねぇぜっ! ほら、早く自分でスカートを捲り上げて、『ウチのパンツを見てください』って、言えよ」


『ヘンリーさん。経緯はどうあれ、そこだけ聞くと、ド外道ですよ?』

(いいや、これは立派な契約だ。俺とソフィアはパンツを掛けて、魔法大会という舞台で勝負したんだ。途中、いろいろ有り過ぎたけど、それでも勝ちは勝ちだっ!)


「あ、あれは……ほ、ほら。戦いの途中で魔族が現れた訳だし、また日を改めて再戦って事で」

「いーや、ダメだ。俺はソフィアのパンツを見せてもらうまで、ここを動かねぇぜっ! ほら、パ・ン・ツ! パ・ン・ツ! パ・ン・ツ!」


 ソフィアもアオイと同じように魔族が……なんて言い出したけど、そもそもその魔族だって殆ど俺とジェーンで倒したんだ。

 魔法学校の被害を最小限に抑え、フローレンス様を救った俺に、パンツのご褒美くらいあったって、罰は当たらないだろう。


「早く見せろよ! パ・ン・ツ! パ・ン・ツ! パ・ン・ツ!」

「で、でも、ついさっきウチの着替えを覗いたじゃない」

「けど、パンツは見てないぞ! パ・ン・ツ! パ・ン・ツ! パ・ン・ツ!」

「だけど、シャツ越しにウチの胸を見たしさ」

「あぁん!? そんな胸だか背中だか、分からないような物をシャツ越しに見た所で……あ、あれ? そ、ソフィア……さん? ちょ、ちょっと落ち着いて……」

「乙女の胸を見ておいて……ふざけるなぁぁぁっ!」


 調子に乗り過ぎた俺は、魔法大会でも見せなかったソフィアの強烈な魔法の一撃で、見事に吹き飛ばされてしまった。

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