「ヘンリー様! ラウラちゃん! 良かった。本当に無事で良かった」
執拗に何度もキスしてくるラウラを何とか引き剥がし、起き上がった所でクレアたちが戻って来た。
俺とラウラが居なくなり、クレアは相当焦っていたらしいけど、俺とラウラの姿が突然消えた……というネレーアの言葉で、テレポートかもと思って戻ってきたそうだ。
「もうっ! 私から離れて行った時は、本当どうしようかと思いましたよ!」
「すまなかった。だが、ラウラを助ける為には、あぁするしかなかったんだ」
まぁ、ラウラを助けた代償として、大変な事になってしまったのだが。
「でも、テレポートの魔法を使った事は想像出来ましたけど、水中でどうやって魔法を使ったんですか?」
「え……いや、その……まぁ何と言うか……な」
「どうされたんですか? 随分と歯切れが悪い物言いですけど? あと、その……ラウラちゃんはどうしたんですか? 頭にお花畑が咲いていますけど」
クレアがチラッとラウラに目をやり、つられて俺も目を向けると、
「うふふ……うふふふふ……」
ラウラが明後日の方角を見ながら、ずっと笑っている。
こうなった理由は、何となく想像がつくが……触れないでおこう。
「まさか……水中で酸欠状態になり、脳にダメージがっ!?」
「違う違う違う。そういうのじゃないんだ。なんて言うか……そっとしておいてくれ」
「はぁ……それなら、そっとしておきますが、一先ず魚はさっきので良いでしょうか?」
クレアが指し示す先を見てみると、幼女マーメイドのネレーアが無い胸を逸らしながら、
「えっへん! 凄いでしょー! 褒めて褒めてー!」
大きな魚を捕まえたから褒めろと要求してくる。
幼女だから仕方ないのかも知れないが、そのせいで俺たちは死に掛けた……というか俺は社会的に死んだも同然なんだが。
「そ、そうだな。ありがとう」
「もっと、もっとー!」
「す、凄いぞ。おかげて凄く助かったよ」
屋敷の幼女たちと同じように、頭を撫で撫でしてやると、ネレーアが満足そうに微笑む。
『流石、幼女マスターですね』
(誰が幼女マスターだよっ!)
『じゃあ、幼女キラーですか? ラウラちゃんがメロメロですし』
(おい、やめろ。というか、マジでやめてくれ)
アオイの言葉に、割と本気でヘコみつつ、
「えっと、ネレーア。すまないが、そのネレーアが捕まえてくれた魚を譲ってくれないか?」
「いいよー。でも、ネレーアのお願いを聞いて欲しいの」
「……どんなお願いなんだ?」
「ネレーアを人間の世界へ連れて行って欲しいのー」
あぁぁぁ……お願いと言われた時に、何となく予想出来てしまったけど、その通りの要望が来たーっ!
「あのな、ネレーア。俺たちは、今は海に来ているが、普段住んでいる場所は、海どころか湖や川すら無い場所なんだ。だから、連れて行く事は出来ないんだよ」
「大丈夫。昔のマーメイドが作った変身魔法っていうのがあって、ネレーアは人間の姿に変身出来る。水が無くても生活可能。見てて」
そう言うと、ネレーアが聞いた事の無い魔法を使い、大きく……いろんな所が大きくなった。
「そっちのエルフのお姉ちゃんと、こっちの人間のお姉ちゃんを足して割った感じにしてみたよー!」
「おぉっ! ナイスおっぱい! Dランクくらい! しかも全裸っ! よし、採用っ!」
「ヘンリー様っ! 採用って……私に似ている姿になってますけど、中身はあの幼女ですよっ!? あと、胸とかいろんな場所を見過ぎですよっ!」
元々裸を見られても気にしない種族な上に、中身が性知識の無い幼女で、見た目は十七歳くらいの人間の少女。
見た目が幼女で中身が大人なラウラの、逆バージョンじゃないか!
あんな事やこんな事をしても、何をされたか分からず、気にしなさそうだよな!
『ヘンリーさん。頭の中が変態を通り越して、完全に犯罪者です。通報しますね』
(はっはっは。見た目は成人だし、合意の上なら問題無いはずだっ!)
『見た目は少女でも、中身は幼女ですよっ!』
(……こほん。しかし、聖銀を鍛えてもらう為には、この魚が必要。だが、この魚を手に入れるには、ネレーアを屋敷に連れ帰らなければならない。うん、これは仕方がないな)
『その通りなんですが、今回は言い訳にしか聞こえないんですけどっ!』
一先ずネレーアを俺の屋敷に住まわせる事にして、巨大な魚を空間収納へ。
早速、全裸のネレーアを含め、屋敷へ帰る事にした。
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