英霊召喚 ~ハズレと呼ばれた召喚魔法で、過去の大賢者を召喚して史上最強~

向原 行人
向原 行人

第121話 ソフィアが飲んだ!

公開日時: 2020年11月21日(土) 08:08
文字数:2,267

「な、何とか消えたな」


 数人でキャッチボールでも出来そうなくらいの範囲の木々が燃え、真っ黒な炭になってしまった。

 もしもここにルミが居たら、森を大切にするエルフだし、怒られるんじゃないかと思える程の状態だ。

 ……アオイに止められていなければ、俺も似たような事をするつもりだったが。


「ま、まぁ陽が射すようになって明るくなったし、魔物が来てもすぐ分かるし、よ、良かったんじゃないかな?」

「マーガレットは地面に降りられたのが嬉しいだけだろ」


 俺としてはもう少し樹の上に居て、マーガレットの胸を楽しみたかったのだが、結局殆ど触れる事が出来なかった。

 ……また今度、高い場所へマーガレットを連れて行こうっと。


「待って。昔の事を嘆いている場合じゃないわ。それよりも、ウチらはやるべき事をやるのよ!」

「……昔って、ほんの数分前なんだが」

「じゃあ、鉱物の探知を行うわよ」


 俺の声を聞こえないふりをして、ソフィアが土の精霊ノームを出した。

 まぁ俺としても早くドワーフの国を探したいし、この状況を今更どうにも出来ないので、前に進むしかないのだが。

 それから暫く待っていると、探知魔法を発動させたソフィアが口を開く。


「うん。方角はこのまま真っ直ぐで、少し地下へ降りた辺りに鉱物の反応があるわ。そんなに離れて居ないわ」

「なるほど。じゃあ、そこにドワーフの国ってありそうか?」

「あら? 鉱物が有るのは分かるけど、ドワーフの国があるかどうかなんて分からないわよ?」


 ……え? あ、そうか。

 鉱物が多ければドワーフが近くに居るはずだ! って事で鉱物を探して居たけど、ドワーフを探す魔法は無いって言っていたっけ。

 しまった。ここまで来たのに、どうしよう。


『……ふぅ。仕方が有りませんね。ここは私が手を貸しましょう』

(アオイ、何か手が有るのか?)

『えぇ。索敵魔法を少し弄って、新しい魔法を作ったので、それを使ってみてください』

(……聞き間違いか? 新しい魔法を作ったって聞こえたんだが)

『いえ、その通りですよ。ドワーフの国を探す為に鉱物を探す……となった時から、こうなる事が予想出来たので、密かに準備していました』

(流石、アオイ! よっ、大賢者っ!)

『ふふふっ。もっと褒めても良いんですよ? 私を崇め奉ってください』


 ……アオイは優秀なんだけど、すぐ調子に乗る所が残念だな。


『もぉー、残念とか言わないでくださいよっ!』

(で、その新しい魔法っていうのは?)

『まったく……いいですか? そもそも索敵魔法は魔物の中にある闇を探知する事によって、周囲の魔物の存在を探知する魔法です。ですから、その闇を探知する所を、地中の生物の生命力を探知する魔法に変えたんです。ですが、地中には多くの生き物が存在しており、このままではそれらの生き物まで検知してしまうので……』

(長い! とりあえず、説明はいいから使い方だけ教えてくれよ)

『それ、典型的なダメパターンじゃないですか』


 一先ずアオイから使い方と概要を聞き、


「アンダーグラウンドサーチ」


 随分と長くなった索敵魔法を使用する。

 が、反応が無い。ハズレか、アオイが作った魔法が失敗したかのどちらかだろう。


『失礼な。ちゃんと発動してますよっ! この近くにドワーフが居ないだけですっ!』


 まぁ仕方が無いか。一か所目で、しかも住んでいる街の近くにドワーフの国があるとは思っていなかったし。


「アンタ。今の魔法は何なの?」

「これ? ドワーフ専用の探索魔法だよ。狭い範囲でしか有効じゃないから、予めソフィアの魔法で場所を絞って使う必要があるんだ。その代わり、地中にドワーフが居るかどうか分かるんだ」

「へ、へぇー。そんな魔法があるんだ」

「まぁね。だから、暫くはソフィアに付き合って貰う事になるけど、頼むよ」

「つ、付き合っ……ま、まぁそういう事なら仕方が無いわね。あ、アンタに付き合ってあげるわよ」


 ソフィアがふんっ! と無い胸を逸らしているが、目がいつも通りなので、大丈夫そうだ。


「青春ですねー」


 よく分からない事を呟くマーガレットはさておき、


「じゃあ、今日はここまでにしよう。悪いけど、また明日次のポイントを探しておいてくれ」


 そう言って、先ずはマーガレットとユーリヤを俺の部屋に送る。

 少しだけだからとお願いして、ユーリヤをマーガレットに預けると、少しだけ商店街へ移動し、それから元の場所へ。


「じゃあ、次はソフィアだな」

「えぇ、お願いするわ。短い時間だったけれど、こんな場所に一人で残されて、ちょっとドキドキしちゃったもの」

「俺がソフィアを放置したりする訳ないだろ? ……あ、そうだ。それよりも、さっき魔物を倒すのに凄い魔法を使っていたけど、魔力は大丈夫なのか?」

「んー、確かに大技を使ってかなり魔力は減ったけど、気を失う程ではないわね」

「そうか。でも、一応魔力回復薬を飲んでおきなよ。ソフィアの事だから、どうせこの後も魔法の修行をするんだろ? で、偶然魔力回復薬を持って居るんだ。一本ソフィアにあげるよ」

「……このビンに入っている液体。どこかで見覚えがある気がするんだけど」


 昼にソフィアへ飲まそうとして失敗したエロ薬……これをつい先程商店街で購入した小瓶に詰め替えてきた。

 元々の量の半分しか入らなかったが、入れ物が違うからバレないのではないだろうか。


「……どうして、そんなにウチを凝視しているの?」

「え? いや、えーっと、ソフィアの口って小さいなって思って」

「な、何を言い出すのよっ! もぉっ!」


 訝しがっていたソフィアが、俺から顔を逸らして一気にエロ薬を飲み干した!

 良し! 良ぉぉぉしっ! 飲んだ……ソフィアが飲んだ!

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