英霊召喚 ~ハズレと呼ばれた召喚魔法で、過去の大賢者を召喚して史上最強~

向原 行人
向原 行人

第322話 ソフィアとラウラの結婚指輪

公開日時: 2021年6月14日(月) 08:08
文字数:1,697

 またまたテレポートを使用し、王都の商店街へやって来た。

 来たのだが、


「アンタ……まさか、ウチらへの結婚指輪を商店街で買う気なの!?」

「いや、違う。違うぞっ! この魔法は、俺が行った事がある場所にしか行けないんだよ」

「そういう事なら……じゃあ、あっちへ。前から贈ってもらうなら、これって決めていた指輪があるの」


 着くなりソフィアが口を尖らせたので、とりあえず言われるがままについて行く……というか、ソフィアにガッチリ腕をホールドされているので、若干連行されている気分だ。


「……ラウラちゃんは、旦那様が買ってくれるなら、何でも良いんだけど」

「ダメよ。ウチもラウラちゃんも、領主の夫人なんだから。それなりに……って、ちなみに、どっちが第一夫人なの?」

「……じゅ、順番的には、ソフィア、ラウラ……かな?」


 一応、昨日はラウラの結婚式で、ソフィアが先に俺の妻だった……という体になっているので、ソフィア、ラウラという順番で答えたのだが、どうやら正解だったらしい。

 ジト目のソフィアが優しい目に戻ってくれた。


「……ご主人様。ラウラちゃんは、順番なんて気にしないから、大丈夫。でも、子供は欲しい」


 ラウラは前からそういう一面があったけど、かなり子作りが好きみたいだな。

 ……いや、それは俺か。ラウラは純粋に子供が欲しいのか。

 ……うん。期待に応えるためにも、これから毎晩頑張ろう。


「ここよ」

「うぉっ……ず、随分と大きな店だな」

「当然。貴族はもちろん、王室御用達のお店だもの」

「そ、そうか」


 ソフィアとラウラに両腕を抱きしめられた状態で店の前へ立つと、


「いらっしゃいませ」


 身なりの良い女性に扉を開けられ、店の中へ。


「ソフィア様。本日は、どのようなご用件でしょうか」

「前に注文しておいた指輪を出してくれるかしら」

「畏まりました」


 ……って、既に注文していたのかよっ!


「ん? どうして、先に注文していたんだ?」

「だ、だって、ウチは何度もアンタとこういう関係になると思っていたから……それなのにアンタときたら、本当……まぁいいわ。ちゃんと幸せにしてよねっ!」


 えーっと、よく分からないが、ソフィアは以前から俺の事が好きだったという事なのか!?

 ……その割には、一切態度に出て居なかったんだが。

 それならそうと、言ってくれればもっと話が早くて、あの素晴らしい体験をもっと早く出来たのに。


『あの、ヘンリーさん。ソフィアさんは分かり易すぎるくらい、態度に出ていましたけど』

(え? どこが?)

『……まぁとりあえず、お二人が結ばれて良かったですよ。ヘンリーさんが鈍感過ぎて、本当に私はやきもきさせられていましたから』


 ソフィアが分かり易く態度に出ていた?

 いやいや、いつも会えば怒鳴られていた気がするんだが。

 アオイの意見に若干納得出来ないものの、奥から女性が指輪を運んで来た。

 シンプルで、嫌みに感じない程度に、小さな宝石が埋め込まれているプラチナの指輪……まぁソフィアが自ら決めたのだから、構わないだろう。


「……って、二つもあるのか」

「何を言っているのよ。こっちはアンタの分よ。サイズもピッタリだと思うから、着けてみて」

「あ、あぁ……確かにピッタリだが、どうして俺の指のサイズを知っていたんだ?」

「そんなの、よく一緒に居るんだから、それくらい分かる……って、何を言わせるのよっ!」


 えぇぇ……今のは俺が悪いのか?

 しかも、そこまで言うほど四六時中ソフィアと一緒にいたかな?

 まぁ実際ピッタリなんだけどさ。


「ラウラは、どれが良いんだ?」

「……旦那様が選んでくれた物がいい」

「……んー、じゃあ、これかな? ラウラの手は小さくて、指が細いし、シンプルなのが良いかと思うんだが」

「……うん。それがいい」

「という訳で、この三つの指輪を貰おう。幾らだ?」


 ソフィア、俺、ラウラの三つの指輪の合計金額を聞くと、


「ありがとうございます。こちらになります」

「……」


 ……いや、買えるし、買うよ?

 ただ、指輪って高いんだな。

 王室御用達だからか?

 とりあえず、ソフィアに催促され、買ったその場で二人の左手の薬指に指輪をはめ、俺も二人揃って一つの指輪をはめられた。

 さて、屋敷に……父さんに話をするか。

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