「にーに、おやすみー」
「りょーしゅさん、おやすみなさーい」
「兄たん、おやすみー」
ユーリヤを含め、幼女たちを寝かしつけ……というか、俺の身体を抱き枕にされて就寝する。
……一人、幼女というか、ラウラが混ざっている所にツッコミたいけれど、せっかく眠りかけている幼女たちを起こしてしまいかねないので、放置する事にした。
だが、仰向けになった俺の上に乗って寝ているのは、いつものユーリヤで、左腕はラウラ。太腿に居るのは、おそらくリオナだろう。
それぞれ子供特有の高めの体温と、柔らかいけど肉付きは薄い身体で俺に密着している。
そんな中、一箇所だけ……右腕におかしい感触がある。
ジェーンやドロシーみたいに大きくはないが、幼女たちのようにツルペタでもない。
仄かに膨らんでいて、何度も触れた事があるような気がする感触は……
「ハー君。おやすみー」
どうしてエリーが俺の右腕に抱きついているんだよっ!
いつの間に部屋へ来たのかは分からないが、エリーに抱きついて眠る幼女も居るし、生徒とのスキンシップ……って事で良いのかもしれない。
……って、本当に良いのか!? 周囲で子供たちが……特にリオナは微妙な位置で眠っている。
保護者として、大人として、絶対に変な事を考えないようにして静かに眠りに就こう。
俺は変態じゃないから。ここに居る皆を導く大人だからっ!
……そして、翌朝。
「ハー君、おはよー! ……えーっと、いつもこんな感じなのー?」
「まぁな……残念ながら」
起きたエリーが俺を見て、不思議そうに小首を傾げる。
というのも、ラウラの脚が俺の顔に乗っているし、リオナは寝ぼけながら、今も俺の太腿を甘噛みしていて、涎でベトベトになっているし。
一番幼いユーリヤが、一番寝相が良いという不思議な状況になっていた。
ちなみに、エリーもずっも腕に抱きついたまま動いて、ふにふにと胸が押し付け続けていたから、大変だったんだからなっ!
……幼女たちの前で、ナニが大変だったかは言えないが。
「ヘンリー君、おはよう。今日のスケジュールなんだけど……う、うわぁ。ヘンリー君って、エリーちゃんだけじゃなく、こんなに幼い子供たちにまで……お、鬼かな?」
「待った! ロレッタちゃんは、今何を想像したんだ!? 違うからな! 違うんだぞっ!」
「ハー君。何が違うのー?」
ロレッタちゃんが何か相談したい事があったみたいだけど、この惨状――幼女たちの寝相の悪さを見て、逃げてしまった。
……あ、あくまで子供たちの寝相の酷さに驚いただけであって、変な勘違いはしていないと信じたい。……信じているからなっ!
『ヘンリーさん。すぐ隣で眠っているラウラさんのシャツがお腹までめくれている時点で無理ですよ。諦めましょう』
(ラウラのお腹が出ているのが何かマズいのか?)
『お忘れですか? ラウラさんはいつもシャツ一枚しか着てなくて、パンツもズボンも履かない人ですよ?』
アオイのツッコミに、恐る恐る視線を動かし……あ、死んだ。俺、社会的に死んだわ。
どうやっても誤解されない訳がない状況にあると気付き、ロレッタちゃんへの弁解を諦める事にした。
じ、時間が解決してくれるはず……だと思いたい。
それから、ユーリヤとラウラを含め、皆が起き出したので、幼女たちを着替えさせ、髪の毛を結ってあげたりして、食堂へ。
エリーが手伝ってくれたので、いつもより早く出来たと喜んでいると、
「あ、あのっ! まだ覚悟が出来ていないので、これで許して欲しいんだけど、ダメ……かな?」
ロレッタちゃんが近付いて、俺の手に何かを握らせる。
ふにふにしてサラサラしている温かい布? 変な物を渡されたと思いつつ、小さなそれを広げてみると、縞々のパンツ……って、だから誤解なんだってばっ!
スカートをギュッと押さえつけ、何故かモジモジしているロレッタちゃんを見つめながら、大きく溜め息を吐く事になってしまった。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!