英霊召喚 ~ハズレと呼ばれた召喚魔法で、過去の大賢者を召喚して史上最強~

向原 行人
向原 行人

第133話 隠された双丘

公開日時: 2020年12月3日(木) 08:08
文字数:2,019

「フッ……」

「……はっ!」


 優男はクールを気取った感じで、あまり感情を出さずに剣を振るい、ジェーンは俺の振りをしているからか、極力声を出さないようにして剣を振るう。

 戦いとしては、決してレベルは低くないのだが、やや地味な感じがしてしまうのは何故だろうか。


『あの、地味……ですか? 先程から男性の方が激しく斬りつけていますけど』

(んー、例えば今の攻撃だってそうなんだけど、あんな浅い斬撃をいくら放ってもジェーンに当たるはずはないし、それどころかカウンターで突きを返されるのが目に見えている)

『はぁ……でも、ジェーンさんは剣で受け流しましたね』

(そうなんだよなー。ジェーンの持ち味はスピードを活かした連撃……って、あの格好だとジェーンの得意のスタイルで戦えないのか。視野も狭くなっていそうだし)

『鉄仮面を被って戦った事なんて無いでしょうしね』


 これは泥試合になるかもしれないな……と思っていると、予想通りどちらも決め手に欠けるグダグダな戦いになったのだが、突然ジェーンの動きにキレが戻る。


(これは……フルプレートアーマーの稼働域と視界の狭さにジェーンが慣れたな)

『じゃあ、勝負ありって所ですね?』

(そうだな。もうジェーンの勝ちが決まった様な物だし、俺は三人の身体を見納めに行こう)

『えぇー。ここから見て居れば良いじゃないですか』

(何を言う。今なら三人とも二人の戦いに集中しているから、近くで見ても気付かれないだろ)


「シャロン。少しだけユーリヤを見ていてくれ」


 ユーリヤを預けると、物陰からコソコソと出て、三人の女性の背後へ移動する。

 三人が三人共戦いを見ていて、後ろの俺には気付いて居ない。

 しかし、凄いな。この服は何て表現すれば良いのだろう。

 ……ふんどしか?

 腰の前はヒラヒラした布があるものの、お尻なんて殆ど丸出しで、シースルーの薄い布が被せられているだけだからな。

 教会からではなく、踊り子として来たと言われた方がしっくりくる程だ。

 胸も凄いのだが、流石に胸を凝視したら見つかるか? けど、見たい。

 だが前からはモロバレだから、横からならどうだ?

 もしくは、しゃがんで真下から見上げてみるとか。

 三人の大きなおっぱいを、足元から舐めるように見上げると、さぞかし良い景色だろう。

 ただ気付かれた時に、何も言い訳が出来ないが。

 大きなおっぱい、下から見るか? 横から見るか?

 難しい問題だが、保身を考えて横から見てみると……手前の女性が小声でぶつぶつ何かを言っている。

 もしかして、ヤバい人だろうか。

 見た目は綺麗だし、良い身体なのに勿体無い……って、ちょっと待った。

 この女性が呟いているのって、もしかして呪文詠唱じゃないか!?

 まさか、教会の騎士が負けそうだから、魔法で手助けをしようとしている!? それは流石に卑怯だろ。

 だが俺が気付いた直後に女性の魔法が完成してしまった。

 まったく、そうまでして勝ちに行くのかよっ!


「アジリティ……」

「おっと、手が滑ったぁっ!」

「え? ……きゃあぁぁぁっ!」


 三人の女性たちが目の前の戦いに集中していたので、俺は通行人の振りをして、呪文を発動させようとしていた女性の胸を覆う布を掴み、思いっきりずり下げてやった。

 自らの胸が露わになった事が分かった女性が、悲鳴と共に胸を隠すようにして蹲る。

 もちろん、そこに隠された双丘をバッチリ見て、そのまま走り去ってやったぜ!

 ジェーンを助けつつ、俺も良い物を見させてもらう。

 一石二鳥って奴だよね。


『あの、ヘンリーさん。完全な痴漢行為でしかないのと、残りの二人が追い掛けてきてますけど』

(いや、あくまで事故だから。俺の手が滑った所に、偶然あの女性の胸を覆う布があっただけだ)

『そもそも手が滑るって何ですか? それより、相手は教会なんですよね? こんな事をして大丈夫なんですか?』

(大丈夫、大丈夫。絶対に捕まらないし)


 女性二人に追いかけられつつ、建物の角を曲がった所で、小声でテレポートを使用する。


「ただいま」

「お、おかえりなさい」

「にーに! だっこー!」


 一瞬でシャロンとユーリヤの所へ戻って来ると、魔法による支援が得られなかったからか、ジェーンと教会の戦いが終わっていた。

 もちろんジェーンの勝利で、優男は持って居た剣が弾き飛ばされている。

 一方、俺が魔法を妨害した女性は、その場にしゃがみこんだまま、一生懸命布を直していた。

 はっはっは。俺の前で不正な事をしようとするからだ。


『あの……代役を立てているのは不正では無いのですか?』

(まぁ、それはそれ。これはこれだ)

『……』


 黙ってしまったアオイはさて置き、ジェーンに負けた優男が、一先ず帰ると言っている。

 知識や心構えの箇所を見ていないが、とりあえず合格だと思って良いのだろうか。

 そんな事を思っていると、


「レイモンド様。例の件、なにとぞお願いいたします」

「……分かっています」

「お願いします。お願いします」


 コートニーが優男に向かって頭を下げ、何かを必死に頼み込み、邪険に扱われて居た。

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