英霊召喚 ~ハズレと呼ばれた召喚魔法で、過去の大賢者を召喚して史上最強~

向原 行人
向原 行人

第333話 コートニーからの救援要請

公開日時: 2021年6月25日(金) 08:08
文字数:1,798

「はぁっ! ……おぉ、流石だな。魔物がスパスパ斬れる」


 ライマーさんに打ってもらった聖剣の試し斬りという事で、テレポートでエルフの村の周りの森へとやって来た。

 アオイの索敵魔法で魔物を探し……一刀両断。

 流石はドワーフが打った剣と言ったところだろうか。

 両手剣も片手剣も、魔物が簡単に斬れる。


『そ、そんなの具現化魔法で作った剣でも出来るじゃないですかっ!』

(確かにそうだが、切れ味はこっちの方が上だと思うぞ)

『で、でも、具現化魔法だと、剣を運ばなくて良いんですよ? しかも、折れてもすぐに元通り。形だって自由自在ですし』

(はいはい。アオイの具現化魔法は凄いってば)


 まぁ確かに二本の剣を持ち歩くのは大変かもしれないな。

 その点、具現化魔法は手ぶらで移動出来るし、折れてもすぐに直せる。

 ただ形は……俺が、武器の造形に詳しくないとダメなので、剣や槍みたいなシンプルな武器以外は難しそうだが。

 そんな事を考えて居ると、


「これが、聖剣なんだ。確かに凄いけど、これで魔王が倒せるの?」

「うーん、正直それは分からないな。魔王って呼ばれるくらいだから、メチャクチャ強いんだろ?」

「でも、わざわざ聖剣を作ってもらったっていう事は、ヘンリーは魔王を倒そうとしているって事なの?」

「いや、そうじゃなくて、守る為だよ。魔王とは言わなくとも、実際何度か魔族と戦った事があるんだが、万が一ソフィアたちが魔族から狙われたりした時に、守れる力が欲しいと思ってさ」

「……ふふっ。じゃあ、しっかり私の事を守ってね」


 ソフィアが突然抱きついて来た。

 そういうのは嬉しいのだが、周囲にまだ魔物が居るのだが。


「……旦那様。ラウラちゃんも」

「おいおい、ラウラまで」

「……たまには、外でするのも良い」

「いや、良く無いだろ。というか、ここは魔物が出るからな? あと、エルフの村のすぐ近くだし」

「……その方がドキドキする。いつ魔物が現れるかって」

「それ、魔物は違うだろ」


 便乗してきたラウラを宥めていると、


『ヘンリーさん! コートニーです。助けてください!』


 唐突にメッセージ魔法が来た。

 コートニーは、魔法騎士隊の隊員だが、一体どうしたのだろうか。

 一先ず、ソフィアとラウラを落ち着かせ、アオイにメッセージ魔法を送ってもらう。


『どうしたんだ?』

『魔族です! 王宮に魔族が現れました! しかも、大量に』


「なんだって!?」

「ど、どうかしたの!?」

「王宮に大量の魔族が現れたらしい。悪いが、行ってくる」


 丁度、二人とも俺に抱きついていたので、そのままテレポートで屋敷へ。


「ソフィアもラウラも、家で待っていてくれ。ジェーン、マーガレット、居るか!?」

「主様。ここに」

「お兄さん。そんなに慌ててどうしたのー?」


 魔族との戦闘経験がある二人の聖女を呼び、簡潔に状況を説明する。


「……という訳で、王宮に魔族が現れたらしい。すまないが、一緒に来てくれ」

「はい、畏まりました」

「ふふっ。魔族……滅さなきゃ」


 ジェーンはいつも通りだが、久々にマーガレットの暴走モード――まだ、完全にスイッチは入っていないが――を見た気がする。


「そうだ、ジェーン。これを……聖銀で作った剣だ。斬れ味は保証する。普段使っている細身剣とは違うが、魔族にも有効なはずだ」

「よろしいのですか?」

「勿論。慣れない武器で、いきなり実戦となってしまい申し訳ないが、力を貸してくれ」

「はい、喜んで!」


 二本の聖剣のうち、まだ軽い片手剣の方をジェーンへ渡すと、


「お兄さん。私には何か無いの?」

「え? ……じゃあ、これを。魔力を剣の形に出来るらしい。厳密には刃物じゃないから、これならマーガレットでも使える……か?」

「うーん……魔力を通して武器化するなら、メイスの形にも出来る……かな」


 マーガレットの要求に応える為、おまけで貰った、柄だけの剣を渡す。


「ま、待って。私が行っても、魔族相手だと足手まといだって分かってる。だから……絶対に帰って来なさいよ!」

「当然だっ! 魔族を蹴散らして、帰ってくるさ」


 ソフィアに長めのキスをされ……離れると、


「じゃあ、行ってくる」

「お兄さん。私にも……あ、うそうそ。ソフィアさん、睨まないで」


 ジェーンとマーガレットを抱きかかえ、王宮前へ瞬間移動する。


「あ、主様……これは」

「あぁ、ヤバいな。もう一度、移動するぞ」


 視界が屋敷の中から、王宮の前へと変わったのだが、その王宮の上を、翼を生やした人型の魔物が覆い尽くしていた。

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