今日のアタランテはホットパンツを履いているので、ズボンの隙間から絶妙な感じに淡いピンク色のパンツが見える。
スカートのチラリズムも良いけれど、こういうのも悪く無い……じゃなかった。
元よりアタランテは待機させておくつもりだったから、このままでも戦闘には支障がないものの、今後に差し支える。
「アタランテ。まぁその……超積極的なのも悪くなかったぞ」
『ヘンリーさん! それ、全くフォローになってませんから!』
(え、どうして!?)
『どちらかというと、追い打ちをかけてますよ!』
(そ、そうなのか!? 女心は難しいな)
「うぅ……穴があったら入りたいよ」
この洞窟でも土魔法なら使えるから、必要であれば穴くらい掘るけど、そういう事じゃないんだろうな。
右膝と左膝の間に、隠れるようにしてアタランテが頭を入れてしまった。
けど、ズボンの隙間からは相変わらずパンツが見えているから、頭隠してパンツ隠さず……って待てよ。
「そうだ! やっぱりアタランテにも戦って貰おう。重要な戦いでは、どう考えてもアタランテの攻撃は欠かせないしな」
「……お兄ちゃん。でもピンクスライムは、攻撃したらその身体が飛び散ったりして、危険だと思うよ?」
「大丈夫だ。俺に任せろ! 少しだけ作戦変更だ!」
パンツを見ながら閃いた作戦を皆に伝え、落ち込んで居たアタランテも除け者にされなくなると、少し立ち直ってくれた。
「よし、行くぞ!」
勢い良くボスの扉を開き、先ずは俺とマーガレットが中へ。
マーガレットに突っ込んで貰い、ピンクスライムを引き付けている間にルミも中へ入る。
そして、
「マテリアライズ!」
具現化魔法で土の壁を数枚作っていく。
これにより、飛び散ったピンクスライムの破片がアタランテに付かないようにしつつ、弓矢で攻撃出来るように、微妙に隙間を空けておいた。
ほんの僅かな隙間だけど、アタランテの弓の腕ならこれだけあれば十分だろう。
「二人とも、援護を頼む!」
そう言って、クレイモアを具現化しながら走り、マーガレットの横に並ぶ。
だが、易々とゴーレムを倒していたマーガレットの動きが鈍い。
「お兄さん……今更だけど、私の武器ってメイスだから、スライム系とは相性が悪いのよねー」
「って、それにしても服が溶け過ぎだろっ!」
「うん。一発殴ったら、思いっきり飛び散って、自爆しちゃった感じかな」
あー、退魔スイッチが入った状態でピンクスライムを殴ったものの、破片をもろに受けてスイッチがオフになってしまったのか。
しかし、大きいだけあって、飛び散った破片も相当だったんだな。
マーガレットの胸が見えそう。というか、胸の谷間が完全に見えてる。
もう少し、もう少しだけ溶けてくれないだろうか。
……って、だから違うって!
目の前に居るのは、この洞窟のボス的な魔物だっての!
今までに、ここまで大きい魔物は見た事が無いのだから、見た目がスライムだからって油断し過ぎだっ!
「たぁっ!」
下から上へすくい上げるような斬撃を放つが、ピンクスライムの四分の三程度まで切れ目が入った所で、むにゅんと結合されてしまう。
うわー、ダメージ通って無いな。というより、斬った傍から回復されたのか。
「お兄さん、頑張れー!」
気付けば、マーガレットが離れた場所で応援している。
「……何してるの?」
「え? だって、これ以上メイスで攻撃したら、私全裸になっちゃうし」
「そんな事言ってる場合じゃないってば!」
「えぇー。だってー、さっきからお兄さんの私を見る目が凄いんだもん」
くっ……バレてれる。
だって首周りは普通の服なのに、すぐ下に大きな穴があるんだけど、マーガレットの大きな胸でその穴が更に広がり、胸の谷間と膨らみが強調されているんだぜ!?
こんな格好ですぐ傍に居られたら、気にならない訳が無い。
『これだから童貞は。戦闘中ですよ!?』
(仕方がないだろ! 気になる物は気になってしまうんだ!)
『はぁ……マーガレットさんのあの服は、まさに童貞を殺す服ですね』
(悪かったな! ほっとけ!)
気付けば思考がループしていた。
これはアオイのツッコミのように、マーガレットの格好に気を取られて死んでしまう奴だ。
服を溶かし、触れると毒でエロくする……幸いマーガレットに毒は効かないが、特大ピンクスライムは回復力もハンパじゃないし、何気に強敵じゃないか。
――ヒュンッ
斬っても斬っても回復されてしまい、俺が攻めあぐねていると、背後から矢が飛んで来た。
アタランテの放った矢がピンクスライムの身体に刺さり……むにゅんと押し戻されて、四本の鉄の矢がカランカランと地面に落ちる。
俺の剣による斬撃もダメで、アタランテの矢による射撃でもダメージが通らないか。
「アース・スパイク!」
背後からルミの声が響き、真下から生えた岩の槍がピンクスライムを貫く!
が、それだけだった。岩の槍が消えると、何事も無かったかのようにピンクスライムが元通りに戻る。
これ、マジでどうすれば良いんだよ。
スライムの弱点である火で攻めたり、凍らせて固めてしまえばすぐさま勝てそうな気もするが、困った事にここでは土魔法しか使えない。
無い物強請りをしても仕方がないが、手詰まり感がある。
「お兄さん! ほら、頑張って!」
少し離れてマーガレットが応援しているが、もう少し近づいてくれないだろうか。
そうすれば、もう少し胸の谷間が……って、待てよ。
マーガレットの服の大きな穴は、飛び散ったスライムの破片が溶かしたんだよな?
という事は、多少なりともマーガレットの攻撃はピンクスライムにダメージを与えたって事か?
「マテリアライズ!」
具現魔法でマーガレットが使っているようなメイスを作りだし、思いっきりピンクスライムに向かって振り下ろす。
「ハッ!」
――ぼよよーん
スライム特有の弾力性で弾き返されてしまった。
「お兄ちゃん。スライムに打撃は効かないと思うよ?」
ありがとう、ルミ。うん、知ってたよ。
ていうか、俺の本気の一撃でノーダメージなのに、マーガレットの一撃だと飛び散るって……マーガレット凄くね!?
いや、マーガレットというか聖女による退魔の力か。
「頼む! マーガレット、あのスライムを攻撃してくれっ!」
「やだっ! 私だって初めてはノーマルが良いんだもんっ!」
「何の話だよっ!」
特大ピンクスライムを前にして、唯一ダメージが通るマーガレットと話が噛み合わずにぐだぐだしていると、
「きゃぁっ!」
後ろに居るルミから悲鳴が上がった。
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