エリーを何とか宥め、授業が終わった後に二人で再び錬金ギルドへやってきた。
「あ、ヘンリー君。例の物、用意出来ているわよ」
「本当ですか!? ありがとうございます!」
「えぇ。はい、これよ」
そう言って、エリーのお母さんから渡されたのは、少し大きめのハンカチだった。
青と水色の間くらいの色に染められた無地で、見た目は普通のハンカチだが……いや、無理に期待するのはやめよう。
見た目も、手に取ってみた感じも、何の変哲も無いただのハンカチだ。
「あの、お母さん。これは?」
「これ? ハンカチよ」
「ハンカチ……ですか?」
「えぇ。錬金ギルドで作った糸から、きめ細かい布を作って、それをハンカチにしたの。空気は通すけど、花粉は通さない優れ物よ。ちなみに、銅貨一枚っていうリーズナブルなお値段で販売しているわよ」
「な、なるほど。じゃあ、四枚お願いします」
「あ、もちろんヘンリー君はエリーがお世話になっているし、代金は要らないわよ」
そう言って、エリーのお母さんがゴソゴソと机を漁り、様々な色のハンカチを出してきた。
本当に普通のハンカチなんですね。
「じゃあ、あとピンク色のを三枚お願いします」
「あらあら。もしかして、三人とも女の子なのかしら?」
「えっ!? いえ、何となくピンク色が良いかなーって思っただけです」
しまった。
アタランテやルミたちの分だけど、女の子だからピンク色が良いのかなって思ったら、そこからそんな情報が引き出されるとは。
というか、またエリーを宥めないといけなくなるから、そのニヤニヤしながらいろいろ聞きだそうとするのはマジで止めてください。
「じゃあ、ヘンリー君。エルフの髪の毛、お願いねー」
お母さんの質問を何とかスルーしつつ、錬金ギルドを出ると、何か言いたげなエリーを家まで送って、逃げるようにして王宮へ移動した。
これ以上、時間を取られる訳にはいかないからね。
明日から週末で学校が休みだから、一気に洞窟の攻略を進めるつもりだし。
さてと、おっぱい――もとい、ニーナとジェーンの様子はどうだろうか。
――キィン! (ぼよん)
「えぇーいっ!」(ぶるん)
「はぁっ!」(ばぃん)
な、何だと!?
巨乳二人が模擬剣で戦っているというのに、ジェーンはともかくニーナのおっぱいの揺れが小さくなっている!
これが、巨乳剣術の力なのかっ!
「あ、隊長さーん! 見てくださいました? どうでしたかー!?」
「主様! いかがでしょう。完璧とは言えませんが、かなり動きは良くなったと思いますが」
俺に気付いたニーナが大きく手を振り、それだけで胸がぽよよんと大きく揺れる。
そう、ニーナの胸の大きさや柔らかさは変わっていないというのに、剣を振るっている時は揺れが小さい。
つまり、それだけ胸が邪魔にならないような身体の使い方が出来ているという訳だ。
「そうだな。確かに変わってはいた」
「ですよね! じゃあ、隊長。今日こそ、腕を見ていただけますか? ローブを着ていませんし」
あ。二ーナに指摘されてようやく気付いたけど、昨日ソフィアにローブを着せたまま、返して貰ってなかった。
今日一日、ローブを着ずに授業受けてたのか。
誰か一人くらい指摘してくれよ……って、気付いていない俺もどうかと思うけど。
「わかった。ただ、本気で行くからな?」
「は、はい! 魔族殺しの剣技……是非、お願いいたします」
剣技か。
幼い頃から剣を握り、士官学校で更に鍛えた剣ではあるけれど、戦闘系のクラスになれなかったが為に本当の意味での剣技は修得出来ない。
だけど召喚士になったからこそ、こうして王宮に居るという不思議な話ではあるが……正規の騎士として、スキルとしての剣技を修得している人と戦うのは教官以外では初めてかもしれないな。
ジェーンに刃の無い模擬剣を借り、軽く振ってみる。
普段使っているクレイモアよりも短く、かなり軽いが、どんな武器でも戦えるように訓練はしていたから、大丈夫だろう。
俺とニーナが互いに剣を正眼で構え、
「それでは、はじめっ!」
ジェーンの声が響いた。
「行きます! はぁっ!」
ニーナが両手で剣を構えたまま突撃してきた。
おっぱいは少ししか揺れていない。
普段なら体捌きで避けるが、今はあえて剣で受け、そのまま横へ流す。
ニーナは両手で剣を持って居たので、自らの腕に押され、大きなおっぱいがムニッとその形を歪ませた。
「たぁっ!」
一度剣を引き、真横に薙ぎ払ってきた剣を今度は避けると、ニーナの剣を自らの剣でグイグイと押し込む。
ニーナは体勢を崩すが、それよりも何よりも、再びニーナの腕によりおっぱいがムニュンと大きく歪む。
「くっ……これならっ! 剣技――霞斬り!」
ニーナが剣技を繰り出してきたが、これは士官学校の教官と模擬戦を行った時に見た事がある。
二段構えの技で、一撃目がフェイントで、二撃目が本命という技だ。
普通は一撃目のフェイントに惑わされないようにするのがセオリーだが、あえて一撃目のフェイントをじっくりねっとりと凝視する。
ふむ。フェイントだからか、先程までとは違って、おっぱいが揺れまくっているな。
間近で揺れる巨乳を見られるのは眼福としか言いようがない。
……触ったら怒られるかな? いや、でも本気で戦うって宣言したしな。
生きるか死ぬかの本当の戦いの中で、いちいち胸を触られたからって怒る奴は居ないだろう。
よし、触ろう。
揺れまくるおっぱいの下に左手を上向きにして出すと、ぼよんぼよんと掌の上で柔らかいおっぱいがバウンドする。
いやー、凄い。鈍器かってくらいに、ニーナのおっぱいスタンプが重い。でも、柔らかくて気持ち良い……っと、そろそろ二撃目を回避しないとな。
……って、あれ? 二撃目が来ないぞ?
「うぅ……隊長さん。本気で戦ってくれるって言ったのに……」
「え? ちょ、ちょっとニーナ!? どうして攻撃を止めて、泣きそうになっているんだ!?」
「だって、隊長さんがずっとボクの胸ばっかり見て、ボクの腕を使って胸をムニムニしてくるし、ついには胸を触ったんだもん! 結局、本気で戦ってくれないんだー!」
おぉぉ。ニーナが……初めてにして唯一の部下が俺のせいで半泣きになっている。
ジェーンはフォローを……してくれないっ!? あの空気を読めるジェーンが!?
どうしよう。どうにかしなければっ!
「それは違うぞ、ニーナ」
「ど、どういう事ですか?」
「俺はいつだって本気だ。ニーナが戦場に出れば、こうして胸を凝視される事もあるだろうと思い、あえて羞恥に堪える訓練を課していたんだ。それも、全てはニーナの事を思っての事だ」
「え? ほ、本当ですか?」
「当たり前だろ! 今みたいに、戦場で泣き崩れてしまったら、次の瞬間に命は無い。ほら、早く続きをやるぞ! 剣捌きはジェーンが鍛えてくれるから、俺は隊長として、実戦向けの精神面を鍛えているんだ!」
「そ、そうだったんですね! ごめんなさい。ボク勘違いしてました。てっきり隊長さんが、単にボクの胸を触りたいだけなのかと思ってしまって」
……えー、大正解です。
だが、そんな事は一切表情に出さず、実戦編の訓練だと言い切って、暫くニーナのおっぱいを楽しんでしまった。
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