ルミと同じ格好で胸に布を巻いているだけだから、背も高くないので大きな胸の谷間が見えているし、しゃがめばおそらく簡単に下乳が見える。
腰だって一緒で、腰のくびれからお尻のすぐ上まで出していて、股下ギリギリまでしか無い超ミニスカートという格好のお姉さん。
俺の周囲には居ない、大人の色気を全開にしたエロエルフさんがルミのお母さんだって!?
「ねー、お兄ちゃん。どうして、ママの事ばっかり見てるのー?」
「え? あぁ、ルミの――ルミちゃんのお母さんが若過ぎたからビックリしてたんだ」
「あはは。もぉ、伝説の魔術士さんは魔法だけじゃなくて、口も御上手なんですね」
お母さんが笑いながら、ペタペタと俺の肩や腕に触れてくる。
ツッコミ、ツッコミだよね? ……何だか、妙に触り方がエロい気がするけど。
「お兄ちゃん。言っておくけど、ママはもう二百歳を超えてるんだからね? ママよりルミの方が若くて、オススメなんだよ?」
いや、ルミの方が若いのは当然なんだけど、人間換算したら十二歳だろ。オススメされても、何をどうしろっていうんだよ。
というか、お母さんが二百歳――人間換算で二十歳を超えているのは当然だとしても、ルミの言い方だと三十歳は超えて居ないように思える。
ルミが十二歳だから……一体、何歳で出産したんだよっ!
「あ、あの……失礼ですが、お母さんはお幾つなんですか?」
「私ですか? もう二百八十なんですけど……ヤダ、恥ずかしい事を聞かないでくださいよぉ」
「す、すみません。でも正直に言って、二十二歳くらい……二百歳前半にしか見えないんですけど」
「あら、ヤダ。魔術士さんったら、もしかして私を口説こうとしているんですかぁ?」
またもやお母さんが笑いながら、ボディタッチをしてくる。
やっぱり触り方がエロい。流石は人妻と言った所なのか。
というか、人妻エルフ……って、響きだけで既にエロい存在なんだが。
『ヘンリーさん。相手は旦那さんが居るんですからね。ダメですよ!』
(分かってるよ。変な事は考えてないじゃないか)
『いやいや、ヘンリーさんの考えている事は全て私に筒抜けですってば! 人妻エロエルフをエッチな目でしか見てないじゃないですかっ!』
(いや、人妻エロエルフとまでは言ってないよっ!)
……って、あれ? 確かルミはエルフの長老であるサロモンさんの孫だって言っていたよな。
それにしては年が離れていると思ったけれど、ルミのお母さんとサロモンさんも年が離れ過ぎているような気がする。
「お兄ちゃん。今日もフィオンの洞窟へ行くんだよね。ルミ、ちょっと準備してくるから待っててー」
そう言ってルミが奥の部屋に姿を消してしまったので、お母さんと二人っきりになってしまった。
沈黙が支配する気まずい空気にするのもどうかと思ったので、さっきの疑問をぶつけてみる。
「あの、お母さん」
「私の事は、リリヤって呼んでね」
「……リリヤさん。ルミちゃんはサロモンさんのお孫さんだと聞いているのですが、その……年齢が離れすぎていませんか?」
「夫とは年が離れておりますので」
なるほど。そういう事か。
あと、エルフの社会性がどうなっているか分からないけれど、ルミはリリヤさん側のファミリーネームを継いでいるらしい。
魔王討伐パーティの英雄だから、そっちの名を取ったいう可能性もあるけれど。
あっさりと疑問が氷解し、特に話す事がなくなってしまったと思っていると、何故かリリヤさんが背後から抱きついてきた。
布一枚だけを纏った胸が背中に押し付けられてる!?
「……あ、あのリリヤさん?」
「実は先程申し上げた通り、年が離れている夫が既に六百歳を超えておりますの」
「そ、そうなんですね」
「えぇ。でも、私はまだ三百歳にも達していなくて。だから、お恥ずかしい話なんですけれど、その、身体が……」
リリヤさんが何かを言いかけた所で、
「お兄ちゃん。お待たせー……って、ママ? 何をしているの?」
「え? えっと、魔術士さんの背中にゴミが付いていたから、取ってあげたの」
ルミが戻って来て、パッとリリヤさんが俺から離れた。
……あのタイミングでルミが戻って来なかったら、一体どうなって居たのやら。
助かった様な、残念な様な、微妙な感情に満たされて居ると、
「お兄ちゃん。早く行こーよー」
ルミが俺を急かしてくる。
「そ、そうだな。じゃあ、そろそろ行こうか」
「あら、もう行ってしまうんですか? もっとゆっくり……そうだ。今晩はうちに泊まって行ってはいかがでしょう」
何故かリリヤさんが俺を引き止めようとして……って、どうしてスカートを捲っているの!?
物欲しそうな表情を浮かべたリリヤさんが、ルミに見えないようにして黒い下着をチラチラと見せてくる。
こ、これは、誘われている!?
いや、だが相手は人妻。しかも、子持ち。更に、その娘と一緒に洞窟攻略へ出掛けようとしているんだぞ!?
だけど、胸が大きくて、経験豊富なお姉さんが向こうから誘ってきている。
ここで、いろいろと勉強させていただくのも、人として成長するために重要な事ではないだろうか。
うん、そうだ。決してエロい事を考えている訳ではなく、一人の人間として様々な経験を積み、自らの糧とする事によって、一回り大きく成長する事が出来るだろう。
『ヘンリーさん。言っておきますが、目の前に居る女性はバカエルフ――もといリンネア=リーカネンの子孫で、しかも長老エルフの義娘ですよ』
(え? あ、うん。そうだね)
『下手な事をすると、エルフ族と人間の外交問題にまで発展しかねないですからね?』
(いやいや、俺から変な事はしないよ? 俺からは)
『アタランテさんとマーガレットさんはどうされるんですか? 放置ですか?』
(くっ……。流石に二人を放っておいて、無断でリリアさんの家に泊まる訳にはいかないか。いや、だがしかし……うぉぉぉ! どうすれば良いんだっ!)
「お兄ちゃん。どうしたの? 猫のお姉さんとかが待って居るんじゃないのー?」
「……ぐっ……ひ、非常に申し訳ないのですが、な、仲間を待たせておりますので……」
「……そうですか。残念ですが、でも我が家には、いつでも遊びに来てくださいね。待ってますから……」
リリヤさんが悲しそうな表情を浮かべるが、流石に娘と俺が揃って出発すると言えば、それ以上は引きとめられないのだろう。
黒いパンツをチラチラと見せるサービスタイムも終了してしまった。
……夜中に一人でこっそりテレポートで来ようかな。
『ヘンリーさん……ダメ。ゼッタイ。人妻ですよ?』
思考を読んだアオイに怒られた俺は、血の涙を流す勢い思いで、ルミを連れてフィオンの洞窟へ移動した。
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