改めてノーマに普通のパジャマを用意してもらい、食堂へ移動する。
ちなみに、幼女はお風呂を上がると肌も髪の毛も凄く綺麗になった。
どうやら、強制的に住まわされる事になった小屋に風呂が無く、いつも濡れタオルで身体や髪を拭く事しか出来なかったらしい。
そして、全員が揃った所で、
「あの、私はシュゼットって言います。十歳です。おにーちゃんからは、何もしなくていいよと言われましたが、私に出来る事であれば何でもしますので、皆さん、よろしくお願いします」
幼女――もとい、シュゼットが挨拶を済ませた。
十歳にして、出来る事は何でもしますという、この姿勢は偉いな。正直、パメラに爪の垢でも飲ませたい所だ。
それからメリッサがシュゼットの分を含めて食事を出してくれて、
「お、美味しいです……凄く、凄く美味しいです」
シュゼットが目に涙を浮かべながら食べ終えた。
良かった。助けてあげて、本当に良かった。
食事を終えた後、
「シュゼット。寝る部屋は屋敷の三階だ。後でノーマがシュゼットの部屋に案内してくれると思うが、くれぐれも誤って二階には行かないように。分かった?」
「はい。……というか、私の部屋があるんですか?」
「あぁ。部屋は無駄に沢山あるからな。気にせず使ってくれ。……あと、万が一何かあれば、三階の一番奥が俺の部屋だ。何かあれば、そこに来れば良いから」
「わかりました。ありがとうございます」
注意事項を伝えて、後はノーマに任せる。
今回は、ラウラの時と違って父さんが静かなのが逆に気になる所だ。
何か良からぬ事を企んでいなければ良いのだが。
出来るだけ見ている事を悟られないように、父さんを警戒していると、
「貴方。ちょーっと、いいかしら」
アタランテが俺の所へきて……何故かジト目で俺を見つめながら、頬をヒクヒクさせている。
これが表しているのは、アタランテが不機嫌だという事なのだが、今日何かしたっけ?
明日、すぐにハザーラー帝国へ行けるようにと高速お散歩でテレポート可能にして、理不尽な帝国軍の仕打ちで孤児になってしまったシュゼットを助け……良い事しかしていないんだが。
あ! ユーリヤがウサ耳パジャマでめちゃくちゃ可愛くなっているから、アタランテも同じのが欲しいとか?
とりあえず、アタランテの話を聞いてみると、
「貴方、どういうつもりなの!? ユーリヤちゃんは仕方がないとして、褐色幼女に続いて、色白幼女まで。しかも、あの様子だと、一緒にお風呂へ入ったのよね!?」
「ん? いや、お風呂くらいは入るだろ。汚れていたし」
「汚れていた……って、あの年齢の子と外でだなんてっ! 貴方には、私が居るのにっ!」
「……ん? 外で遭わなければ、助けようが無くないか?」
「助け……って、あら? どういう事なの!?」
「いや、そのままの意味で、助けを求める孤児に手を差し伸べただけだが?」
どうやら俺が一緒にお風呂へ入った事で、シュゼットを愛人にしたと思っていたらしい。
いや、あの年齢の幼女を愛人って。流石にそれは無いな。
だいたい、ユーリヤと毎日一緒に風呂へ入って何もしていない訳だし、幼女趣味ではないと認識して欲しい所だ。
それからシュゼットの、ハザーラー帝国の現状を伝える。
「それは……かなり酷い話だね」
「あぁ。そういう訳でシュゼットは孤児だから、両親の話題なんかは聞かないようにしてあげてくれ」
「了解。明日は……久々に暴れようかね!」
「……いや、気持ちは分かるけど、派手なのは勘弁な」
何故なら、明日はテレポートで密入国する訳で。
俺たちが戦うべき相手は魔族であり、同じ人間ではないのだから、ほどほど……ほどほどでお願いします。
アタランテの誤解を解いた所で、お風呂を済ませてお腹いっぱいのユーリヤが眠そうなので、自室へ。
既にラウラが着替えずに寝転んでいたので、面倒だけど部屋に簡易風呂を作って全力で洗い……よし寝よう。
いつものように、ユーリヤが俺の胸の上で、ラウラが俺の隣で眠っていると、小さく扉が開く音がした。
部屋に入ってきた小さな人影が、静かにラウラと反対側からベッドに潜り込んで来る。
やったー! 久々にジェーンの添い寝だっ! おっぱい、おっぱい、おっぱ……って、あれ? ちょっと小さくないか?
早速顔を埋めたものの、思っていた弾力と違う。
不思議に思っていると、目の前の小さなおっぱい――もとい、人影が話しかけてきた。
「あ、あの……ど、どうぞ。続けてください」
「……って、その声はシュゼットか? 何をしているんだ?」
「あの、お仕事でエッチな事はしないという話でしたが、私がせめてものお礼にと思いまして」
「いや、そういうの本当に良いからさ。俺は、子供にそんな事を求めたりはしないから」
「じゃあ、私が子供じゃなくなったら、お礼を受け取ってくれますか?」
「大きくなったら考えるよ。とりあえず、部屋に戻っておいで。この屋敷は安全だから、何も心配しなくて良いよ」
シュゼットに部屋へ戻る様に促したものの、何故か動こうとしない。
「あの……誰かと一緒に寝られるのが、凄く久しぶりなんです。おにーちゃんと一緒に寝てはダメ……ですか?」
「……いいよ。じゃあ、一緒に寝よう。もちろん、変な意味じゃ無くてな」
「うん……おにーちゃん、ありがとう」
孤児になってしまったシュゼットのささやかな願いを断れる訳も無く、そのまま寝る事にしたのだが、
「……今日は、失礼いたしますね……」
枕元から囁くような小さなジェーンの声が聞こえ……あぁぁっ! ジェーンの添い寝がぁぁぁっ!
久々にジェーンのおっぱいに触れると期待していたのに、お預けになってしまった。
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