「猫じゃなくて、私は獅子よ! って、それよりこれは……この子、三つ子だったの!?」
「あぁ、で、犬耳族らしいんだけど、獣人だからって警戒されてしまってさ」
「警戒……されているようには見えないけど?」
アタランテにジト目を向けられ、改めて自分の状況を見てみる。
抱っこしているリオナは、アタランテに意識が向いているので、俺を甘噛みせずに大人しく抱っこされているし、最初に出会ったレオナは小さな手で俺の服を掴みながら、何故か羨ましそうな目で見上げている。
そして、もっとも警戒していたはずのルオナは、アタランテから隠れるようにして、俺の脚にしがみ付いていた。
「ルオナ、どうしたんだ?」
「あたまからネコミミが生えてる……パパやママいがいで、はじめて見た……」
「大丈夫だよ。このお姉ちゃんは少しも怖くなくて優しいし、何より可愛いし」
「や、やさしいの?」
「もちろん。最初にレオナを見かけた時、真っ先に助けてあげようって言ったのが、このアタランテお姉ちゃんだからね」
警戒を解こうと、アタランテの説明をしていると、ルオナが俺の脚に隠れたまま、少しだけ顔を出し、
「おねえちゃんは、このおにいちゃんに、エッチなコトされた?」
「ぶふっ!」
なんて事を聞くんだよ!
というか、俺の家に行ったらエッチな事をされるって、本気で心配してるのか。……ちょっと泣きそうなんだが。
『日頃の行いが、滲み出ているんじゃないですかね?』
(いや、少女相手ならともかく、幼女相手にそんな事した事ないし、しようと思った事すらないわっ!)
アオイからとんでもない事を言われつつ、空気を読んで拗れないようにしてくれと、内心ハラハラしながらアタランテの応えを待っていると、
「え、えっと……そ、そうだね。え、エッチな事はされるけど、まぁ別に悪くないというか、もっとして欲しいというか、他の女の子にするのは止めて……って言っても無駄だろうから、せめて減らして欲しいというか。でも、こういう事はお互い気持ち良……」
「いや、九歳児に何を教えているんだよっ!」
「気持ちいい……って、どういうコト? あ! でも、パパもエッチなコトは、だいじなコトって言ってた気がする」
アタランテが大きく回答を間違い、そしてルオナも変な方向に話が逸れていって……いやこれ、どうやって収拾させるんだよっ!
「ねー。リオナおなかすいたー! 早く行こうよー!」
「だから、その甘噛みは止めような」
「貴方……それ、甘噛みじゃなくて、本気で噛まれていると思うんだけど」
アタランテに心配されるが、実際は仔犬……どころか仔猫に噛まれてるみたいな感じだしな。
一先ず、ルオナの警戒が若干和らいだ……というか、興味が違う事に移った所で、再び拗れる前に屋敷に連れ帰るため、外で待っている三人を呼ぶと、
「あ、わたしたちと同じくらいの女の子が居る」
「あぁ。こっちの可愛いのがユーリヤで、こっちの眠そうなのがラウラだ。あと、そっちのお姉さんがヴィクトリーヌな」
「……この子たちともエッチなコトしたの?」
ルオナが笑えない事を聞いてきた。
あのな、ルオナ。ユーリヤにそういう事を言うのはマジで止めような。
ユーリヤがキョトンとしながら、困った様子で俺を見つめてくるしさ。
とりあえず、適当に誤魔化して屋敷へ行こうとした所で、
「そうだな。それはもう、凄い事をしてもらったな。あんな事をされたのは生まれて初めてだったが、未だに忘れる事が出来ない程の感覚を我が身体に刻み込まれ……」
「ヴィクトリーヌっ!? マジで何言ってんの!?」
「……ラウラちゃんは未だしてもらってない。けど、奥さんになるし、その内してもらう」
空気を読まない二人がやらかした。
ヴィクトリーヌのは、本気で記憶に無いし、ラウラが奥さんに……って話はともかく、何度も言うように、俺はロリコンじゃないから、ラウラにそんな事をする気はない!
いや、それよりも、またややこしくなるから、ルオナをどうにかしないと……
「わたしたちと同じくらいの女の子が、およめさんに……」
あれ? ルオナが意外なくらい静かだ。
一方でリオナはお腹空いたを繰り返すだけだし、レオナとユーリヤは意味が分からなかったのか、小首を傾げているだけ。
これは、助かった……って、事だな?
「よし。じゃあ、すぐ家に行って食事にしよう。ワープ・ドア!」
ユーリヤをおんぶして、驚くルオナの手を取り、ラウラは……これくらい歩けと促して、皆で屋敷へ移動する。
「あの、御主人様……やっぱりこういう趣味……」
またもや幼女が増えたからか、ノーマにジト目を向けられながらも、先ずは皆をお風呂へ入れ、早速食事にする事にした。
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