王宮を出て、一先ずテレポートで屋敷へ戻る。
しかし、あのフローレンス様から溢れ出ていた黒いオーラは一体何だったのだろうか。
アオイが余計な事を言うから、気になってしまっているが……とはいえ、確かめようが無いんだよな。
「ヘンリーさん。どうしたんですか?」
「ニーナ? いや、何でも無いんだ。それより、風呂でも入るか? その、汗をかいたし」
「そ、そうですね。今のボク、下着が穿けない状態だし。その……いろいろと垂れてきちゃって」
「よし! 大至急風呂へ行こう! テレポート!」
ニーナを抱えてエントランスから風呂まで瞬間移動すると、すぽーんとニーナを裸にする。
……凄い。さっきは、服を着たままだったけど、やはりニーナのGランクおっぱいは圧巻だな。
「あ……へ、ヘンリーさん。そ、それは、もう一回するという事ですか?」
「……そ、そうだな。じゃあ、もう一回……」
互いに全裸となった所で、ニーナにアレを見られ……再び夫婦の営みを始めた所で、
「まったく。今夜こそは何とかして寝室に潜り込んでヤるんだから……って、ちょ、ちょっと貴方たち! こんな所で何をしているのよっ! わ、私も混ぜなさいよっ!」
「え!? あ、アタランテっ!?」
「ヘンリーさん……止めないでくださいよぉ」
全裸のアタランテが現れ……えー、は、八人目の妻というか、やる事をやってしまった。
「というか、今更だけど……お風呂へ入って来たのが私だったから良かったものの、子供たちだったらどうするのよ」
三人で色々済ませた後に、アタランテから言われたけど、確かにそうだな。
やはり、ちゃんと夜まで我慢して、寝室でしないとダメか。
「す、すまん。今後は気を付けるよ」
「ご、ごめんなさい。その……ボクが、我慢出来なくなっちゃって」
「別に私は良いんだけど、とりあえず今夜からは私も混ぜてよねっ!」
今度こそちゃんと身体を洗い、三人で風呂から出た所で、
「あっ! ご主人様……こちらにいらっしゃったのですね」
ノーマに遭遇した。
「どうかしたのか?」
「はい。ご主人様にお客様です。応接室へお通ししておりますので」
「分かった。すぐに行くよ」
もうすぐ日も暮れるというのに、こんな時間に誰だろうか。
ニーナとアタランテには食堂へ行ってもらい、応接室へ行くと、
「お兄ちゃん! もうっ! 遅いよっ!」
「ルミ? 一人で来たのか?」
エルフの長老の娘ルミが、俺の姿を見た途端に抱きついて来た。
んー、今までルミの事を子供としか見て居なかったが、実はラウラよりも背が高い……って、俺はルミよりも幼く見える少女と結婚したのか。
いや、ラウラの実年齢は十六歳だし、俺より年上だから良いのか。
ラウラの容姿が幼過ぎて、少し混乱していると、
「お兄ちゃん? どうしたの?」
不安そうな表情を浮かべたルミから、心配されてしまった。
「いや、何でもないんだ。それより、こんな時間にどうしたんだ?」
「あ、そうだ。お兄ちゃん、大変なのっ! おじいちゃんが呼んでいるから、今すぐエルフの村へ来てよ」
「サロモンさんが? 分かった。出掛ける事だけ伝えて来るから、少しだけ待っていてくれ」
エルフの長老であるサロモンさんが俺を呼び出した事なんて、今まで一度も無かった気がする。
何があったのかは分からないが、緊急の用件なのだろう。
一先ず、ノーマに出かける旨を伝え、
「待たせたな。じゃあ、行くか」
「うん! 来て、お兄ちゃんっ!」
ルミを抱えて、エルフの村へテレポートする。
そこからはルミに手を引かれ、大急ぎでサロモンさんの元へ。
「サロモンさん。何やら急ぎの用事だと聞いたのですが」
「おぉ、魔術師殿。よく来てくださった。火急の用件故、結論から言わせてもらうが……我々が監視している魔王に、変化が生じたのじゃ」
「魔王に!? な、何があったんですか!?」
「分からぬ。このエルフの里から、かつて封じた魔王を監視している事はご存じかと思うが、二時間程前に、その魔王の魔力が大きく跳ねあがったのじゃ」
二時間程前というと、俺がフローレンス様の所に居た時か。
……ま、まさかな。
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